閻魔大王<NO.196>

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NO 表題 起稿 起稿日
閻魔大王NO.197
424 続54<ロシアのウクライナ侵攻>虚々実々の情報戦<!>/すでに、始まってる。 閻魔大王 23/05/04
閻魔大王NO.195

NO.424 続54<ロシアのウクライナ侵攻>虚々実々の情報戦<!>/すでに、始まってる。<起稿 閻魔大王>(23/05/04)


【閻魔大王】 2023/05/04 (Thu) 15:34

<参考=NO.423 続53<ロシアのウクライナ侵攻>虚々実々の情報戦<!>/準備は出来た<?>
(23/04/29)


<副題=クレムリン“ドローン”攻撃 「ロシアの自作自演」米研究機関が分析 戦争への“動員”が狙いか(FNN)>

そもそも、クレムリン上空をドローンが飛べるの怪<?>
そして、映像分析では、建物上に、人影がと。
との、話あるです。

<写真>
クレムリンのドローン爆破<?>



>アメリカの研究機関は3日、ロシア政府が発表した、クレムリンに対するウクライナのドローン攻撃を、ロシアによる自作自演だとする分析を発表した。

>アメリカの「戦争研究所」は3日、クレムリンが、ウクライナのドローン2機による攻撃を受けたというロシア大統領府の発表について、「戦争を国民に身近に感じさせ、動員するための条件整備」を目的とする自作自演との見方を示した。

>具体的な理由として、ドローンがモスクワ周辺の厳重な防空網を突破し、クレムリン上空で映像が鮮明に撮影される状況は「可能性が極めて低い」と指摘した。

>また、ロシアの整然とした対応について「内部で演出されたものでなかったら、公式反応はもっと無秩序なものであった可能性が非常に高い」とした。

>さらに戦争研究所は、ロシア政府が第二次世界大戦に勝利した、「5月9日の戦勝記念日に近い時期にこの事件を演出した」との分析も示した。

>今後、ウクライナ側が指摘する大規模な反転攻勢を前に、ロシア側が自作自演による作戦や、偽情報を増やす可能性にも言及した。(画像:「Ostorozhno Novosti」)

<参考=「クレムリン“ドローン”攻撃 「ロシアの自作自演」米研究機関が分析 戦争への“動員”が狙いか」(FNN)>
(23/05/04)


【閻魔大王】 2023/05/07 (Sun) 20:52

副題=”謎多すぎる”「ドローン攻撃」プーチン大統領『ほぼクレムリンにいないのに…』なぜ狙われた?4つの可能性を専門家が解説(MBS)


>5月3日未明、ドローン2機がロシア・モスクワにある「クレムリン」に攻撃を仕掛けたということです。ロシア大統領府は「ウクライナのゼレンスキー政権によるテロ行為だ」と主張。一方でウクライナのゼレンスキー大統領は関与を全面的に否定しました。

>大和大学の佐々木正明教授は「謎が多すぎる」と話した上で、現状から分析できる『4つの可能性』について解説します。


>ウクライナ軍のドローンは”マッハ級”攻撃用?偵察用?

>――ロシアのクレムリンへのドローン攻撃はどのように見ていますでしょうか?
>「謎が多いと感じています。5月3日にこのニュースをキャッチいたしまして、色々なシナリオを考えたんですが、どのシナリオも難点があります。それぞれの立場でそれぞれの方々が発表していますが、全て意見がぶつかるという形になっています。アメリカもよくわからないということも言ってますし、まだまだ検証が必要かなと感じています」

>――まず攻撃されたクレムリンですが、一体どういうところなんでしょうか?
>「アメリカで言うとホワイトハウス、日本で言うと首相官邸の施設が、クレムリンの中にあります。クレムリンは、ロシア語で『城壁』を意味するので、城壁で囲まれた場所に、大統領府があると。そしてここに歴史的建造物もあり、博物館、大きなホールもあり、モスクワの一大観光地になっていて、赤の広場が隣接しています」

>――一般の人も自由に行き来できるような場所ということなんですね?
>「はい、赤の広場側からは入れないんですが、違う側に入場券を取って、厳重な警備、持ち物チェックを受けて、中に入るところがあります。私も何度も入ったことがありますが、厳重な警備がされています」

>――映像見ますと、大統領府の建物の上で爆発したようにも見えますが、どう見ますか?
>「国立百貨店『グム』今見ている映像はそのグムの南西方向からの映像です。映像がロシア国内で既に公開されています。はい。つまり赤の広場から見ると、屋上にドームがある。ロシア国旗がありますが、そこがロシア大統領府、この上で爆発したということです」

>――今のところこのドローンを操縦して攻撃したということでしょうか?。
>「ウクライナ軍が使っている主力用攻撃ドローンは、時速1100キロということで、(映像で映っているものは)このマッハの物よりもかなり遅い飛行物体なんですね。つまり、攻撃用ドローンなのか、果たして偵察用のドローンなのか。そしてこのドローンの中に爆発物がどれぐらいあったのかというのも検証が必要です。爆発の映像を見ますと、それほど広がってはないですね。となりますと、大きな爆発物があったようには思えないということだと思います」


>プーチン氏『クレムリンにはほぼいない』のになぜ狙われた?

>――可能性の一つ目は『ウクライナ正規軍による攻撃ではないか』ということです。>過去にもドローンで越境攻撃があったのではないかとも言われています。アメリカで流出した機密文書の中に、『モスクワへの攻撃計画』というものもありました。もしかしたらウクライナの正規軍による攻撃ではないかと。しかし、ゼレンスキー大統領は当時、フィンランドにいて、会見でも否定をしています。どのようにご覧になりますか?

>「真っ先にフィンランドでゼレンスキー大統領が否定をしました。もし仮にモスクワを狙ったのであれば、このドローンの攻撃によってどれだけ目標を達成できたのか。ということを考えますと、ウクライナは領土を取り戻そうと反転攻勢をしようとしていますが、あまり大きな効果はないのではないか、そういうことを考えても、ウクライナ政府軍による犯行ということに関しては難があるのではないかと感じています」

>――二つ目はウクライナ国内の『義勇部隊による攻撃の可能性』です。5月1日、2日にロシア西部での列車脱線に関与した可能性も指摘をされていますがいかがでしょうか?
>「 去年も思想家の娘さんが8月に道路で爆破されたテロがありました。今年3月にもサンクトペテルブルクでロシアの軍事ブロガーが爆破した事件もありました。となりますと、義勇部隊のよる犯行という可能性もあるのですが、ドローンを持っているのか、どこから発射したのかについて謎になってきます」

――共通して『謎だと』おっしゃっているのが、プーチン大統領がクレムリンにいないとわかっているのに攻撃を仕掛けたのはなぜかかという点ですが、基本的にプーチン大統領はクレムリンにはいないなということなんですね?

>「特にコロナ禍以降は私邸がモスクワ近郊(ノボオガリョボ)にあるのですが、プーチン大統領は常にそこにいるとされています。ところが、ノボオガリョボ、サンクトペテルブルク、ソチ、モスクワのクレムリンの執務室とは実は、内部の密告によってわかってるんですが、同じ形の執務室を作っていて、プーチン大統領がどこにいるのかはカモフラージュしていると指摘されています。3日の日は、ノボオガリョボにいたとされています。モスクワ側の発表でそれを100%信じるのかということにもなるのですが、プーチン大統領の場所は、依然としてどこにいるのかわからないというカモフラージュの状況にあります。そして、このクレムリンにはほぼいないという指摘もあります。3日未明に狙うという目的は、ウクライナ軍、もしくは義勇軍の目的からしても、達成できないのになぜ狙ったのかそしてドローンによる2機でこの攻撃を達成できると思えないので、ここにも疑問が出てくるということです」


>ロシアの自作自演説「大統領府の上での爆発」はリスク大きすぎる

>――もう一つの可能性はロシアによる自作自演ということです。5月9日の戦勝記念日を前に国民に対し、戦争継続の理由づけを強化、戒厳令を出して出しているのですが、国家総動員体制に移るのではないかということです。なぜわざわざクレムリンを狙ったのかが不可解だなということですね。

>「アメリカのシンクタンク『戦争研究所』は、ロシア側の自作自演を疑っているんですが、大統領府の上で爆発してるわけですから、一歩間違うと、引火して、火災が起こる可能性もありました。あまりにも失敗した時のリスクが大きいとなりますと、例えばモスクワ市内にはロシア国防省の建物もあります。例えばモスクワ市の市庁舎もありますし、他にも狙える場所があるにも関わらず、なぜここを狙ったのかということにも大きな疑問があります。つまり失敗するとリスクが大きいのに、果たして自作自演にあるんだろうかと疑問が湧いてきます」

>(2023年5月4日放送『よんチャンTV』より)

<参考=「”謎多すぎる”「ドローン攻撃」プーチン大統領『ほぼクレムリンにいないのに…』なぜ狙われた?4つの可能性を専門家が解説」(MBS)>
(23/05/06)


【閻魔大王】 2023/05/07 (Sun) 22:02

副題=露、南部占領地域から7万人退避 本格反攻に備えか(産経新聞)

そもそもが、
ウクライナ軍が、いつ、どこを攻めるのか<?>

いつは、5月9日の、ロシアの戦勝記念日か。
一説では、15日までにはと、してるですが。その15日の根拠不明。

>ロシアによるウクライナ侵略で、ロシアが一方的に併合を宣言した南部ザポロジエ州の「知事代行」を名乗るバリツキー氏は5日、前線に近い18集落から7万人規模の住民を後方に退避させると発表した。ウクライナ軍の砲撃が強まっているためだとしている。タス通信が伝えた。

>同州は、ウクライナ軍が近く着手するとの観測が出ている大規模な反攻作戦の標的の一つとなる可能性が指摘されている。

>ロシア側は退避対象地域にあるザポロジエ原発は稼働を続ける方針だとした。

>英国防省によると、露軍はウクライナ軍が同州の要衝メリトポリの奪還を目指す可能性があるとみて、同州に長さ約120キロの防衛線を構築している。

>米シンクタンク「戦争研究所」は5日、露軍が現在、作戦地域のほぼ全域で攻勢を停止し、ウクライナ軍の反攻に備えて防御に切り替えているもようだと指摘。露民間軍事会社「ワグネル」トップのプリゴジン氏が5日、露軍からの弾薬供給不足を理由に最激戦地の東部バフムトから部隊を撤退させると表明した背景にも、反攻を見据えて弾薬温存を図ろうとする露軍の戦略的思惑がある可能性が高いと分析した。

<参考=「露、南部占領地域から7万人退避 本格反攻に備えか」(産経新聞)>
(23/05/06)


【閻魔大王】 2023/05/07 (Sun) 23:29

副題=中村逸郎氏が警鐘 広島G7開催のタイミングでロシアが核攻撃の可能性(東京スポーツ)

どこまでが、本当の話かわからんです。

>筑波大学名誉教授の中村逸郎氏が7日、「サンデージャポン」(TBS系)に出演した。

>番組ではロシア大統領府があるクレムリンがドローン攻撃を受けたことについて取り上げた。

>ドローン攻撃がロシアによる自作自演説について中村氏は「戦勝記念日の軍事パレードはすでに21の都市で中止なんです。自作自演だとしても何のメリットもない。私の見立てではロシア軍と対立しているワグネルが仕掛けたんじゃないか」との見解を示した。

>現在のロシアは兵器不足に陥っているという。中村氏は「最大の原因は経済政策が非常に大きいワケです。窮地に立つプーチンが最後に戦術核を使うんじゃないか。しかも5月の中旬に広島でG7サミットがある。そのタイミングで撃ってくる可能性が否定できない。非常に危険な状態になるかもしれない」と指摘した。

>続けて「連邦議会の議員たちのなかでも核で対抗していかないとロシア自体が持たない。ロシア国内の中でも権力闘争が激しいから。核で潰していくしかないというところまでプーチンが(追い込まれている)」と警鐘を鳴らした。

>核を撃った場合に「NATO、アメリカが迎撃できるかが一番大きなポイントなんです」と話した。

<参考=「中村逸郎氏が警鐘 広島G7開催のタイミングでロシアが核攻撃の可能性」(東京スポーツ)>
(23/05/07)


閻魔大王】 2023/05/09 (Tue) 00:28

副題=ワグネルには、弾薬供給されるになった。

一時には、弾薬が供給されないなら、10日に撤退すると、宣言したですが、供給されるなら、戦闘継続<?>

<写真>
ロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者プリゴジン氏=5日にプリゴジン氏の関連会社コンコルドが通信アプリ「テレグラム」に投稿した動画より(AFP時事)
© 時事通信 提供



>ロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者プリゴジン氏は7日、ウクライナ東部ドネツク州の激戦地バフムト情勢を巡り、「(ロシア国防省から)戦闘継続に必要な弾薬・武器の供給が約束された」とSNSで主張した。プリゴジン氏は先に、緊張関係にある国防省が弾薬不足を解消しないとして、バフムトから10日に撤退すると宣言していた。

<参考=「「ロシア国防省から弾薬供給」 撤退宣言のワグネル創設者」(時事通信)>
(23/05/07)


【閻魔大王】 2023/05/09 (Tue) 13:42

副題=ウクライナの一大反転攻勢作戦で第2次大戦以来の「欧州戦車戦」が勃発か(JB)

いずれにせよ、
ぼちぼち、決戦の火蓋は、切られるです。

<写真1>
ウクライナに供与された独戦車「レオパルト2」(写真:AP/アフロ)



<写真2>
120mm砲を装備する英国戦車「チャレンジャー2」(写真:米陸軍)



<写真3>
120mm砲を装備する米陸軍の主力戦車「M1A2」(写真:米陸軍)



<写真4>
独陸軍の主力戦車「レオパルト2」(写真:米陸軍)



>4月30日、ウクライナのゼレンスキー大統領は「重要な戦闘が間もなく始まる」と宣言、同国軍の一大反転攻勢が「秒読み」だとほのめかした。

>ウクライナの反転攻勢については年初から「雪解け後の4月以降では?」と全世界のメディアや専門家が予測していた。その見立て通り、西側最強のMBT(主力戦車)“三羽烏”である「チャレンジャー2」(英)、「レオパルト2(レオ2)」(独)、「M1」(米)の供与も解禁された。また、これらを備えた“専門軍団”の創設と猛特訓も4月いっぱいに完了するなど、反転攻勢のお膳立ては揃ったといえる。

>欧州での戦車戦としては第2次大戦以来のスケールとなることは確実だが、想定される突撃ルートや戦い方について推理してみたい。


>■ 流出機密文書に書かれた兵力は嘘かまことか? 

>反転攻勢が現実味を帯び出した4月初め、水を差すようにNATO(北大西洋条約機構)の機密文書の流出が発覚した。絶妙のタイミングだったことから「見切り発車で作戦を強行しそうなゼレンスキー氏の“勇み足”を阻止するため、アメリカがあえて仕掛けた一大情報作戦ではないか」との指摘も出た。

>流出文書は新しく編成された専門軍団にも言及、この情報自体がそもそも怪しいとの声も強いが、とりあえずこの情報を叩き台に推察すると──。

>軍団は「機械化旅団」12個で、うち9個は欧米など国外で鍛え上げられ、4月までに完了の予定(機密文書は3月現在)。「機械化」とは戦車や装甲車を多数配備し、攻撃力(火力)とスピード(機動力)に優れているという意味だ。

>規模は約5000名、世界で最も実戦経験豊富な米陸軍のフォーメーションが手本になっていることは想像に難くない。

>米陸軍の編成だが、現在の戦車部隊の主軸は、「機甲旅団戦闘団」(Armored Brigade Combat Team:ABCT。兵員5000名弱)で、戦車や歩兵、砲兵、工兵、防空、補給など多種多様な部隊からなり文字どおりの「戦闘団」だ。

>「諸兵科連合部隊」とも呼ばれ、ある程度の規模の作戦を単独(自己完結)で続けられる。最低限必要な部隊を“全部乗せ”した戦闘集団で、MBTが約90台と比較的多いのが特徴だ。「師団」(兵力は1万~1万5000名程度)の規模をほぼ3分の1に圧縮した、小回りの利く“ミニ師団”と考えていい。

>一方、国外で訓練を受けた9個の機械化旅団の中身は、戦力に多少の差はあるが、各旅団は戦車30台前後、装甲車60~100台。全体で約4.5万名、戦車250台以上、装甲車・自走砲1000台弱の規模となるだろう。

>ABCTと比べ戦車数が3分の1と少ないが、実はNATOの欧州主要国、英仏独の陸軍と同等かそれ以上の戦力だ。中でも「第33旅団」と呼ばれる部隊が最強らしく、話題のMBT、レオ2を50台弱も揃える。

>加えて突撃前に対峙する敵を砲撃で叩きのめす(俗に「耕す」とも言う)ために使う、米製のM109自走砲を24台も備える。キャタピラ(装軌)式で戦車と随伴して悪路も踏破できるのが特徴で、他の旅団の大部分が牽引式の大砲で砲撃までの準備に時間がかかり、悪路に弱いのとは明らかに違う。


>■ 反転攻勢の殴り込み部隊「第33旅団」の狙い

>一方MBTの天敵が、塹壕などに潜み狙い撃ちする隊員の存在だろう。

>だが「第33旅団」は歩兵輸送用にトラックに似たタイヤ式装甲車(米製「マックスプロ」)を配備。もともとアフガニスタンでのゲリラ戦用に開発し、地雷を踏んで車両が大破しても乗員は無傷という構造だが、果たしてロシアの正規軍との戦車戦に相応しいのか、との懸念もある。

>もしかしたらこの情報こそがロシア側を混乱させる「情報戦」かもしれない。これまでのロシア侵略軍の稚拙な戦い方を踏まえ、「トラック型装甲車で十分」と確信したのだろうか。

>ウクライナの国土の大半は、小麦・トウモロコシ畑が地平線のかなたまで広がる大地。ただし雪解け時の春は水田のようにぬかるみ、キャタピラを履く戦車でさえ足を取られるほど。しかし5月に入れば地面は固まり、4WDのトラック型装甲車も十分走れる。

>キャタピラ式の装甲車よりも燃費がよいので補給部隊の負担も軽くなり、整備や操縦も楽で、地雷でタイヤが吹き飛んでも予備タイヤと交換してすぐさま戦線復帰ができる。逆にキャタピラは意外と外れたり故障したりする代物で、地雷で損傷した場合は修理にも時間がかかる。これらを考えれば「トラック型装甲車」の方が合理的と判断したのかもしれない。

>一方、大半の旅団の戦車数が「30台程度」に過ぎない点も気になる。だが対するロシア侵略軍は「大隊戦術群」(BTG。兵力600~800名、戦車10台前後、歩兵戦闘車約40台)と呼ばれる部隊が基本で、これを2つ合わせ「旅団」を編成するようだ。

>つまり同じ旅団でもウクライナの機械化旅団が「兵力約5000名、戦車約30台」に対し、ロシア側は「同1200~1600名、約20台」なので、十分対抗可能だと踏んだのかもしれない。

>これらのことを勘案すると、第33旅団は反転攻勢の「殴り込み部隊」として先陣を切り、ロシア側の防備の薄い所に楔(くさび)を打ち込み、他の旅団はこれに続き脇を固めながら雪崩れ込み突破口を広げて進撃する。既存のウクライナ軍歩兵部隊も加勢し、ロシアの敗残兵を一掃──というのが大まかな流れではなかろうか。反転攻勢に投入される兵力は、12個旅団を中心に15万名前後に達すると推測される。


>■ NATO事務総長が戦車供与の現状をアナウンスした理由

>4月下旬、NATOのストルテンベルグ事務総長は「NATOと友好国は戦車230台以上、装甲車両1550台以上をウクライナに供与した」と表明、約束した数の98%以上に達すると断言した。

>これは前述の9個旅団の戦車、装甲車・自走砲数と大差がなく、図らずも流出機密文書の信憑性の高さを立証する格好だ。このため「NATO首脳がわざわざこの時期にアナウンスするのには、何か裏があるのでは?」と、専門家の間では虚々実々の情報戦が展開されているのでは、との見方が支配的だ。

>さて、12個の旅団が用意されていると見られる反転攻勢軍団のうち、9個旅団の他にも国内で訓練中の旅団3個が存在するようだが、これについては情報が皆無に近い。一説には、実はこれこそが作戦の主軸で、1個はレオ2、もう1個は1世代前の独製「レオパルト1」(レオ1)をそれぞれ90台前後備えた“最強戦車旅団”では、との深読みもある。

>レオ1は多少打撃力で劣るものの、レオ2と同等レベルの性能を誇る照準システム(FCS/射撃統制装置)を持ち命中精度に優れる。

>さらには「供与は当分先とアメリカが念押しする米製M1A1(M1の120mm砲搭載型)の引き渡しと戦車部隊訓練も、実は秘密裏に進められ“M1A1旅団”1個も仕上がっている」と勘繰る声もある。


>■ 専門家が口を揃える反転攻勢の「進撃ルート」

>では、反転攻勢の進撃ルートはどこか。各メディアや専門家は「ザポリージャ州~メリトポリ~アゾフ海」と口を揃える。

>ロシアが占拠するウクライナ南部地域は、ロシア国境から西進しアゾフ海沿いにクリミア半島の付け根をかすめ、ヘルソンに至る東西約500km、南北の幅約100kmに及ぶ。このほぼ中間のザポリージャ州の北から逆襲し、一気にアゾフ海まで進撃して南部地域を分断。西端のヘルソン周辺に布陣するロシア軍部隊を事実上孤立させ、「降伏か、クリミア半島への敗走か」の二者択一を迫る──というシナリオが真実味を帯びている。

>このルートの距離は約100kmで平坦な畑が広がり、戦車や装甲車が走るには好都合な戦場だ。途中、人口10万人クラスの中心都市メリトポリがあり、ウクライナ側のパルチザン(ゲリラ組織)が抵抗活動を続ける。

>市街戦は市内に立てこもる側が断然有利で、ウクライナ側に相当の損害が出る可能性もあるため、市内突入は控えて都市を包囲して「兵糧攻め」を実施。主軸部隊は脇目も振らずにアゾフ海の海岸を目指す。まさにスピードが命の「電撃戦」そのものだ。

>なおロシア軍は前線に沿って総延長120km超、幅数百mの強固な防御陣地を構築。対戦車用の塹壕や地雷原、三角錐のコンクリート製ブロック「竜の歯」、鉄条網などを何重にも配し、塹壕やコンクリート製シェルターには対戦車ミサイル(ATM)や機関銃を構えた兵士が配置されているという。

>軍団にとっては実に厄介な存在だが、防御陣地の撃破には秘策とも言うべき「(燃料)気化爆弾」を使う可能性も取りざたされている。

>これは「サーモバリック弾」とも呼ばれ、大量の液体燃料・固体の爆薬を大気中で瞬時に気化・発火して爆発的に燃やし、凄まじい衝撃波や高温高圧の爆風、酸欠状態、一酸化炭素を大量発生させる。そして、地雷や構築物、塹壕に隠れる敵兵を一掃するという爆弾だ。

>「非人道的」との批判もあるが、同種の爆弾はロシア軍がすでにこの戦争で使用しており、ロシア側が文句を言う筋合いではない。

>ただこの「ザポリージャ~アゾフ海」ルート、味方の戦闘機・攻撃機による分厚い航空援護(エアカバー)がなければ達成は極めて困難と見るのが常識だろう。ロシア側も当然このルートを最も警戒しているはずで、地上部隊も手厚く配置し、温存する数百機の戦闘機・攻撃機を差し向けてウクライナ軍団の壊滅に心血を注ぐのは間違いない。


>■ ロシア軍機を迎え撃つ戦闘機、対空ミサイルの配備は?

>ウクライナの航空戦力は、2022年12月時点で戦闘機はミグ29、スホーイ27など100機前後、攻撃機はスホーイ24/25など30機あまりに過ぎず、エアカバーするにはあまりにも心許ない。

>攻勢作戦を行う時、軍団の指南役である米軍なら、圧倒的な戦闘機・攻撃機を繰り出し、いの一番に敵のレーダー施設を叩き、戦闘機や対空ミサイル(SAM)の動きを封じるだろう。その後に対空ミサイル本体や航空基地、指揮・通信施設、補給路、砲兵部隊を攻撃していくのがセオリーだ。

>つまり強大な空軍戦力で完全に制空権(航空優勢)を握ってからでなければ地上部隊は進撃しない、というのが第2次大戦以来の米軍の戦い方で、逆に制空権を握らず地上のSAMだけで戦車部隊が突撃するという戦法は、彼らのバイブルにはない。

>ウクライナ軍はNATOが供与を始めた米製「パトリオット」(数十~160km)を皮切りに、既存の「S-300」(同90~150km)など比較的射程距離の長いSAMを有するが、速攻第一の旅団と行動し、所定位置にセットしてロシア軍機を迎え撃つというのはあまりにも無理があるだろう。

>進撃ルートの途中はまだロシア軍の攻撃が続く戦場で、ここにミサイル発射機やレーダー、管制室の3点セットをセットするのは非現実的だ。敵に簡単に狙われて破壊される可能性が高く、それ以前に再装填用の高価なミサイルも大量に運びこまなければならない。

>「最前線のギリギリにSAMを配備し、長い射程を活かしてロシアの戦闘機・攻撃機を迎撃すればいいのでは?」との指摘もあるようだが、軍団が到達目標とするアゾフ海は、最前線から100km以上も離れ、パトリオットやS-300でなければカバーは無理。しかも「乱れ撃ち」できるほどミサイルが潤沢にあるわけではない。

>軍団にはSAM装備の装甲車や歩兵が肩撃ちする携帯式SAM「スティンガー」、各種対空機関砲も配するが、護身用の拳銃のようなもので、射程は短くこれを防空の要(かなめ)とするのはあまりにも無謀だ。

>「ウルトラC」として、多数のドローンを使ってエアカバーするとの説もあるが、少々近未来過ぎてリスクが高すぎると見るのが普通だろう。


>■ 陽動作戦でノーマークのルートを進撃する可能性も

>そこで一部では、よりリスクが低く今までほぼノーマークの「メリトポリ左回り」ルートが囁かれ始めている。

>ザポリージャ市(ウクライナ支配地)の南部から前線を突破し、軍団はまずここで2つに分かれる。主力部隊がすぐ西に折れ、もう片方の部隊は牽制部隊として、誰もが最有力視しロシア側も警戒する前述の「ザポリージャ~アゾフ海」のルートを、あたかも進撃の本筋だと言わんばかりに派手に振舞う。専門用語で言う「陽動(引っ掛け)作戦」だ。

>その隙に主力部隊は敵の防備が比較的手薄なドニプロ川の人造湖(カホフカ貯水池)沿岸を一気に進み、メリトポリ西側に回り込むように南進してそのままアゾフ海に到達するというシナリオだ。ロシア側もまさか人工湖を越えて、ウクライナ軍が上陸作戦をするとは考えず、この辺りの兵力配置は手薄だと考えられる。

>それと連動してドニプロ川の全般にわたりウクライナ特殊部隊の高速ボートによる奇襲上陸作戦を至る所で展開。守備するロシア軍を翻弄させながら、頃合いを見て同川の数箇所に橋頭保を確保。前述の主力部隊の前進と連動し、ヘルソン地域守備のロシア軍に揺さぶりをかけるという一大作戦だ。

>最大のメリットは、人造湖の対岸がウクライナの支配地域で、距離にして30km足らずだということだ。

>ウクライナ軍が持つ一般的な大砲(射程30km)でも十分援護射撃が可能で、長射程の高機動ロケット砲システム「HIMARS」(同80km)や、HIMARSから発射できる長射程の精密ロケット弾「GLSBD」(同150km)の支援も十分期待できる。同じく射程数十km程度のSAMでも主力部隊を十分エアカバーできる点にある。もちろんウクライナ空軍も自国の近くで出撃しやすい。

>加えて、米軍やNATOの電子戦機が、ウクライナ南部のオデーサ(ウクライナ支配地)の領海ギリギリの公海上空で旋回飛行し、強力な電子妨害(妨害電波。ジャミングとも言う)をこの地域に浴びせロシア軍機やミサイルを狂わす側面支援も十分行える。

>その反面、ロシア空軍は本国から離れているので、この地域の制空権(航空優勢)を確保するのはかなり難しいだろう。

>それ以前に、進撃する主力部隊にとって敵は片方(一方は人造湖)にしか存在しないので防御が楽。しかも作戦継続に欠かせない武器・弾薬・補給(兵站)も人造湖を活用できる。

>上陸用舟艇や既存の河川用の小型貨物船や艀(はしけ)などを動員して水運すれば、相当量の軍需物資の供給は可能だと見られる。頃合いを見計らって、小型舟艇を使った「浮き橋」を何本も構築して補給路を強固にするのも可能だ。


>■ メリトポリ以西の地域を奪還する壮大なシナリオの行方

>ヘルソン周辺には4~5万名のロシア軍が立てこもると見られるが、ウクライナ軍が思いもよらない東側から現われ、しかもドニプロ川の西側からも、絶えずウクライナ軍特殊部隊が上陸侵攻作戦を展開する状況で、果たして士気の低いロシア軍がヘルソンで徹底抗戦するか、かなり疑わしい。総崩れするくらいならクリミア半島に撤収、という選択肢を選ぶほうがロシア軍全体にとっては賢明との意見も少なくない。

>うまくいけば、ヘルソン周辺のロシア軍は「兵糧攻め」を恐れて早々にクリミア半島に撤収し、ウクライナはメリトポリ以西の地域を奪還という壮大なシナリオだ。

>ただし、気になる点が2つある。1つ目は依然としてロシア軍が籠城するザポリージャ原発の存在で、最悪の場合原子炉を破壊して意図的に放射能をまき散らす危険性がある。ただし、黒海のリゾート地にあるプーチンの別荘、通称「プーチン宮殿」にも被害が及ぶので行わないのでは、との見方もあるが分からない。

>2つ目は人造湖をせき止めるカホフカ・ダムを破壊してドニプロ川下流で洪水を起こし、ウクライナ軍の渡河作戦を妨害しかねない点だ。だが強行すると湖の貯水量は極端に落ち、水資源の大半をここに頼るクリミア半島はすぐさま干上がってしまう。ロシアにとっては「天にツバを吐く」行為だが、プーチン氏ならやりかねない。

>孫子は「兵は詭道なり」として、戦いは騙し合いだと説いたが、裏をかいて予想すらしない反転攻勢ルートが飛び出すのか、あるいは裏の裏をかいて「王道」を進むのか──。ウクライナ軍の“先生役”である米軍は、第2次大戦の「ノルマンディ上陸作戦」、朝鮮戦争の「仁川(インチョン)上陸作戦」、湾岸戦争の「砂漠の嵐作戦」(砂漠からの大迂回進撃)など、一大奇襲作戦を次々に成功させている。

>ゼレンスキー氏が仕掛ける、21世紀最大の「一大反転攻勢作戦」の火蓋は間もなく切って落とされる雲行きだ。

>深川 孝行

<参考=「ウクライナの一大反転攻勢作戦で第2次大戦以来の「欧州戦車戦」が勃発か」(JB)>
(23/05/09)


【閻魔大王】 2023/05/09 (Tue) 21:18

副題=既に始まったウクライナの反転攻勢、ロシア各地で謎の火災が多発中(JB)

事実上、既に、反抗は開始されてるです。

>■ ウクライナによる後方攪乱工作という謀略

>ロシアのウクライナ侵攻から1年2か月以上が経過した。雪解け後のウクライナ軍の大規模な反転攻勢が予想されている。

>ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は4月30日、国境警備隊の日に関連した式典での演説で、ロシアのウクライナ侵略について「この戦争での主要な戦闘が控えている」と述べた。

>ウクライナ軍が計画する大規模な反転攻勢の開始が近いことを示唆した。

>ところが、本当にウクライナ軍がすぐに反転攻勢に出るかは分からない。

>「兵は詭道なり」という。「戦争とは騙し合いである」という意味である。

>すぐにでも攻撃するように見せかけて、ロシア軍を緊張・疲弊させようとしているだけかもしれない。

>しかし、現代においては偵察衛星や無人偵察機などで部隊の動きが常時監視されているので、騙すことは難しくなっている。

>さて、ウクライナ軍は謀略にも長けている。

>2022年9月6日に開始されたウクライナ軍の反転攻勢ではウクライナ軍は、5日間でハルキウ州のほぼすべてを奪還した。

>ロシア軍は戦車や装甲車、武器、弾薬を捨てて遁走した。この反転攻勢の成功は、陽動作戦によってもたらされたものである。

>ウクライナ軍は8月下旬、南部へルソンへの大規模反撃作戦があるように見せかけ、東部のロシア軍の南部への移動を誘い、手薄となった東部に奇襲をかけ、一気に東部を制圧したのである。


>ところで、話は変わるが、本年(2023)4月にウクライナの公開情報の調査・分析コミュニティの「モリファル」(Molfar)が興味深い調査報告書(更新版)を公表した。

>それによると、ロシアでの昨年通年の火災発生件数が414件だったのに対し、今年1~3月の3カ月間ですでに212件に増加しているという。

>かつ、いずれも数百万ドル(約数億円)規模の被害が出ており、経済がすでに低迷しているロシアにとっては大きな打撃となっているという。

>さらに、同報告書によれば、これらの火災はウクライナのスパイ活動とロシアのレジスタンス運動に起因するものだという。

>ウクライナのスパイ活動とは、具体的には後方攪乱工作という謀略によるものである。

>「後方攪乱」は読んで字のごとく敵前線に対しての後方地域に工作を行い、混乱と動揺を惹き起こすことである。

>一般には、謀略とは目的を秘匿し極秘裏に行われるスパイ活動である。他方、後方地域を軍事力で攻撃することは策源地攻撃と呼ばれる。

>本稿では、ウクライナの後方攪乱工作という謀略とモリファルの調査報告書について述べてみたい。

>最初に、謀略、諜報、宣伝の3つの手段により実施される秘密戦の概念と世界的に有名な謀略の成功例である明石謀略について述べ、次にモリファルの調査報告書の内容について述べ、最後にブラックボックス・プロジェクトについて述べる。


>■ 1.秘密戦の概念と明石謀略

>前述したが、後方攪乱とは読んで字のごとく敵前線に対しての後方地域に工作を行い混乱と動揺を惹き起こすことである。後方攪乱は謀略の一つの方法である。

>今日、諸外国でインテリジェンス活動と呼ばれるスパイ活動は、旧日本軍では秘密戦と呼ばれていた。

>秘密戦の詳細は、拙稿「日本でのスパイ活動でドイツに勝利したソ連軍」(2022.1.13)を参照されたい。


>(1)秘密戦の意義

>世界の戦争の歴史を観察して見ると、その紛争解決手段は概して武力行使が主体を成し、政治、外交などの手段がその補助となっている。

>これらの紛争解決手段の中で世人の目に多く触れるものはその表面の部分である。

>しかし、さらに仔細を観察するとその武力行使や政治、外交の表面的手段に伴いあるいはその前後において政治的裏面策動(合従連衡など)、相手側の首脳部や要人に対する「テロ」、宣伝による社会攬乱など幾多の裏面的策謀が見受けられる。

>国家相互間の紛争においてはもとより、民族や社会紛争においても表面的手段をもって争うことは一般的要領であるが、洋の東西を問わず時の古今を論ぜず、紛争に関してしばしば有効なる裏面的策謀が潜在していた事実を見逃すことはできない。

>しかも、これら裏面的策謀の方がかえって紛争解決のカギとなっている場合がしばしば見受けられたことは注意すべきである。

>また、国家相互間の紛争が発生した時に平素実施していた裏面的策謀がその実を結ぶというのが定石であると言いたいくらいに、平時における裏面的策謀は意義を持っている。

>以上のような裏面的策謀であって、国家の実施するものを武力戦や外交戦、経済戦などの表面的手段に対応し、「秘密戦」とする。

>また、秘密戦とは裏面的策謀であるから、その目的・手段が表面化したものは秘密戦たり得ない。


>(2)秘密戦の手段

>旧日本陸軍参謀本部第二部が作成した『秘密戦概論』では、秘密戦は、(1)謀略、(2)諜報、(3)宣伝の3つの手段により実施される。

>(1)謀略とは、相手国の国家機能を阻害し、国力の減退を計り、国際的地位の低下を求め、もしくは国防力の直接的破壊・低下を求めるものである。

>(2)諜報とは、その行為の目的を秘匿して行う情報収集活動である。諜報には合法的なものと非合法的なものがある。

>(3)宣伝とは、口頭、文書、その他の手段を以って、相手側の感情と理性とを自己の希望の如く整調(理解と共鳴を求めること)する行為である。

>また、今日の謀略、諜報、宣伝の多くがコンピューターネットワークを利用して行われるようになっている。

>(3)防諜の意義

>平時、戦時を問わず、相手の我に対する秘密戦(妨害、攬乱、破壊行為など)を阻止、破砕し、国策、政治、行政の円滑なる遂行を期するための防衛作業を防諜と呼ぶ。

>相手からの秘密戦を防衛するためには、まずその存在の看破が第1段階であり、その内容の知得が第2段階である。

>その際、相手の存在を確認するためには、国内における防衛作業のみでは困難であり、国外にも必要な施策を講ずることが必要となる。

>したがって、防諜には、国外において防衛措置を採って秘密戦の阻止に努め、この防衛線を通り抜けたものを国内において阻止、破砕することを原則とする。

>次に、一つの謀略が戦争の帰趨を決したとも言われる明石謀略を簡単に紹介する。

>(4)明石謀略

>ソ連は、ナポレオン軍に侵略されても、ヒトラー軍の侵攻を受けても負けなかった。

>それが日露戦争ではたいして侵略もされていないのに、日本に負けた。

>ロシアが手を上げた直接の原因は、国内に革命が起き、政府が転覆しそうになったことである。

>日ロ開戦必至とみられた明治34年(1901)、明石元二郎中佐(36年大佐)は田村怡与造参謀次長の密命を受けてヨーロッパに渡った。

>明治35年(1902)ロシア公使館武官となり、ロシア国の体質研究にもとづく構想により、ロシア共産党に働きかけて、武器、弾薬、資金を供給した。

>同時に農民労働者の暴動、水兵の反乱、在郷軍人の招集拒否運動、満州への軍隊輸送妨害工作などを扇動し、ついに無政府状況に陥らせ、ロマノフ政権に戦争継続意欲を放棄させたのである。

>この明石工作に感嘆したのは、当時のドイツ皇帝のウイルヘルム2世で、「明石一人で、大山満州軍20万に匹敵する戦火を上げた」と言い、10年後に起きた第1次大戦ではこの手を真似て、ついに帝政ロシアを崩壊させている。

>明石工作は、理想的に行われて成功した謀略のモデルケースである。

>そして思想的に大衆を動員し、組織的であった点に特徴があり、そのまま現代に通用する(出典:『統帥綱領』建帛社)。


>■ 2.モリファルの調査報告書の内容

>モリファルは本年1月に調査報告書『過去3か月でロシアの火災の発生率が2倍になった』を公表した。

>そして今回、その調査報告書の更新版を公表した。以下は、更新版(英語版)を筆者が翻訳したものである。

>(1)モリファル(Molfar)とは

>モリファルは60人の優秀なアナリストと200人以上のボランティアからなるグローバルなOSINT(Open Source Intelligence)コミュニティであり、軍事調査、事実確認、情報検索および分析を行う。

>現在、ウクライナ戦争に関連して次のことに取り組んでいる。

>(1)戦犯の身元確認

>(2)ロシアのプロパガンダの反駁

>(3)戦争犯罪の捜査

>(4)本格的な戦争に関連した出来事の完全なアーカイブ

>(5)ロシアの侵略を支援する企業のリストの収集

>モリファルは、39か国で調査を実施するが、ほとんどの調査はウクライナ、米国、英国で実施される。

>モリファルは、作業を開始する前に、情報を検索するときにシークレットモード(ウエブ閲覧などのプライバシーを確保できる機能)を監視するようにサービスを構成する。

>調査を実施するために、検索クエリ(ユーザーが実際に検索した単語や単語の組み合わせ)の分野で専門知識を持つ専門家を関与させる。

>報告を作成する時は、情報の信頼性を確認し、受け取ったデータを評価して体系化し、 専門家がペアでリポート作成に取り組む。

>(2)調査報告書(更新版)の内容

>調査報告書(更新版)では調査項目毎に図表が添付されているが、本項では2つの図表のみ引用した。

>ア.最近15か月間の火災の発生数

>図表1は、ロシアでの過去15か月間の火災発生数の実数(factual number)と予測数(forecasted number)を示している。<省略>

>2022 年全体で414件の火災が発生したのに対して、2023年の最初の3か月間で212件の火災が発生した。

>図表1:ロシアでの過去15か月間の火事の実数と予測数<省略>

>イ.ロシアで火災が最も多く発生した箇所はどこか。

>ロシアでは、工場、倉庫、ショッピングモールが最も頻繁に火災が発生している。

>工場と倉庫が最も多く焼失し、全ケースの70%以上がこれらの施設で発生した。

>ショッピングセンター(モール)も全ケースの12%である。

>その他、エネルギー施設、軍事工場などで発生している。すべての火災は夜間に発生したため、大量の死傷者は出ていない。

>軍の工場やエネルギー施設での火災に関する情報は、(国の統制により)もはやロシアのメディアには掲載されない。

>ロシアのメディアは火災の一部のみを公開するか、情報を編集して掲載するか、被害の規模を小さくするかのいずれかである。

>しかし、モリファルのチームは、必要なアクセス権を持つ有能な人物から詳細なデータを直接入手した。

>したがって、この調査では、ロシア連邦緊急事態国家登録簿の「非公開」統計を使用することができた。

>一部のロシア人はすでにウクライナの勝利のために活動している。

>我々は、彼らにアドバイスする。主観的な観点からは、ロシアの火力発電所と重要なインフラ施設での火災がロシア政府にダメージを与えるのに最も効果的である。

>特に、武器、装備、砲弾、弾薬、その他の軍事用品の製造に関与する企業も効果的である。

>次に、2023年の最初の3か月間にロシアで発生した火災で、注目度と損失から上位3位の火災を紹介する。

>(1)クラスノヤルスクで6000平方メートルの倉庫が火事になった。火災は74人と24台の消火機器によって消火された。

>(2)モスクワ地方で5000平方メートルの生産施設が火災に見舞われた。火災は55人の救助隊員と17台の消火機器によって消火された。

>(3)モスクワ州オジンツォボで4000平方メートルの面積をカバーする倉庫が火災に見舞われた。火災は83人と23台の消火機器により消し止められた。

>ウ.月毎の火災発生箇所の割合

>最近15か月間の全火災の11%がロシアの首都圏で発生している。

>2023 年の最初の3か月で、ロシアのモスクワ地域では次箇所で火災が発生した。

>(1)8つのショッピングモール

>(2)20の倉庫

>(3)6つの工場

>(4)1つのエネルギー施設

>昨年の最初の3か月間で、モスクワ地域で発生した火災は6件だけだった。火災発生は今後も増加する傾向にある。

>エ.ロシア連邦内の火災多発地域

>過去15か月間の上位5位の地区は順にモスクワ、レニングラード、スベルドロフスク、およびロストフ地域である。

>ロストフ地域はウクライナとの国境に位置しているため、ロシアは、ウクライナの破壊工作員のせいにする。

>しかし、それは倉庫や工場の従業員たちのサボタージュ(抗議行動としての破壊行為)であった可能性がある。

>オ.地域別の火災発生箇所別割合

>図表2は、地域別の火災発生箇所別割合を示している。<省略>

>図表2:地域別の火災発生箇所別割合<省略>

>全地域で倉庫や工場が首位に立っているが、商業施設、産業施設、さらには軍事施設でも火災が発生している。

>興味深いことに、石油精製所とガスパイプライン施設は、モスクワからの遠隔地で活発に火災が発生していることである。

>カ.ロシアでの火災発生の責任者は誰か

>謎のウクライナのインテリジェンスプロジェクト「ブラックボックス」(BlackBox)か、またはロシアのパルチザンか。

>昨年の報告書では、ロシア連邦での火災数の増加を説明するために、モリファルは2つの仮説を立てた。

>1つ目はウクライナのスパイ活動で、2つ目はロシアのレジスタンス運動であった。いつものことであるが、真実は真ん中のどこかにある。

>ロシアの火災に関する最新データに基づく、モリファルの分析では、現在ハイブリッドバージョン(両者の組み合わせ)に傾いている。

>キ.「ブラックボックス」と火災発生数との因果関係

>昨年10月に「ブラックボックス」と呼ばれるウクライナ国防情報局の極秘プロジェクトの資金調達が完了した。

>それ以来、ロシア連邦での火災の数は着実に増加している。

>これらの火災は、ロシア連邦のテロ政権にとって数百万ドルの財政的および重大な物質的損失を意味する。

>ブラックボックスの資金調達が完了したことで、火災の発生数が増加している。特に、ウクライナで「反撃」の年と呼ばれる2023年の最初の3か月は、さらに増加した。

>(3)筆者コメント

>現在、ロシア領内でウクライナの勝利のために火災・爆発を起こす3種類の人々がいる。

>1つ目は、ロシアに潜入したウクライナ軍の情報員で、いわゆる破壊工作員である。

>2つ目は、ロシア人のパルチザン(非正規の武装勢力)である。パルチザンはウクライナの情報員と連携していると見られる。

>3つ目は、ロシア人の反政府勢力である。現在、ロシア領内で頻発している火災・爆発はこれらの人々に起因するものと考えられる。

>ところで、今年3月以降、ロシアとウクライナとの国境近くで、次のような火災や無人機による攻撃が多発している。

>(1)3月16日、ウクライナ国境に近い南部の都市ロストフ・オン・ドンにあるロシア連邦保安庁(FSB)の建物で、3月16日に火災が発生した。

>ロシアの反プーチン派パルチザン組織「ブラックブリッジ」が自らの犯行だと主張している。

>(2)4月29日、ロシアが実効支配するクリミア半島セバストポリで石油備蓄施設に火災が発生し、ラズボジャエフ市長は無人機(ドローン)による攻撃だと述べた。

>(3)5月2日、ウクライナに隣接するロシア西部ブリャンスク州の鉄道路線で、2日連続で爆発が起こり、貨物列車が脱線した。

>同州では5月1日にも線路で爆発が起こり、貨物列車が脱線していた。

>(4)5月3日、クリミアに面するロシア南部タマン半島のボルナにある石油貯蔵施設で大規模な火災が発生した。独立系メディアはドローン攻撃があったと報じている。

>以上4つの事象は、ウクライナ軍が計画する大規模な反転攻勢と密接に連携した破壊工作であると同時に、反転攻勢作戦の前哨戦ともいえる。

>また、5月3日未明にロシア大統領府が置かれているモスクワ中心部のクレムリンが無人機2機による攻撃を受けた。

>現時点では、この攻撃は誰が何のために行ったかは不明であるが、ウクライナによる攻撃、ロシア国内の反政府勢力による攻撃、および偽旗作戦を含むロシアの自作自演の3つの可能性が指摘されている。


>■ 3.ブラックボックス・プロジェクト

>ブラックボックス・プロジェクトは、ウクライナ軍事情報機関の秘密プロジェクトである。

>「カムバックアライブ財団(Come Back Alive Foundation)」とウクライナのインフルエンサーのIhor Lachenkov氏は、クラウドファンディングにより、ブラックボックス・プロジェクトの資金600万ドル(約8億円)を集めた。

>同財団は昨年10月「資金の一部でロシアの攻撃力を低下させることができる装備を購入し、ウクライナ国防省の国防情報部に引き渡した」と公表した。

>秘密厳守のため、装備の種類は公開されていない。

>ウクライナ国防情報局のキリーロ・ブダノフ情報局長(現国防相)は、次のように述べている。

>「秘密のため、この協力の詳細を明らかにすることはできないが、その結果は戦場で明らかになるであろう」

>「私たちの見積もりによると、ブラックボックスと呼ばれるプロジェクトは、10月だけでロシアに数百万ドル相当の損害を与えた」

>「財団と関心のあるすべてのウクライナ人と一緒に、私たちは敵の戦闘能力に影響を与え続ける」

>さて、話は変わるが、今回のウクライナ戦争の特徴といえば、SNSを通じた武器調達のためのクラウドファンディングの活用であろう。

>具体的な例を挙げると、例えば開戦直後にカザフスタン出身のビジネスマンがウクライナ軍へのドローン提供を目的に、オランダでクラウドファンディングのサイトを立ち上げた。

>6月にはその資金を元に86機もの空中監視用のドローンをウクライナ軍に届けているという。

>また、東欧チェコのあるサイトが働きかけると、クラウドファンディングで1万人を超える資金提供者たちが「プーチンへの誕生日プレゼント」という名目で2億円近くを支援。

>ウクライナ軍には「T-72」戦車などの軍事物資が提供されたという。

>(出典:ITmediaビジネスオンライン「ウクライナ戦争のクラウドファンディング」2022年11月20日)


>■ おわりに

>ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、「ウクライナが戦場でロシアに勝つのは不可能」であると主張する。

>確かに一理ある。では、ウクライナはどうするかである。

>日露戦争においてロシアは陸海軍ともに日本を凌駕する兵力を有していたが、この戦争はロシア人の多くにとって関心の薄い「人気のない戦争」でもあり士気も上がらなかった。

>現在のウクライナ戦争と似ている。

>旧日本陸軍は「奉天会戦」で勝利し、旧日本海軍は「日本海海戦」で勝利した。

>日露戦争の敗戦はロシアのツァーリズム体制にとって大きな打撃となり、反乱の可能性が増大した。

>この反乱を後押ししたのが明石謀略である。ロシア帝国は反乱により崩壊した。

>「戦いは正を以て合い、奇を以て勝つ」という。

>この言葉は「戦いは、堂々と相手と対峙し、奇策をもって勝つものだ」と解釈されるが、筆者は「戦いは、武力行使や政治、外交の表面的手段により堂々と相手と対峙するが、その裏で奇策、すなわち裏面的策謀をもって勝つものだ」と解する。

>プーチン政権は、反プーチン勢力の抵抗運動が国民に動揺を与えることを恐れ、ウクライナや反プーチン勢力によると見られる火災などを公表していない。

>筆者は、今回のモリファルの調査報告書によって、ロシア国内の実情を知ることができた。

>ウクライナや反プーチン派による火災などが燎原の火となり、プーチン政権を倒すことを筆者は願っている。

>横山 恭三

<参考=「既に始まったウクライナの反転攻勢、ロシア各地で謎の火災が多発中」(JB)>
(23/05/09)


<参考=NO.425 続55<ロシアのウクライナ侵攻>虚々実々の情報戦<!>/すでに、始まっていた<!>
(23/05/11)