閻魔大王<NO.186>

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閻魔大王NO.187
414 続44<ロシアのウクライナ侵攻>情報錯綜、どちらが優勢<?>/プーチンは核<?> 閻魔大王 23/02/22
閻魔大王NO.185

NO.414 続44<ロシアのウクライナ侵攻>情報錯綜、どちらが優勢<?>/プーチンは核<?><起稿 閻魔大王>(23/02/22)


【閻魔大王】 2023/02/22 (Wed) 08:02

<参考=NO.412 続43<ロシアのウクライナ侵攻>情報錯綜、どちらが優勢<?>
(23/02/15)

副題=バイデン氏、17日にキーウ訪問決断 ロシアへ事前通告(日本経済新聞)

それでも、キーウには、空襲警報が鳴り響いたですが。


<写真1>
バイデン氏に同行したのは側近の数人と医療チーム、カメラマン、警護隊に限定された=ロイター



<写真2>
電車の中を歩くバイデン氏=ロイター



<写真3>
バイデン氏は電車に乗り換えて暗闇のなかを約10時間かけてキーウに移動した=ロイター



<写真4>
バイデン氏㊧は約19時間かけてキーウに着いた(20日、キーウ)=ロイター



>バイデン米大統領は20日のウクライナ訪問を数カ月前から極秘に計画してきた。不測の事態への緊急対応計画を練り、17日に訪問を決断した。ロシア側に事前通告したが訪問中に防空サイレンが鳴り響き、安全へのリスクを物語った。

>ジョン・フィナー大統領副補佐官は20日、記者団にウクライナの首都キーウ(キエフ)訪問に関し、バイデン氏に同行したのは「極めて少数だった」と説明した。安全に配慮し、側近の数人と医療チーム、カメラマン、警護隊に限定した。

>ホワイトハウスや国防総省、シークレットサービス(大統領警護隊)、情報機関のごく一部で数カ月前から訪問計画や緊急時の対応計画を作成した。バイデン氏は17日に安全保障担当の高官らと協議し、キーウ訪問を最終決定した。

>サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)はウクライナ訪問をロシアに事前通告していたと明らかにした。「衝突回避の目的だった」と話し、ロシア側の反応に関してはコメントを控えた。

>米大統領は米軍が駐留するアフガニスタンやイラクなどを予告せずに訪問してきたが、ウクライナに米軍は駐留していないため治安を管理しにくい。バイデン政権は最悪の事態を避けるためロシアへ事前通告が必要だと判断したとみられる。

>ホワイトハウスは同行記者を通常の10人以上から2人に限定した。同行記者に送った訪問予定を記したメールの件名は「ゴルフ大会の到着案内」と偽装。首都ワシントン郊外のアンドルーズ空軍基地で記者から携帯電話を回収し、情報漏洩に細心の注意を払った。

>バイデン氏は米東部時間19日午前4時15分(日本時間19日午後6時15分)に同空軍基地を出発した。ドイツのラムシュタイン空軍基地での給油を経て、ポーランド西部のジェシュフ・ヤションカ空港に到着した。そこから車で1時間の距離にあるウクライナ国境付近の駅に向かった。

>電車に乗り換えて暗闇のなかを約10時間かけてキーウに移動し、現地時間20日午前8時(日本時間20日午後3時)ごろに着いた。バイデン氏は80歳と最高齢の米大統領で、同紙は「骨の折れる旅路だった」と指摘した。

>バイデン氏はキーウ市内でゼレンスキー氏と握手を交わすと、記者団からキーウ訪問の意義を問われた。今回が8回目の訪問だと触れて「来るたびにその意義は大きくなっている」と強調した。「(米国は)ここにいる。我々は離れない」と語り、ウクライナとの連帯をアピールした。キーウ滞在は約5時間だった。

>サリバン氏は記者団に対し、会談について「今後数カ月の戦闘や戦闘で勝利するために必要な能力について議論した」と語った。国防総省は20日、ウクライナへ4億6000万ドル(620億円)相当の武器を追加供与すると発表した。高機動ロケット砲システム「ハイマース」に搭載する弾薬や防空偵察レーダーを含んでいる。

>バイデン氏のキーウ滞在中にも防空警報が鳴り響いた。隣国ベラルーシからロシア軍の戦闘機が飛び立ったためという。ベラルーシからミサイルが発射されると20分以内にキーウへ届く距離とされ、ウクライナが戦時下であることを象徴した。CNNテレビによると、ウクライナ東部では20日も断続的にロシアの砲撃が続いた。

>バイデン氏は再び電車でポーランド国境まで戻り、首都ワルシャワに着いたのは現地時間20日午後11時10分(日本時間21日午前7時10分)ごろだった。

>バイデン氏は21日、ワルシャワで侵攻をめぐる包括演説に臨む。侵攻から1年の節目を控え、ウクライナ支援の機運を再び盛り上げ、民主主義陣営の結束を固める狙いがある。バイデン氏は世界が民主主義と強権主義の競争に直面していると公言する。ウクライナ侵攻の結末は民主主義の行方も左右すると位置づける。

<参考=「バイデン氏、17日にキーウ訪問決断 ロシアへ事前通告」(日本経済新聞)>
(23/02/21)


【閻魔大王】 2023/02/22 (Wed) 22:07

副題=「日本の首相に電撃訪問は無理だ」バイデン大統領の事前予告なしウクライナ入りを受け、辛坊治郎が指摘(ニッポン放送)

日本国の慣習のばかばかしさ。
記者君の、政界の。

何よりも、警護するべくの、自衛隊が、他国に出るに厄介。
その辺り、法律も検討すべきかと。

>キャスターの辛坊治郎が2月21日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。アメリカのバイデン大統領が20日、戦禍のウクライナを事前の予告なしに訪れたことをめぐり、「日本の首相に電撃訪問は無理だ」と指摘した。


>アメリカのバイデン大統領は20日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)を事前の予告なしに訪問し、ゼレンスキー大統領と会談した。バイデン大統領がウクライナを訪問したのは、ロシアが昨年2月24日にウクライナ侵略を開始した後では初めて。侵略から1年となる直前に、対ロシアへの連帯を強調したとみられる。

>辛坊)世界はかなり驚いていますね。侵略を始めたとき、ロシアのプーチン大統領が考えていたのは、次のようなシナリオでしょう。1年後にはウクライナ全土がロシアの領土になり、ゼレンスキー大統領は海外に亡命しているだろうから、直接支配でも傀儡政権でもいいからキーウに自らの足で立ち、ロシアの新皇帝として自分をアピールするという夢を描いていたのだと思います。

>ところが、侵略から1年を目前にしてキーウに立ったのは、西側の名手であるアメリカのバイデン大統領でした。これには、ものすごく意味があります。ですから、バイデン大統領としては、かなり無理をしてウクライナを訪れたのだと思いますよ。

>アメリカの大統領は、日本の首相ほどメディアや国会議員らからの監視は厳しくありません。これに対し、日本の首相は記者がいつも張りついているうえ、国会日程にもかなり縛られます。例えば、国会開会中に海外へ行こうものなら、「国会軽視だ」と非難されます。そういう意味では、岸田文雄首相は本来、年末年始のウクライナ行きを狙っていたはずですが、うまくいかなかったのでしょう。どうやら、ウクライナ行きについての話を首相官邸で誰かと交わしたところ、すぐに漏れたらしいですね。

>たとえ、日本の首相が戦禍のウクライナへ行ったとしても、憲法上、法律上の制約があまりにも大きいので、ウクライナが目先で求めているような貢献はできません。それよりも、将来的に戦争が終わった際に、日本がいくつもの震災に耐えて復興したノウハウが役立つはずです。ですから今、あえて無理をして行くことはないと思います。

>ただ、先進7カ国(G7)の中で、ウクライナの地を踏んでいない、ゼレンスキー大統領に直接会っていないのは、日本だけです。岸田首相の心中を慮ると、「できることなら行っておきたい」とは思っているはずです。しかし、日本国内の環境や行程の安全を守るためのシステムなどを考慮すると、バイデン大統領のような極秘での電撃訪問は日本の首相には無理です。

<参考=「「日本の首相に電撃訪問は無理だ」バイデン大統領の事前予告なしウクライナ入りを受け、辛坊治郎が指摘」(ニッポン放送)>
(23/02/21)


【閻魔大王】 2023/02/22 (Wed) 23:38

副題=プーチン氏「敗北あり得ぬ」 ウクライナ侵攻1年で演説(日本経済新聞)

確かに、どんな結末が待ってるのか、誰にも、わからんです。

ロシアには敗北は無いは事実かと。
戦場は、ウクライナ故で、ロシア本土を攻めてみい、わかってるやろなあと、威嚇してるです。

何よりも、裏で、支援する国の存在が辛いのお。

<地図>
ウクライナ最新戦況マップ(20日時点)



>ロシアのプーチン大統領は21日、「特別軍事作戦」を柱とする年次教書演説に臨んだ。ウクライナ侵攻から1年の節目が近づき、国民に作戦への協力を求めた。バイデン米大統領はウクライナへの長期支援を確約し、米ロ対立は激しさを増す。

>プーチン氏は21日正午(日本時間午後6時)からモスクワのクレムリン近くの会場で侵攻後初となる年次教書演説を行った。

>ウクライナでの特別軍事作戦についてプーチン氏は、ロシアの安全保障に関する提案は欧米諸国に否定されたと述べた。「戦争を始めたのは西側諸国で、ロシアはそれを止めるために武力を行使している」と侵攻を正当化した。

>プーチン氏は「安全保障を確保するために必要な課題を解決していく」と述べ、まもなく1年を迎える侵攻を継続する考えを強調した。「戦場で敗北することはあり得ない」とも明言した。侵攻での戦死者の家族が「耐えがたい困難に直面している」として、基金を設立して支援する考えを示した。国民に侵攻への理解を求める狙いとみられる。

>プーチン氏は2024年に予定される次期大統領選について「法律を遵守して行われる」と述べ、予定通り来年3月に実施されるとの考えを示した。

>ロシアは2022年2月21日にウクライナ東部で親ロ派武装勢力が支配する「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」を独立国家として承認した。今回の演説は独立承認と2月24日の侵攻開始から1年に合わせたものとみられる。

>ロシア憲法では大統領が国の現状や内政、外交の方向性について年に1度、議会で演説することになっている。ウクライナ侵攻をめぐり演説の時期や内容への関心が高まるなか、22年の演説は日程調整の難航を理由に延期されていた。

>バイデン氏は21日、ポーランドの首都ワルシャワでドゥダ大統領と会談する。サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は同日、記者団にウクライナ支援に関し「ポーランドは有志連合の強固な結束を推進してきた」と強調。首脳会談で長期的な軍事や経済、人道支援を協議すると説明した。

>北大西洋条約機構(NATO)による集団的自衛権の行使を定めた北大西洋条約第5条の履行も確認する見込みだ。ポーランドを含む中東欧諸国はロシアの脅威の最前線に位置し、侵攻後に米軍が部隊の派遣を大幅に増やしてきた。

>会談に続き、バイデン氏は侵攻から1年の節目を念頭に置いた包括演説に臨む。ウクライナの長期支援を視野に民主主義陣営の結束を固める構えだ。ロシアが武力による国境変更に成功すれば第2次世界大戦後に築いたルールに基づく国際秩序が崩壊するとの危機感がある。民主主義と強権主義の競争の行方も左右するとみる。

>バイデン氏は20日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)を電撃訪問した。ゼレンスキー大統領と会談し「(米国は)ここにいる。我々は離れない」と断言し、ウクライナ支援の機運を再び盛り上げた。ウクライナへの追加の軍事支援や対ロ制裁強化を表明し「プーチン(ロシア大統領)の征服は失敗している」とも述べた。

>ウクライナ軍との戦闘激化でロシア軍の損失は拡大しているもようだ。英国のシンクタンク国際戦略研究所(IISS)が今月まとめた軍事情勢の報告書「ミリタリー・バランス」最新版によると、ロシア軍は侵攻開始から1年間で戦車を約4割失った。

>ブリンケン米国務長官が18日、中国外交担当トップの王毅(ワン・イー)氏との会談でロシアへの殺傷力のある軍事支援に強く反対したのは、こうした損失を補う可能性があるからだ。米欧はウクライナ軍に戦車の供与を増やす計画だが、引き渡しの時期が遅れ気味だ。

>英国防省はロシア側の死傷者数が17万5000~20万人となったと指摘する。ロシアは22年9月に部分動員令を発令し、30万人超の予備役を招集した。ロシアの独立系メディアは今後も戦況に応じて追加動員すると指摘しており、戦況は消耗戦の様相を呈している。

>ロシア軍はドネツク州で攻撃を続けており、ウクライナ東部戦線での戦闘は激しさを増している。ロシア軍は同州バフムトなどの陥落を目指して攻勢を強めている。南部ヘルソン州でも戦闘が激化する懸念が高まっている。

<参考=「プーチン氏「敗北あり得ぬ」 ウクライナ侵攻1年で演説」(日本経済新聞)>
(23/02/21)


【閻魔大王】 2023/02/23 (Thu) 08:57

副題=東部のロシア軍精鋭部隊は戦闘不能、主力戦車も1年で半分喪失、このままではロシア大攻勢は不発に終わる?(英米専門家)(Newsweek)

侵攻1年とは、明日<2月24日>の話。
ウクライナは、ロシアの攻勢、既に、始まってると、してるですが。

><このままではウクライナ東部の大攻勢は不発に終わる。支配地域を広げるためには徴兵による大規模動員が必要だ>

>ロシア軍は、ウクライナ東部で多くの人員を喪失しており、これが同地域で一気に攻勢をかけたいロシア軍の作戦に影響が出始めていると、複数のイギリス国防省幹部が語った。

>イギリス国防省(MOD)は日次報告で、ロシア側に多くの死傷者が発生していると指摘。特にドネツク州のバフムトやウフレダールでこの傾向が強く、「『精鋭』とされる第155および第40海軍歩兵部隊が非常に多くの人員を喪失し」これにより「戦闘不能に陥っている可能性が高い」と指摘している。

>イギリス国防省は2月20日、ロシア軍は、ウラジーミル・プーチン大統領によるウクライナへの侵攻が始まってから1年となる2023年2月24日の節目に合わせて戦果を誇示する政治的な圧力に直面している、とも指摘した。

>「ロシアは、開戦から1年目の節目に合わせて、バフムトを掌握したと主張する可能性が高い。ただしこれは、戦場での現状を無視した宣言になる」と、イギリス国防省の高官は語り、この春の大規模作戦で巻き返しができなければ、「ロシア上層部内部の緊張が増すだろう」と指摘した。

>イギリス国防省とは別の西側の分析でも、ロシア軍は装備の更新に問題を抱えており、ルハンスク州における冬季の攻撃作戦でも、優勢を得るためのリソースに欠けているとみられるとの見解が示された。


>主力戦車の半分を喪失
>アメリカのシンクタンク、戦争研究所(ISW)は2月19日、ロシアは「膨大な数の」戦車を喪失しており、失った戦車の規模は16連隊に相当するとの見解を示した。それによれば、侵攻以降の1年間で、主力戦車のT-23BとT-72NB3Mのうちざっと1000両を破壊され、500両を奪われたという。使える戦車はあまり残っていないのではないか、とISWは見る。

>ロシア軍が、再構成された機械化部隊を予備軍として保有しているのはほぼ確実だが戦力は限定的で、ルハンスク州の「現在の情勢を大きく変えることはできないとみられる」と、ISWのレポートは述べる。

>ロシア軍が「一時的に」勢いを増す可能性はあるが、その場合でも「目標に遠く及ばないところで、攻撃の限界点に達する可能性が高く、戦場で大幅に進軍するには至らないとみられる」と、ISWは付け加えた。

>アメリカの軍事関連シンクタンク、海軍分析センター(CNA)でロシア研究ディレクターを務めるマイケル・コフマンは2月18日、出演したポッドキャスト「ウォー・オン・ザ・ロックス」で、ロシア軍の新たな攻勢は、ウフレダールへの攻撃を皮切りに3週間前に始まっていたと指摘。ドネツクおよびルハンスクの2州では、5つ前後の前進軸が設けられていると指摘した。


>徴兵による動員が必要
>この攻勢を「迫力不足」と呼ぶコフマンは、ロシアが再び徴兵による兵士の動員を行わない限り、「攻撃の密度が増すことはあっても、支配地域を広げるには至らないだろう」との見方を示した。

>「ロシア軍が、現状よりもはるかに規模の大きな攻撃を仕掛けるには、2回目の動員を行わなければならない」とコフマンは言う。「数十万人規模の追加の人員」が必要だという。

>一方、アメリカのジョー・バイデン大統領は2月20日にキーウを電撃訪問し、ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領と会談し、ウクライナへの支援を改めて約束した。

>(翻訳:ガリレオ)ブレンダン・コール

<参考=「東部のロシア軍精鋭部隊は戦闘不能、主力戦車も1年で半分喪失、このままではロシア大攻勢は不発に終わる?(英米専門家)」(Newsweek)>
(23/02/21)


【閻魔大王】 2023/02/23 (Thu) 11:18

副題=ロシア「脱ドル・ユーロ」進む 制裁受け決済9割→5割(日本経済新聞)

ロシアの決済通貨は、どなった<?>
経済制裁の行方<?>

一時には、利払い出来ずにデフォルトを言われたですが、1年経っても、破綻しておらず。

対して、人民元が増え出した<!>

<図1>
ロシアは脱ドルを進めた
(輸出決済における通貨の割合)



<図2>
CIPSによる国境をまたぐ人民元の決済処理



>【この記事のポイント】
・ロシアが「脱ドル・ユーロ」の動きを加速している
・米欧日の制裁で輸出決済に支障がでているのが理由
・影響緩和へ、人民元やルーブル建てにシフトしている

>ロシアが「脱ドル」の動きを強めている。欧米日の金融制裁を受けて、輸出決済ではドルやユーロ建てが9割から5割に低下した。制裁の影響を受けにくい人民元やルーブル建てへのシフトが顕著だ。基軸通貨ドルの使用制限は貿易や資金調達に打撃となり、中国依存を強めながら影響緩和を図っている。ウクライナ侵攻から1年、マネーでも世界の「分断」が進んでいる。

>銀行間の国際送金網である国際銀行間通信協会(Swift)は2022年3月、米欧日の要請を受けてロシアの大手銀行を排除した。この制裁により、ロシアでは「かなりの割合の銀行が制裁下にあり、ドルやユーロ建ての輸出入決済の遂行能力が妨げられている」(ロシア中央銀行)。


>制裁後、ドルやユーロ建ての輸出決済の割合は急低下した。ロシア中銀によると、22年1月はドルが52%、ユーロは35%だった。9月はそれぞれ34%、19%に低下した。

>原油などの取引では制裁対象ではないロシア国内外の銀行などを通じてドルなどの支払いを続けている。国営ガスプロム傘下のガスプロムバンクはSwift制裁対象外で日本を含めガスはドルやユーロ建てでの決済が続いている。西側諸国の銀行のロシア内現地法人を使った支払いもあるようだ。ただ全体には比率が大きく下がった。代わって増えたのが人民元建てやルーブル建てで9月に合計で47%となった。

>ガスプロムは中国向けガス輸出での決済を従来のドル建てから人民元とルーブル建てに切り替えた。欧州の輸入業者の一部でもユーロ建てからルーブル建てに切り替えたとした例もある。世界のエネルギー取引はドル建てが支配的だが、中ロの2国間中心に慣行を崩そうとしている。欧州連合(EU)などによるロシア産原油や石油製品の禁輸措置を背景に、ロシア産がアジアなどに向かったことも人民元建てなどの拡大につながった。

>Swiftに対抗する送金網の活用にも弾みがついた。中国の国際銀行間決済システム(CIPS)の1月の取引件数は1日平均で2万1000件と侵攻前の約1.5倍だ。大和総研の中田理恵氏は「CIPSは基本的には中国元の決済しか対応しておらず、Swiftを代替できる範囲は限定的」とする一方、「将来的に米欧などの制裁対象となることを懸念する国では利用が広がる可能性」があると指摘する。

>輸出によるドルやユーロの獲得が減った分、ロシア国内の外貨は不足気味だ。昨年10月の外貨による法人融資は同3月比13%減った。一方、ルーブル建ては11%増やし、全体では融資額を増やした。外貨融資の減少をルーブルで補い「信用収縮を回避した」(ロシア中銀)格好だ。ロシア当局は銀行の引当金や自己資本に関する規制の緩和などで後押ししており、銀行にリスクが蓄積している可能性がある。

>海外からの資金調達は難しくなった。ロシア国債の取引では海外投資家の割合は侵攻前の約1割からほぼ消滅。ルーブル建て国債の海外勢の保有比率は2割から1割に減った。ロシア政府は侵攻後は国債発行をルーブル建てのみとしている。SMBC日興証券の秋本翔太氏は「米国を中心に多くの国がロシア国債の取引を禁止しており、ロシア国内で資金調達せざるをえない状況」とみる。

>ロシアとの貿易や金融取引は日本企業にとっても難しくなっている。国内大手銀はロシアの現地法人への送金などで、制裁に抵触しない範囲でロシア内の取引先とのお金のやりとりを続ける。

>ただ、送金ルートは狭まっている。みずほ銀行のロシア現地法人は22年10月、顧客などに対し「米ドル以外の通貨を利用するか、他行での送金をお願いする」と通知した。ロシアと国外の送金を中継する海外銀行がドル建て送金の取り扱いを停止したためだ。

>第一生命経済研究所の西浜徹氏は「ロシア経済と中国経済の一体化が進んでいる」と指摘する。マネーでも権威主義国の経済圏を形作ろうとする「金融ブロック化」の動きが強まる。西側の制裁が効きにくくなるとともに、世界経済の効率を低下させる恐れがある。


>柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
分析・考察ロシアは積極的に脱ドルを進めているというよりも、経済制裁を受け、ドル建て収入が激減したため、人民元やルーブルに切り替えざるを得ない。ロシア人に聞いてみれば、やはりドルがほしいと答える。ドル決済のウェイトは低下すればするほど、ロシア経済が窮地に追い込まれる証拠になる。ロシアは人民元を受け取っても、中国から商品を輸入するしかない。とくに、人民元は準備通貨としての機能が十分に強くなっていないため、ロシア人は金融資産を人民元建てで持つことに抵抗があるかもしれない。

>田中道昭
立教大学ビジネススクール 教授
ひとこと解説ロシアの「脱ドル」の動きに呼応して、中国は「ペトロ人民元」、即ち人民元での石油取引及び同通貨決済取引を拡大しようと目論んでいます。米国と距離を置き始めたサウジとの間で同取引を拡大。米国がロシアへの経済制裁にドル建外貨準備を「武器」として使用したことから、リスク対策として他通貨も決済手段としておきたいグローバルサウス諸国でも取引が拡大しています。BRICS、上海協力機構、東南アジア、さらに中東でも人民元取引を拡大させている中国。真の基軸通貨には国家への信頼が不可欠ななか、人民元にその資格はありませんが、少なくともロシアへの経済制裁効果低減と金融面での分断には威力を発揮していることに要注意です。

<参考=「ロシア「脱ドル・ユーロ」進む 制裁受け決済9割→5割」(日本経済新聞)>
(23/02/23)


【閻魔大王】 2023/02/23 (Thu) 12:24

副題=ウクライナ戦争に勝者はいない「みんなが負ける戦」 マニュエル・トッドと池上彰が対談(朝日新聞・AERA)

ウクライナ軍も、ロシア軍も、弾薬不足が言われてるです。
加えての、兵站、つまり、最前線に、いかにして、武器、弾薬、食料等々、必需品を送り込むか<!>

さりとて、
ロシア軍のミサイル攻撃も、継続されてるです。
ウクライナ軍は、前線の確保してるです。

問題は、これが、いつまで、継続出来るか<?>
ロシアには、北朝鮮が供給してるの話。米国は、弾薬の生産が間に合わずの、報道あるですが。ウクライナえの、供給は、欧米<!>


<表>
ウクライナ戦争による死傷者数



>2月24日で1年を迎えるウクライナ戦争。この戦いはすでに、世界戦争に突入しているという。世界でいま、何が起きているのか。歴史人口学者のエマニュエル・トッドさんとジャーナリストの池上彰さんが意見を交わした。AERA 2023年2月27日号の記事を紹介する。


>池上:トッドさんは昨年から「第3次世界大戦はもう始まっている」とおっしゃっています。

>トッド:ロシアとウクライナ二国間のこの戦争が、世界大戦に発展するのではと心配している人は多いと思います。でも、もうすでに米国を中心とする西側とロシアの間で展開されている世界戦争、という段階に入っていると見ています。

>そしてそれは「まず経済面から始まった」とも言えると思います。ウクライナへの爆撃で市民の多くが殺されていることはもちろん、まさに戦争という状態なのですが、欧州や米国がロシアという国を経済的に、最終的には社会的にもつぶすという目的で始めた経済制裁もまた、戦争の一端であるわけです。

>この経済制裁に、ロシアは耐えています。いまだにロシアの経済が安定していることは、西側が非常に驚いている点だと思います。これはなぜなのか。

>実は経済のグローバリゼーションが進んでいく中で、「生産よりも消費する国=貿易赤字の国」と「消費よりも生産する国=貿易黒字の国」との分岐がますます進んでいるんです。ロシアはインドや中国とともにまさに後者の代表で、天然ガスや安くて高性能な兵器、原発や農産物を世界市場に供給する「産業大国」であり続けています。

>一方で、前者の貿易赤字の国とは米国、英国、フランスなどです。財の輸入大国としてグローバリゼーションの中で自国の産業基盤を失ってきている。つまり互いに科している経済制裁は、消費に特化したこれらの国のほうにむしろマイナスに効いてくる可能性があるわけです。


>■米国は生産力で弱体化

>一種の神話的な立場だった「経済大国アメリカ」は、今は生産力の点で非常に弱体化してきています。1945年時点で米国は世界の工業生産の約半分を占めていましたが、今は違います。ウクライナ戦争はロシアにとって死活問題であると同時に、米国にも大問題なのです。

>米国の生産力でとくに問題となってくるのが「兵器の生産力」です。この先、ウクライナ戦争が長期化したとき、工業生産力の低下する中でウクライナへの軍需品の供給が続けられるのか。むしろロシアの兵器生産力のほうが上回っていくのではないか。そこは西側としては心配な点でしょう。

>ただ、それでも米国はこの戦争から抜け出せないのではないか、とも言えると思います。米国がこの戦争から抜ける、それは米国にとって「ウクライナへ供給する兵器の生産力が追いつかなかった」という点で、「負け」を意味するからです。

>池上:その世界大戦に巻き込まれた形のウクライナですが、トッドさんは戦争が始まる前の段階で、ウクライナは破綻国家であり、国家としての体をなしていないとおっしゃっていました。ただ、戦争が始まり、そのまっただ中で政府の汚職高官が追放されるなど汚職撲滅の動きもあるようです。国としてのまとまりが全くなかったウクライナが、ロシアの攻撃で自分たちの土地を守らなければならなくなったという、きわめて皮肉な形ではありますが、民族意識が深まってきた。この戦争をきっかけに国家として成立しつつあるようにも見えるのですが。

>トッド:そのとおりだと思います。この戦争によって国家意識、国民意識が強化されている面はあるでしょう。戦争前は、私はウクライナの国家意識がどれほど強いのか疑問に思っていたのですが、軍事的に非常に耐えている姿を見て、その意識が強くなっていると認めるようになりました。


>■ポーランドが参戦か

>ただ、ウクライナにおけるロシア語圏は、この戦争によって崩壊しつつあるのではとも思っています。ロシア語圏にいる中流階級がどんどん国外に流出しているからです。中流階級がいなくなった国は崩壊していく傾向があります。国家意識、国民意識というのはウクライナ語圏で強化された、と言えるのではないかと思います。

>池上:ウクライナ東部、つまりロシア語を話す人たちがいるところでは、どんどんその人たちがいなくなっている。一方で、とくにリビウなどかつてのポーランドの支配地域だったところは、どんどんポーランドに寄っていく。そして真ん中のキーウの辺りがいわゆる「小ロシア」という形になるというふうに、ウクライナが結果的に三つに分裂していく未来も見えてくる気がするんですが。

>トッド:ウクライナの将来についてはまだ見えにくいところがありますが、仮説としてたしかに、ウクライナが分断される状況もあり得ると思います。

>それ以上に問題なのが、この戦争の「西側対東側」という構図がどこまで明確になっていくのかどうかです。具体的に言えば、「はたしてポーランドが戦争に参加するのか」がこれからの大きな焦点になってくると見ています。

>ポーランドには特殊な反ロシア感情があります。歴史的にもウクライナの一部がポーランドだったこともありますし、今も数千人のポーランド人兵士がウクライナ側で戦っていると言われています。これでポーランドからドイツ製の戦車「レオパルト2」が供給されれば、また状況が大きく変わるでしょう。

>そもそも戦車を供与するにあたっては、戦車が数カ月かかってウクライナに届いてから、操縦士が運用技術を習得するのにまた数カ月間かかるという問題があります。でも、もし戦車の操縦士がポーランド人なら、もう少し早く攻撃を始めることが可能になる。そうやってポーランドがこの戦争に食い込んでくるようなことになると、ウクライナの分断よりもより問題が大きくなっていくと思います。

>言えることは、戦後のウクライナには非常に悲劇的なものが待っているのではないかということです。全ては破壊され、復興はとても困難でしょう。そこで米国が何か手助けするかと言うと、そうは思えませんから。

>この戦争が今後、どのように広がっていくのか。最も重要なのはポーランドに加えて、バルト三国、英国、米国がどう動くかです。これらの国が今、非常に好戦的な姿勢に変わってきつつあります。そのときに問題になってくるのが「加盟国の一つに対する攻撃はNATO(北大西洋条約機構)全体への攻撃とみなす」とするNATO条約の第5条です。そこで、もしロシアがポーランド、バルト三国、英国、米国のいずれかを攻撃したら、フランスははたしてどうするべきか。私としては、これらの国と連帯する必要はないということを今から明確にしておくべきだと思います。

>また、ポーランドについて、ウクライナ問題をさらに深刻化させるようなことをしたらNATOとしても連帯はできないということを明確にわからせるべきではないかと考えています。


>■ドイツの今後も焦点

>池上:NATOやEU(欧州連合)は共同歩調が乱れてバラバラになってしまう可能性が高くなるということでしょうか。

>トッド:今すぐにそうなるというわけではありませんが、米国や英国、ポーランドなどの好戦的な態度が、NATOやEUの真の連帯性について改めて考えさせられることにつながっていくと思います。

>例えばドイツは、戦車の供与をめぐって最初は慎重な姿勢を見せ、迷いが見られました。各国にプレッシャーをかけられ、ある意味で被害者であるとも言えると思います。ドイツが今後どういう態度に出るのかが焦点の一つになってくるでしょう。その行きつく先として、NATOやEUがバラバラになっていくこともあり得るとは思います。

>池上:この先、この戦争はどうなっていくのか。ウクライナとしてはロシアを国内から追い出すまでは戦争を続ける。一方で、プーチン大統領にしてみれば、ドネツクやルハンスクなどウクライナ4州をロシア領として「併合」した以上、そこから撤退することはできない。米国も、この戦争から抜け出すことは難しい。欧州諸国もロシアへの経済制裁をした結果、天然ガスが入ってこないなどさまざまな経済的打撃を受けている。結局、この戦争に勝者はいない。延々と、みんなが負ける負け戦が続く、そんな未来が来るのではないでしょうか。

>(構成/編集部・小長光哲郎、通訳・大野舞)
>※AERA 2023年2月27日号

<参考=「ウクライナ戦争に勝者はいない「みんなが負ける戦」 マニュエル・トッドと池上彰が対談」(朝日新聞・AERA)>
(23/02/23)
<消滅・23/07/31>


【閻魔大王】 2023/02/24 (Fri) 23:16

副題=戦況どうなる 完全勝利か優勢か休戦か 双方とも妥協兆しなく(産経新聞)

戦況シナリオなんか、何通りでも、書けるです。

<表>
ウクライナ侵略 戦況の行方は



>ロシアによる侵略から1年を経たウクライナでの戦争は今後、どう推移するのか。専門家が想定する複数のシナリオを大別すると、①一方の完全勝利②一方が優勢となり長期化③戦況が停滞して休戦-の3通りとなる。ただ、当面は春季にウクライナ、ロシア双方が大規模攻勢に出るとの観測があり、戦況が大きく動くのはその後になりそうだ。

>ウクライナを代表する政治学者のフェセンコ氏は、想定される戦争終結の見通しの一つにウクライナ側の「完全勝利」を挙げる。ウクライナは1991年に独立した際の国境線を回復。ゼレンスキー政権が強固な基盤を維持し、欧米への接近路線が加速する。

>米欧がウクライナ支援を強化し、各国の主力戦車やウクライナが求める戦闘機が、早い段階で供与されることが前提となりそうだ。
<以下、有料記事>

<参考=「戦況どうなる 完全勝利か優勢か休戦か 双方とも妥協兆しなく」(産経新聞)>
(23/02/24)


【閻魔大王】 2023/02/25 (Sat) 00:06

副題=プーチンはすでに「絶体絶命」…ロシア経済は「崩壊寸前」で万事休すへ(現代ビジネス)

プーチンは詰んでる<!>
とは、以前より、言われてるですが。

>もうロシアは敗北している…

>ロシアによるウクライナ侵略戦争が2月24日、1周年を迎える。戦場では激しい戦闘が続いているが、少し長い目で見れば、欧米では「もうロシアは敗北している」という見方が共通認識になっている。しかも、国力の回復は当分、絶望的だ。それは、なぜなのか。


>米国の外交問題評議会(CFR)が発行する権威ある国際問題専門誌「フォーリン・アフェアーズ」は、昨年11月15日付で「経済的破滅への道を歩むロシア」と題した論文を掲載した。筆者はシカゴ大学公共政策大学院のコンスタンチン・ソニン教授だ。

>論文は、戦争の結末について、判断を下していない。だが、勝敗がどうであれ「戦後のロシアは、キューバと北朝鮮を除けば、世界に例がないほど、政府が民間部門に対して権力を行使する国として残る」という点を強調している。

>その結果「もしもプーチンが権力を失い、後継者が戦後に大改革を実施したとしても、ロシアの民間部門と国民の暮らしが1年前の水準に戻るには、少なくとも10年以上かかるだろう」と結論付けた。その意味で、ロシアはすでに敗北しているのだ。


>壊滅しつつあるロシア経済

>以下、概要を紹介しよう。

>〈国際的な経済制裁の結果、ロシアは日々、貧困に向かっているようだった。…ところが、開戦から8カ月が過ぎても、このシナリオは実現していない。実際、いくつかのデータによれば、まったく正反対に、ロシア経済はうまく言っているようにさえ見える。ロシアの国内総生産(GDP)は縮小したが、2022年はGDPの縮小が3%以下にとどまるかもしれないのだ〉

>実際、国際通貨基金(IMF)が1月31日に発表したロシアの2022年の実質成長率は、マイナス2.2%にとどまった。

>〈戦争が始まってからしばらくの間、ロシア人はルーブルの下落を恐れて、ドルとユーロに走った。ロシアがウクライナで敗北を重ねるにつれて、彼らは一層、外貨を買った。普通なら、これはルーブルの急激な下落を引き起こすはずだった〉

>〈ところが、制裁を受けて、戦争前に輸入品を購入していた企業は、決済のための外貨購入を止めた。その結果、輸入は4割下落したが、ルーブルは逆に強くなった。制裁が効かなかったのではない。逆に、輸入に対する短期的な制裁の効果が予想以上に強かったのである〉

>〈経済制裁によって、ロシアは精密電子部品や半導体を入手できなくなり、自動車や航空機を作れなくなった。3月から8月にかけて、自動車生産は9割落ち込んだ。航空機や武器も同様だ〉

>〈「制裁に加わっていない中国やトルコが西側の代わりになる」というロシアの期待は誤りだった。異常なルーブルの強さは、裏口の輸入ルートが機能していないことを示している。もしも、ロシアが裏口で輸入しているなら、輸入業者はドルを買うので、ルーブルは下がるからだ。不可欠な輸入品なしでは、ロシアのハイテク産業は長期的に絶望的である〉

>〈ウラジーミル・プーチン大統領は民間部門を国営銀行の監督下に置いた。民間企業は政府の恩恵を受けるために、余剰の労働者を抱えておくように期待された。事実上、労働者の解雇は禁じられたのだ。これは、国民に対して生活の保障を与えた。暮らしの安定こそが、プーチンと国民の契約の決定的に重要な部分だった〉

>〈戦争前、政府は外国投資を違法化し、ロシアでビジネスをする外国企業には面倒な手続きを課す一方、政府の保護なしに活動する企業には調査を始めた。その結果、プーチンの友人である政府高官や軍の将軍たちは億万長者になった。一般の市民の暮らしは逆に、過去10年、改善しなかった〉

>〈戦争が始まってから、政府の民間部門に対する統制は一段と強まった。9月の動員令はプーチンに一層、棍棒を与えた。企業の経営者が社員を徴兵から逃れさせるためには、政府と取引せざるをえなくなったからだ〉

>〈もっと酷いのは、汚職の「脱中央集権化」だ。プーチン政権が最初の10年にうまくいった理由の1つは、クレムリンに権力を集中し、政府の外で動くオリガルヒ(新興財閥)のような競争相手を消し去ったからだ。ところが、ウクライナ戦争のために創設した私兵集団や志願兵部隊は、新たな「権力の拠点」を作ってしまった。それは、ほぼ確実に、再びロシアに「脱中央集権化された汚職」をはびこらせるだろう〉

>〈戦争の後、ロシア政府は存在したとしても、武装した帰還兵で組織されたマフィアから、企業を守れるほど強力ではない。少なくとも、マフィアは最初、全国的にもっとも儲かっている企業をターゲットにするに違いない〉

>以上である。


>人口は減少し、周囲は敵だらけ

>この論文だけではない。「長期的にロシアはもう敗北した」と、そのものズバリのタイトルを付けた論文もある。こちらは、もう1つの有力な米外交誌「フォーリン・ポリシー」に2月13日付で掲載された。

>筆者はブレント・ピーボディ氏というハーバード大学ケネディスクールの現役大学院生である。学生の論文を同誌が掲載するのは珍しいが、同氏はこれまで、これを含めて計5本を寄稿している。よほど気に入られているようだ。

>それはともかく、同氏はロシアの人口と経済力に注目した。以下のようだ。

>〈欧州のロシア依存とは対照的に、ロシアの欧州依存は、ほとんど注目されていない。たとえば、ロシアは2021年、石炭の32%、原油の49%、天然ガスの74%を経済協力開発機構(OECD)に加盟する欧州各国に輸出した。日本や韓国、非OECD諸国を含めると、その比率はさらに高くなる。欧州の脱ロシアが進んで、モスクワはまもなく、収益性の高い輸出市場から締め出される〉

>〈ロシアはインドや中国に輸出先を振り替えたが、単一の買い手として中国は貧弱だ。欧州では、風力と太陽光を合わせた発電量が昨年初めて、原油と天然ガスを上回った。ヒートポンプへの補助金や米国でのクリーンエネルギーに対するインセンティブ、電気自動車の普及もある。ロシアに対する制裁と需要減の累積的効果は強まる。遅かれ早かれ、化石燃料に対する需要は劇的に減って、原油と天然ガスの価格は持続的に下がるだろう〉

>〈ソ連崩壊後、ロシアの出生率は女性1人当たり1.2人に下がり、人口維持に必要な2.1を、はるかに下回った。この戦争で、少なくとも12万人の兵士が死亡した。他国に逃亡した人数は推計が難しいが、イスラエルに移住したロシア人が3万2000人に上ることを考えれば、総計は100万人前後になるだろう〉

>しかも、世界で通用するソフト・エンジニアなどのように、将来のロシアを支える優秀な人材ほど、国の将来を見限って、外国に逃亡している。

>〈暴力犯罪やアルコール消費の増加などは、出生率をさらに下げる。プーチンは母親への補助金を通じて、なんとか人口減少を鈍化させたが、軍事支出と債務の増大は人口増加政策を難しくする〉

>〈もっとも重要なのは、ロシアの侵略がリベラル民主主義の大義を再活性化させてしまったことだ。スロベニアやチェコでは、有権者が非リベラルのポピュリストたちを追放した。ウクライナでは、91%の国民が北大西洋条約機構(NATO)加盟を支持している。プーチンはウクライナをモスクワの衛星軌道に戻そうとしたが、逆に彼らを西側に追いやってしまったのだ〉

>〈平和が戻れば、ロシアは経済と人口の減少に直面する一方、ウクライナは西側の新たなメンバーになるだろう。プーチンはドンバス地方で新たな支配地を獲得するかもしれない。だが、長期的に見れば、そんな獲得物は重要ではない。ロシアはすでに敗北しているのだ〉

>西側応援の気分がやや強すぎる感じもあるが、こちらも同じ結論だ。

>こうしてみると、目先の戦況がどうであれ「中長期的なロシアの敗北は避けられない」という見方で一致している。ただ、NATO高官は「ロシアは敗北したとしても、同じような野望を持ち続けるだろう。脅威は消えてなくならない」と強調している。

>ドイツのオラフ・ショルツ首相は17日、ミュンヘンで開かれた安全保障会議の冒頭演説で「長期戦に備えるのが賢明だ。プーチン氏が西側の支援疲れに期待しているなら、計算違いをしている」と強調した。残念ながら、プーチン氏に、こうしたメッセージは届いていない。

>長谷川 幸洋(ジャーナリスト)

<参考=「プーチンはすでに「絶体絶命」…ロシア経済は「崩壊寸前」で万事休すへ」(現代ビジネス)>
(23/02/24)


<参考=NO.415 続45<ロシアのウクライナ侵攻>情報錯綜、どちらが優勢<?>/が、戦況替わる<?>
(23/02/25)