閻魔大王<NO.276>
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閻魔大王NO.277 | |||
517 | 続2<米国発トランプ関税>気紛れ自乗トランプ、世界が右往左往 | 閻魔大王 | 25/04/11 |
閻魔大王NO.275 |
NO.517 続2<米国発トランプ関税>気紛れ自乗トランプ、世界が右往左往<起稿 閻魔大王>(25/04/11)
【閻魔大王】 2025/04/11 (Fri) 18:19
<参考=NO.516 続<米国発トランプ関税>気紛れトランプで、世界が右往左往<!>>
(25/04/10)
<副題=トランプ関税のツケはアメリカ国民に…「関税は輸出国が負担」は“ミスリード” 「1世帯当たりの追加出費は3800ドル増加」試算も(FNN)>
大体は、そでして。
関税を掛けると、その物の、値上がるです。上がった分は、国庫なれどの、負担は、購入者。
そもそもが、数%の関税なら、知れてるですが。ン十%では、値引き等々、調整出来るの範囲軽くの突破。
てな事、ド素人でさえ、わかるの、道理でさえ、理解不可の面々が、関税云々と、バカげてるです。
<表紙1>
>世界に関税攻勢を仕掛けているトランプ政権は、関税は「輸出国が負担するもの」で「米国民に負担を負わせない」とミスリードしているのではないか。
>「関税は減税」大統領上級顧問の主張にCNNが疑念
>CNNインターナショナルは1日、次のような文章をフェイスブックに掲載した。
<資料2>
FB
>「ホワイトハウス補佐官のピーター・ナバロ氏は日曜日(3月30日)、ドナルド・トランプ米大統領の関税によって今後10年間で6兆ドル(約900兆円)の収入が得られると予想していると述べた。これは、米国史上最大の増税となる可能性がある。
>インフレーションを調整した場合でも、この金額は第二次世界大戦の戦費を賄うために1942年に導入された増税の3倍に相当する。
>しかし、トランプ大統領の通商および製造業担当上級顧問であるナバロ氏は、これは増税ではなく減税だと主張している。これは、関税はアメリカの消費者が支払うのではなく他国の企業や国が支払うものだというトランプ政権が繰り返し主張している信条を反映したものだ。
>しかし、ほとんどの経済学者は、アメリカが課す関税は外国ではなく、輸入品の価格上昇という形でアメリカの企業や消費者が支払っていると述べている」
>ナバロ氏のFOXニュースの番組での発言で、その前提として同氏は、関税についてこうとも話している。
>「関税は減税であり、関税は仕事を増やし、関税は国家安全保障にもつながる。関税は米国にとって偉大な効果をもたらし、米国を再び偉大にする」
>つまり、関税は輸出国が負担するものであるため、増額されるとその分、米国民の負担する税金が軽減され、減税と同じメリットがあると言っているようなので、CNNがフェイスブックで疑念を投じたのだった。
>関税は“アメリカ国民にツケが回る”
>いうまでもなく、関税は商品を他国から国内に持ち込む企業や個人に支払いの義務があるものだ。そのコストは消費者の購入価格に転嫁されることが多く、究極には輸入国の国民が負担することになるはずなのだが、ハーバード大学で経済学博士号を取得したナバロ氏がそれを知らないはずがない。それをあえて「減税」と主張したのは、関税の増額に伴って物価が上昇し米国民の生活を圧迫することを予見させたくなかったからではないかと考えさせられてしまう。
>実は、ナバロ氏が仕えるトランプ大統領は、かねて関税は輸出国が負担するものというレトリックを駆使しており、政権第1期の2019年5月9日に中国からの輸入関税を10%から25%に引き上げた際、ホワイトハウスで記者団に対して次のように語っていたのが記録に残っている。
>「関税はほとんどが中国によって支払われている。ちなみに我々ではない」
>しかし、関税は間違いなく米国国民にツケが回るのだ。
>3日の米国の大衆紙ニューヨーク・ポスト電子版は「トランプの関税によって、1世帯当たりの追加出費が3800ドル(約55万円)増加する」という記事を掲載した。
>これは、イエール大学の「予算研究所」が発表したもので、トランプ大統領が9日に発表した相関関税を取り入れた後、米国の平均実効金利は22.5%に急上昇し、1909年以来の最高水準に達すると分析する。その上で「2025年のすべての関税による物価水準は、短期的には2.3%上昇し、2024年の世帯あたりの消費者平均損失が3800ドルに相当する。所得分配の最下位の世帯の年間損失は1700ドル(約25万5000円)になる」と試算した。
>ニューヨーク・ポスト紙は、米国の数少ないトランプ支持の日刊紙として知られるので、ホワイトハウスもこの試算は「フェイクニュースだ」と捨て置くわけにも行かないだろう。
>トランプ大統領の強引な関税攻勢に、輸出国はなす術がない有様だが、ここは米国の国民へ呼びかけを行ってみてはどうだろうか。
「関税アップは勝手ですが、それはあなた方が払うのですよ」と。
>【執筆:ジャーナリスト 木村太郎】
>【表紙デザイン:さいとうひさし】
<参考=「トランプ関税のツケはアメリカ国民に…「関税は輸出国が負担」は“ミスリード” 「1世帯当たりの追加出費は3800ドル増加」試算も」(FNN)>
(25/04/09)
【閻魔大王】 2025/04/12 (Sat) 00:49
<副題=米大統領、手のひら返し過去にも ご都合主義の自己利益第一(Yahoo!ニュース・KYODO)>
とか、言うても、現時点、世界最大の権力者であるの事実がある。
>トランプ米大統領は9日に発動した相互関税の一部をその日のうちに一時停止した。株価が急落して経済の混乱が収まらず、責任追及が強まりかねないと危惧して保身に走った可能性がある。自己利益第一の姿勢で手のひらを返したことは過去にもあり、ご都合主義的な言動はトランプ氏の特徴の一つだ。
>ロシアのウクライナ侵攻について、昨年の大統領選で「大統領就任から24時間以内に終わらせる」と繰り返し豪語した。ところが2期目就任が迫ると現実を直視したのか、停戦交渉は「とても複雑だ」と強調。戦闘終結時期の目標を「6カ月以内」と後退させ、ハードルを下げた。
>ウクライナとの鉱物資源協定では、ゼレンスキー大統領を今年2月にホワイトハウスに招いて署名するはずだったが、口論となり機嫌を損ね、取りやめた。
>トランプ氏は1期目、中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の規制強化に動いた。だが若者の支持を取り込めると知ると態度を軟化し、昨年の大統領選期間中にアカウントを開設した。
<参考=「米大統領、手のひら返し過去にも ご都合主義の自己利益第一」(Yahoo!ニュース・KYODO)>
(25/04/10)
【閻魔大王】 2025/04/13 (Sun) 00:54
<副題=トランプ氏は「メチャクチャびびってる」 峯村健司氏「トランプ関税」急きょ停止の裏側解説(Yahoo!ニュース・日刊スポーツ)>
その通りと、思うです。
>キヤノングローバル戦略研究所の主任研究員、峯村健司氏(50)が10日、フジテレビ系「サン!シャイン」(月~金曜午前8時14分)に出演。強気に「相互関税」を推し進めてきた米国のトランプ大統領が一転、「相互関税」第2弾を90日間停止すると発表したことについて「内心、メチャクチャびびってる」と指摘した。
>トランプ氏は9日、「相互関税」第2弾の上乗せ分について、90日間停止すると発表した。一方で中国には125%を即時発動するとした。
>峯村氏は「トランプさん、強気に『俺のディールだ』と言っているのは多分強がりで、内心、メチャクチャびびってると思いますね」とした。その背景の1つとして、「相互関税」を受けて引き起こされた「トランプショック」に代表される株価への影響などをあげた。「株式市場、世界で数百兆円の富がなくなった。『まずい』(というのが)1つ。もう1つは国債ですね。アメリカの国債がバカバカ売られてしまって、かなり債券市場があわてた。トランプさんも『債券市場まずいな』と漏らしている。3つ目はビジネスサイド、アメリカの企業から『いいかげんにしてくれ』ときている。その3つの理由だと思いますね」と解説した。
<参考=「トランプ氏は「メチャクチャびびってる」 峯村健司氏「トランプ関税」急きょ停止の裏側解説」(Yahoo!ニュース・日刊スポーツ)>
(25/04/10)
<25/04/26>
【閻魔大王】 2025/04/13 (Sun) 09:19
<副題=スマホやパソコンを「相互関税」から除外 米国の税関当局が発表 消費者の反発懸念か(産経新聞)>
やるなら、一気、やればと、思うですが。要は、その場、その場の、場当たり的が、露呈。
それでも、大国でして。だけに、物事、慎重に<!>
が、トランプ王では、無理かと。
>米税関・国境警備局(CBP)は11日、トランプ政権が発動した「相互関税」で、スマートフォンやパソコンなどの電子機器を課税対象から除外したと発表した。米アップルの「iPhone(アイフォーン)」などの大幅な値上がりを回避し、消費者の反発を抑えるためとみられる。
>CBPは関税を扱う機関。相互関税に関する指針を11日夜に更新した。除外措置は5日にさかのぼって適用するとしている。通信機器の一部なども対象になる。
>中国に対する追加関税の税率は計145%に達する。アイフォーンは大半が中国生産で、相互関税が適用されれば大きく値上がりすると予想されていた。米メディアは一部のアップルの販売店に購入客が押しかけていると報じていた。
<参考=「スマホやパソコンを「相互関税」から除外 米国の税関当局が発表 消費者の反発懸念か」(産経新聞)>
(25/04/12)
【閻魔大王】 2025/04/13 (Sun) 23:39
<副題=中国人民日報「米国のいじめに強力な対応措置取り続けるだろう」(Yahoo!ニュース・中央日報)>
この、身勝手なるの、中華の国が、マトモな国に、見え出した<!>
ロシアなんかは、元々が、理不尽なるの国。日本国は、そんな国から、北方四島返還をと、動いてるですが。
口で、支援金で、動くの国ではないです。
支援金は、日本国が、勝手に出してるだけで、仲介の、政治家の懐、潤わせてるだけですが。
余計なるの話の、この国との、取引するするのなら、買い戻す的、発想せねばと。
オッとの、米国ねえ。
トランプ出現で、最早の信用出来ぬの国になった、です。元々が、果たしての、信用出来てたかと、なればの、出来ませんですが。
兎角に、強大国<軍事的に>は、弱小国<軍事的に>に対しては、えらそにするです。無理難題をふっかけるです。
>米国が各国に対する相互関税施行を猶予し、中国にだけ125%の関税を課すと発表した中で中国当局は国営メディアを通じ米中貿易戦争で退かないという立場を再確認した。
>中国共産党機関紙人民日報は10日、「中米経済・貿易関係の共生と互恵という本質は歪曲されてはならない」という題名の社説を通じ「米国の経済的いじめ行為に対し強力な対応措置を取り続けるだろう」と明らかにした。
>また「中国は貿易戦争を望まないが、中国国民の正当な権益が侵害され剥奪されるのを座視はしないだろう。米国は中国と協力してただちに一方的な関税措置を撤回し、対話を通じて中米関係の安定的で持続可能な発展を推進しなければならない」と強調した。
>続けて「両国間の経済・貿易協力で意見の相違や摩擦があるのは当然だ。カギはお互いの核心利益と重大な関心事を尊重し、平等な対話を通じて意見の違いを適切に解決しなければならないということ」と付け加えた。
>合わせて人民日報は、米ピーターソン国際経済研究所の資料を引用し、関税費用の90%以上が米国の輸入業者と小売り企業(流通・販売)、最終消費者に転嫁されるだろう。米国は両国と国際社会の利益を考慮しないまま関税戦争と貿易戦争に固執してはいけない」と指摘した。
>人民日報は「中米商品貿易格差は米国経済の構造的問題が産んだ必然的結果であり、両国の比較優位と国際分業構造で決まったもの。中米の経済・貿易協力は双方ともに経済的利益をもたらしている」と主張した。
>続けて「2024年の米国の輸出品のうち、大豆の51.7%、綿花の29.7%、集積回路の17.2%、石炭の10.7%、石油・ガスの10.0%、医療機器の9.4%が中国に入ってきた。2022年に米国の対中輸出により米国で93万1000件の雇用が創出された」と明らかにした。
<参考=「中国人民日報「米国のいじめに強力な対応措置取り続けるだろう」」(Yahoo!ニュース・中央日報)>
(25/04/10)
<25/04/21>
【閻魔大王】 2025/04/14 (Mon) 00:04
<副題=トランプ氏、日米安保条約に再び不満示す 「日本は何も支払わない」(朝日新聞)>
この、トランプと、称するの、アホウを、まともに相手してたでは、バカ見るのだけ。
本能のままに、動くの、猛獣と、思え<!>
中身、臆病。故に、吠える。
>トランプ米大統領は10日、日米安全保障条約をめぐり「我々は日本を守るが、日本は我々を守る必要はない。日本は何も支払わない」と述べ、改めて強い不満を示した。こうした持論を背景に今後、日本側に在日米軍駐留経費の負担増などを求める可能性も懸念される。
>トランプ氏は閣議の場で、記者団を前に関税について話すなかで「我々はほとんど全ての人たちにつけこまれてきた」と述べた。日本を例に出し、故・安倍晋三元首相が「素晴らしく、私の良い友人だった」としつつも、米国の対日防衛義務を定めた日米安保条約について「我々は彼らを守るために何千億ドルも払う。他国のためなら、全額を米国が負担する。日本は何も支払わない。もし米国が攻撃されても、日本は我々を守るために何もする必要がない」と持論をまくしたてた。
>日米安保条約では日本が米国を防衛する義務はないが、米軍に基地を提供する義務を定める。実際には、日本は在日米軍の駐留経費についても負担してきた。
<以下、有料記事>
<参考=「トランプ氏、日米安保条約に再び不満示す 「日本は何も支払わない」」(朝日新聞)>
(25/04/11)
【閻魔大王】 2025/04/14 (Mon) 00:29
<副題=田崎史郎氏 石破首相指名の日米の交渉役をバッサリ「厳しい厳しい交渉担えるのか?」 最適な人物2人の実名も告白(デイリー)>
石破茂君<68歳>は、自民党の諸君が選びました。
>政治ジャーナリストの田崎史郎氏が11日、TBS系「ひるおび!」に出演。関税を巡る日米の交渉役に指名された赤沢亮正経済再生担当相について言及した。
>米トランプ大統領は9日、相互関税の第2弾として一部の国に対し上乗せして発動した分を90日間停止すると発表。日本は10日、米の関税措置に関する総合対策本部を開催して対応を協議。米との交渉役として赤沢氏を指名し、来週にも訪米する方向で現在、調整している。
>番組では、赤沢氏が東大卒業後、運輸省(現国交省)に入省したことや、石破首相の“側近”で、石破内閣で初入閣となったが、外相や経産相など重要閣僚の経験はないことを報じた。また「初入閣で手腕は未知数」「外交経験は少なく手腕は未知数」などとする赤沢氏についての新聞の評価も紹介した。
>田崎氏は「マスコミが未知数って書いているのはね。“本当は無理なんじゃないの”“できないんじゃないの”って思っているときに、柔らかく書く時に未知数って言葉を使うわけですね、我々は」と“力不足”と指摘。赤沢氏について「普通の閣僚をやっているときには全然問題はないんですよ。でも果たして、この厳しい、厳しい日米交渉を担えるのか?と」と疑問を投げかけた。
>「きのうもちょっとアメリカと交渉経験ある人に聞いたら、“前の日話したことを朝になったら逆のこと言え”と。“それで日本を混乱させるんだ”と。“そうしたら日本は譲歩してくる”とか、“とにかく日本は脅せ”と、そういうことが日米交渉でアメリカから見た交渉方法なんだと」と米の交渉術を紹介。その上で「それに耐えられる人っていうのは、ある程度の経験と胆力が必要なんですよ。この土、日、自民党の議員とか霞が関の人に聞くと、そこで(交渉役として名前が)上がってくるのは、茂木敏充さんとか齋藤健さんなんですよ」と交渉役に相応しい人物として、茂木前幹事長と齋藤前経産相の2人の名前を上げた。
>「それは石破さんの耳には当然、入っているんですよ。それを採らずに赤沢さんにしたっていうのは、石破さんにとって使える人が赤沢さんしかいないのかなと、ちょっと残念でしたね」と切り捨てた。
>MCの恵俊彰が「ここはオールジャパンでいくタイミングですよね?」と質問。「『国難だ』って言われているわけですから、石破さん自身が。国難であるならば、過去の恩讐とか様々なことがあっても、ここは乗り越えて、一番能力ある人を起用すべきだと思っているんですけどね。そうはならなかった」と述べた。
<参考=「田崎史郎氏 石破首相指名の日米の交渉役をバッサリ「厳しい厳しい交渉担えるのか?」 最適な人物2人の実名も告白」(デイリー)>
(25/04/11)
【閻魔大王】 2025/04/14 (Mon) 09:59
<副題=トランプ関税の効果と決定の内側(上)経済的整合性に欠け、貿易赤字解消にも、製造業復活にもつながらない(東洋経済)>
(上)(中)(下)の3部作の、(上)。
>予想されていたとはいえ、トランプ大統領の相互関税の発表は世界に大きな衝撃を与えた。日本製品に課せられる相互関税率は24%と、相対的にかなり高い。トランプ関税の本質を理解するためにも、まず相互関税率がどうはじき出されたのか知っておいた方がいい。それは驚くほど簡単に計算されていて、「鉛筆なめなめ計算した」と言って過言ではない内容である。
>論理的根拠に乏しい「相互関税率」の計算
>アメリカ通商代表部(USTR)が「Reciprocal Tariff Calculations (相互関税計算)」と題する資料を発表している。同資料には「相互関税はアメリカと各国との二国間の貿易不均衡を是正するために必要な関税率として計算された」とある。要するに「アメリカの貿易赤字をゼロにする」のが目的だ。
>「長期間にわたってアメリカの貿易赤字が続いているのは、アメリカが貿易相手国に搾取されてきたためである」というのがトランプ大統領の認識だ。USTRの資料にも「国際貿易のモデルでは貿易収支は長期的には均衡すると想定されているが、過去50年間、アメリカは一貫して貿易赤字を計上している」と指摘している。
>常に貿易収支を均衡させる関税率が存在するかどうか疑問だが、ともかくトランプ大統領は、各国別に貿易均衡を実現するため相互関税を課すと決めたのだ。
>USTRが発表した計算式は簡単なものであり、経済学の知識がなくても十分理解できる。
>相互関税率=(輸入-輸出)÷(輸入品価格に対する輸入品需要の弾性値×関税の輸入品価格への転嫁率×輸入総額)×100
>「輸入品価格に対する輸入品需要の弾性値」は、価格が変動した時に需要がどれだけ変動するかを示す比率である。仮に輸入品価格が1%上昇し、輸入品需要が1%減少した場合、その弾性値は1になる。「関税の輸入品価格への転嫁率」は、引き上げられた関税額がすべて輸入品価格に転嫁されるわけではないので、関税増加分がどれだけ輸入品価格に反映させたかを示す。
>今回、トランプ政権は弾性値を4としていて、USTRはその根拠を、多くの研究で弾性値は3~4と推定されているからとしか説明していない。また、「関税の輸入品価格への転嫁率」は0.25と設定されていて、これも明確な根拠はない。
>貿易赤字額÷輸入総額を「寛容」で半分に
>計算式に弾性値=4と転嫁率=0.25を入れると、2つの数値の積が1になるので、計算式は次のようになる。
>相互関税率=(輸入-輸出)÷輸入総額×100
さらに(輸入-輸出)は貿易赤字額なので、こう書き替えられる。
>相互関税率=貿易赤字額÷輸入総額×100
>なんのことはない、相互関税率は輸入総額に対する貿易赤字額の比率なのだ。比率が高ければ、相互関税率も高くなる。貿易が均衡すれば、相互関税率はゼロになるが、貿易収支は毎年変化する。相互関税率が毎年見直されるかについて、明確な説明はない。
>日本に当てはめてみよう。アメリカの貿易統計では、2024年のアメリカの貿易赤字は(1482-797=685)で685億ドルなので、相互関税率は「685÷1482×100」から46%だ。ただトランプ大統領は、「寛容(lenient)」から半分を課すとしているので相互関税率は23%になる。アメリカ政府がどの統計を使っているかわからないが、この値は対日相互関税率24%とほぼ一致する。
>貿易収支とは関係なく、すべての国を対象に最低10%の相互関税が課されることになる。対米貿易収支が黒字ではないイギリスやオーストラリア、シンガポール、ブラジル、ニュージーランド、トルコに対しても相互関税が課されるわけだが、その意味は不明だ。経済制裁を課されているロシア、ベラルーシ、北朝鮮が相互関税リストにない理由は説明されていない。算出根拠が薄いばかりか、適用も極めて恣意的である。
>アメリカの貿易赤字をめぐる3つの神話
>算出根拠、適用方針はさておき、相互関税は貿易赤字の解消に有効だろうか。4月3日付『ニューヨーク・タイムズ』は「Economists say
the way Trump calculated tariffs makes no sense(エコノミストはトランプの関税計算は意味をなさない)」という記事で、「ホワイトハウスが“相互関税”を計算するために使った方式はあまりにも単純すぎて、アメリカの貿易赤字を払拭するという目的は達成できないだろう」と書いている。
>さらに「アメリカの恒常的な貿易赤字は貿易相手国の不公平は貿易慣行がある」という前提を批判し、不公平な貿易慣行は貿易赤字の要因にはならないと指摘している。
>また、ブルッキングス研究所の研究ペーパー3月13日付「The U.S, Trade Deficit: Myths and Realities(アメリカの貿易赤字―神話と現実)」は、アメリカの貿易赤字に関しては3つの神話があるとする。
>第1の神話は、「貿易自由化で海外の重商主義政策にさらされたことが貿易赤字の主因」という主張だ。第2の神話は、「ドルが国際準備通貨の基軸通貨となったため、海外の政府に公的準備としてドルを供給する義務を負い、それが貿易赤字の原因になった」。「海外から大量に資金が流入するため、国内で生産能力以上に消費したことが貿易赤字の原因になった」が最後の神話だ。同ペーパーは「貿易赤字は外国とアメリカのマクロ経済の要因がお互いに影響し合う状況を反映したものである」と、貿易赤字を関税で解消する政策は間違いであると指摘している。
>貿易収支は多角的な貿易によって決まる。自国から見て収支が赤字の国もあれば、黒字の国もある。それを総合して自国の貿易収支が決まるのに、トランプ大統領は二国間の貿易均衡を求めるという過ちを犯している。高関税による貿易均衡は、結果的に「自給自足の経済」を求めているようなものだ。
>本来、貿易赤字削減の是非から論じるべきだが、それは横に置いて、実際に相互関税でアメリカの貿易収支が均衡するかを考えてみる。アメリカ国内での輸入品販売価格への関税転嫁はある程度進むだろう。ただ、「価格弾性値」は個々の商品によって異なる。アメリカで生産されていない商品では関税分を100%価格に転嫁しても、需要は大きく減らないだろう。
>国内に競争企業が存在すれば、関税が引き上げられても、輸入業者は値上げをせず、利益率を下げる形で対応するはずだ。その場合、大きく輸入が減ることはない。輸出業者、輸入業者、小売業者がそれぞれ市場の状況に応じて対応する。トランプ大統領が期待するほど、貿易赤字は縮小しないだろう。
>製造業の復活は実現するとしても数年先
>トランプ関税にはもうひとつの目的がある。アメリカの製造業の復活だ。グローバリゼーションによる工場の海外移転で職を失った白人労働者層はトランプ大統領の大きな支持層で、選挙でトランプ大統領は彼らに「職を取り戻す」と約束してきた。だが、アメリカの製造業の雇用の減少は企業の海外進出が理由ではない。
>工場の海外移転による失職は地域的に起こってはいるが、アメリカ経済全体を見ると、製造業の雇用喪失の最大の要因は、製造ラインのIT化の進展による生産性の向上だ。事実、GDPに占める製造業の付加価値は大きく変わっていないが、製造業の雇用者数は大幅に減少している。明らかに国内の要因であり、関税とは関係がない。
>こちらも、問題の原因の認識が誤っているのだが、それを承知で効果を考えてみよう。製造業の復活は第1次政権でも謳われていた。2017年4月にアメリカ製品を優先的に購入する「バイ・アメリカン政策」を促進するという大統領令を出している。この時は、アメリカ製品を買おうにもアメリカで生産されていない製品が多く、ほとんど成果を上げることができなかった。
>今回は、輸入品価格が上昇すれば、アメリカでの生産が価格的に優位になり、アメリカ企業の国内回帰や海外企業の対米投資が増えるという理屈だ。しかし、アメリカ企業が国内回帰を決めたり、海外企業がアメリカでの生産拡大を決めたりしたとしても、新しい設備や工場が稼働するには数年はかかり、即効性はない。
>来るのは「ブーム」ではなくインフレ
>アメリカで生産されない製品は高い関税を課されても、輸入が大きく減ることはない。輸入価格弾性値は「ゼロ」なので、国内で代替品が生産されるまで関税分が価格に転嫁され、アメリカの消費者は値上がりした製品を買わざるを得ない。
>トランプ大統領は「短期では厳しい状況になるかもしれないが、やがてブームがくる」と楽観的に語るが、むしろリスクが高い。輸入品への高関税は短期的にンフレ要因になる。もしインフレが高進する状況になれば、来年の中間選挙で共和党に厳しい判断が下されるだろう。
>経済理論に基づいてというよりも、政治的な理由から導入された関税政策で貿易赤字が解消し、アメリカが設備投資に沸いて製造業が復活し、トランプ大統領が勝利宣言、というのは幻想に近い。
<参考=「トランプ関税の効果と決定の内側(上)経済的整合性に欠け、貿易赤字解消にも、製造業復活にもつながらない」(東洋経済)>
(25/04/08)
【閻魔大王】 2025/04/14 (Mon) 10:09
<副題=トランプ関税の効果と決定の内側(中)立案者の1人は「最も過激な保護貿易主義者」で、もう1人は「貿易戦争のための青写真」を執筆(東洋経済)>
(上)(中)(下)の3部作の、(中)。
>本当に二国間で貿易収支の均衡を図るのか、アメリカ企業の本国への回帰を求めているのか、海外からの対米投資を促進したいのか、関税収入を財政赤字削減や減税の原資にするのか、外交交渉を有利に進める道具か、本当に相互関税でアメリカの“黄金時代”が来ると信じているのか、貿易戦争を誘発するのではないか、スムート・ホーリー法による大幅な関税引き上げが世界大恐慌を招いたように再び世界恐慌が起こるのではないか――。
>こうした疑問や不安に対し、さまざまな情報や分析が提供されているが、情報の多さに人々は翻弄されている感がある。放射能が典型だが、人間は見えないものに対して過剰な恐怖心を抱きがちだ。トランプ関税もそれが目指す全体像が見えてこない。状況を正確に把握し先を予測するには、トランプ大統領の本音を知る必要がある。そのためにはその背後で戦略を立案している人物の考えを理解しなくてはならない。
>トランプを守り収監された上級顧問ナバロ
>相互関税導入をトランプ大統領に進言した2人の人物がいる。「Trade Czar (貿易皇帝)」こと、貿易・製造業担当上級顧問のピーター・ナバロと、「Tariff
Czar(関税皇帝)」こと、大統領経済諮問委員会(CEA)委員長のスティーブン・ミランだ。今回のトランプ関税政策は、この2人を軸に策定された。
>ナバロは両親の離婚後、女手一つで育てられた苦学生で、高校時代からいくつもの仕事を掛け持ち、夜はソファーで寝る生活を送っていた。奨学金を得て、タフツ大学に進学後、平和部隊に参加し、3年間タイで暮らしている。帰国してハーバード大学大学院に進学し、経済学博士号を取得した。カリフォルニア大学で教鞭をとっていたが、政治的な野心を持ち続けていた。
>2016年の大統領選挙でトランプ陣営に政策顧問として参加したナバロは、その功労から第1次トランプ政権の国家通商会議議長に任命された。第1次トランプ政権内での役割について『Time』誌は「トランプの信念(アメリカは外国に搾取されている)を行動に移すための言葉に置き換え、その主張を裏付けるために政策、方向性、確信をトランプ大統領に提供する役割を果たした」(2018年9月3日、「Peter
Navarro Used to Be Democrat. Now He’s the Mastermind Behind Trump’s War」)と伝えている。
>また、ナバロ自身は2017年にブルームバーグの取材に対して、「自分の役割は通商問題に対するトランプ大統領の直観を裏付けるような分析を提供することだ」と語っている。
>ナバロは仕事面ではもちろん、個人的にもトランプ大統領に忠誠を尽くした。議会乱入事件に関する議会特別委員会への召喚に応じず、4カ月の禁固刑の判決を受け、収監されている。これはトランプ大統領に不利な証言を避けるためで、自分を犠牲にしてでもトランプ大統領を守ろうとしたのである。そうした個人的な信頼関係もあり、ナバロは第2次トランプ政権でも要職に就いた。
>6年前から相互関税を主張
>ナバロの専門は貿易論で、自身は「最も過激な保護貿易主義者」だ。とくに中国に批判的で、為替操作を行い、劣悪な労働環境下での低賃金政策を取っていると攻撃を加えた。2006年に『The
Coming War with China』を出版、アメリカは保護貿易主義を採るべきだという主張を展開しているが、学界では非主流派で経済学の基本原理を無視していると批判されている。
>第1次トランプ政権内では、伝統的な経済学者や自由貿易派の閣僚との衝突を繰り返したが、ナバロが勝利し、「アメリカ・ファースト通商政策」を推進した。第1次トランプ政権の“貿易戦争”は、2018年の鉄鋼とアルミニウムへの関税に始まる。2020年には自由貿易を象徴する「NAFTA(北米自由貿易協定)」が保護主義的な「USMCA(アメリカ・メキシコ・カナダ協定)」に作り替えられ、自由貿易の促進が目的だった「米韓貿易協定」も変更された。こうした政策の背後には必ずナバロがいた。その彼が、第2次トランプ政権でも通商政策立案の中心にいる。
>ナバロの貿易理論を理解する手掛かりの1つが、2019年4月26日にハーバード大学で行った講演である。ナバロは次の3点を掲げ、これらを実現すれば、アメリカ経済は成長すると主張している。
① アメリカの通商政策を改革する必要がある
② 中国に圧力を加え通商政策の改革を行わせる
③ 関税制度を改革する必要がある
>もう少し詳しく見てみよう。ナバロは、自由貿易が世界に恩恵をもたらすとする伝統的な国際経済学は死んだと考えている。現在の世界市場は「産業スパイ、頻発する不正行為、知的財産の剽窃、強制的な技術移転、国家資本主義、為替相場の不整合によって支配されている」と断じる。
>さらに古典派経済学が主張する自由競争は「貿易相手の一方、あるいは双方が嘘をつき、スパイし、盗むことができるシステムである」と批判し、「中国のような国から偽造品やフェンタニールの密輸品がアメリカに洪水のように流入している」と指摘している。2期目の就任直後にトランプ大統領はメキシコや中国、カナダに高関税を課す大統領令を発表し、その理由の1つに「フェンタニールの密輸阻止」を挙げている。これはナバロの主張そのものである。
>またナバロは関税について「アメリカが自動車に課す関税は2.5%だが、カナダは10%、中国は15%、インドは125%である。同じ製品に同じ関税を課すべきである。現在の関税制度で最も被害を受けるのは平均して最低の関税率のアメリカである」と主張する。まさに相互関税だ。6年前の主張が、そのまま現在の政策に反映されているのは驚きだ。
>年6000億円の関税収入が減税の財源に
>ナバロの経済思想に関して『The Reason』誌(2020年12月号、「Peter Navarro’s No-Good Economic
Nationalism」)は「ナバロは地球上で最も力のある一人になった。多くの点でナバロはトランプ大統領の鏡である。彼はトランプの精神とアイデアを映し出している。二人の間に否定しがたい類似性がある」と書いている。両者に共通するのは、貿易赤字の削減が、アメリカの経済成長を高めるという考えである。また両者は、関税を高めれば、輸入が減り、国内生産が増えるという認識でも一致している。
>こうした考えに基づき、第1次トランプ政権で「一部の関税引き上げ」が行われた。第2次トランプ政権では最初に中国とメキシコ、カナダに対する関税引き上げが行われ、さらに相互関税により全製品の関税引き上げが行われた。第1次政権の政策の拡大再生産である。
>そして今、ナバロは3月30日の『Fox News』のインタビューで「関税は減税であり、雇用であり、国家安全保障である」と語っている。さらに関税収入はトランプ大統領が減税を実施するのに十分な額になり、アメリカ国民が直面する物価上昇を十分に補うことができると主張している。
>具体的には「自動車関税だけで年間1000億ドルの収入が見込まれ、他の関税収入と合計すれば毎年6000億ドルの収入、10年間で6兆ドルに達する」という。この収入を原資に「中産階級やブルー・カラーのためにアメリカ史上最高の減税を行う」と語っている。
>CEA委員長ミランの「関税引き上げ擁護論」
>伝統的に経済学界の大御所が就いてきた大統領経済諮問委員会(CEA)の委員長に30代のスティーブン・ミランが就任したのは異例だった。ナバロと同様にハーバード大学で経済学の博士号を取得しているが、アカデミアで活動した経験はない。CEA委員長に就任する前は、右派のシンクタンクのマンハッタン研究所でシニアフェローを務めたり、財務省の経済顧問を務めたりしているが、目立った存在ではない。
>彼がCEA委員長に抜擢されたのは、「A User’s Guide to Restructuring the Global Trading System」(Hudson
Bay Capital, 2024, November)を発表したからである。「世界の貿易制度を再構築するユーザー・ガイド」とは極めて大胆かつ意欲的なタイトルである。
>『Washington Post』は、この41ページの短い論文を「貿易戦争のための青写真」と呼んでいる(2025年3月25日、「The 41-page
blueprint that may help explain Trump’s painful trade wars」)。
>同記事は、「トランプ政権の経済担当アドバイザーの一人が関税と他の政策を組み合わせて、ブレトンウッズ体制に匹敵する新しい体制を構築する可能性を示す41ページの論文を書いた」と紹介している。そして、トランプ政権の通商・関税政策の手掛かりを求めて、多くの海外の銀行家、ウォール街のトレーダー、議員の補佐官などが、この論文を読んでいると、その反響の大きさを伝えている。
>ミランの議論は、妥当性は別にして、ナバロの議論よりも論理的である。同論文は次の文章で始まる。「世界の貿易制度を改革し、外国に対してアメリカ産業を公平な条件に置きたいという願望はトランプ大統領が何十年にわたって抱いていたテーマである。私たちは国際貿易と国際金融制度の世代的変化の最先端にいるのかもしれない」。ミランは貿易制度と為替制度の両方を問題としている。
>関税について「私はアメリカの税制の枠組みの中で最適な関税率について議論する」とし、関税引き上げは関税収入を増やす一方、国内のインフレを高進させるが、貿易収支改善によりドル高となって、インフレの影響は緩和されると主張している。関税引き上げはインフレを招き、経済はリセッションに陥りかねないという一般論を真っ向から否定する。
>第1次トランプ政権時、2018年から2019年に中国に対する関税率は17.9%引き上げられたが、人民元の対ドル相場が13.7%下落した結果、関税引上げの実質的な影響は4.2%だった。その間のアメリカの消費者物価指数は約2%上昇したにすぎない。考えられるのは、為替が下落した輸出国の業者は、ドル建てで輸出しているので、利益率が高まる、そうすれば業者は輸出量を確保するために、ドル建て価格を引き下げる余裕ができる、という流れだ。
>関税を引き上げても、為替相場の変動で関税引き上げの影響を緩和できるという理屈だ。ミランは「こうした貿易戦争(関税引き上げ)によるインフレへの影響は非常に小さい(any
inflation from this war was small enough)」「マクロ経済に目に見えるような影響はなかった」と結論付けている。
>「歴史的に高関税で高成長は可能」
>もう1つ、「関税を負担するのは誰か」でも異論を展開する。通常は「関税は輸入国の消費者が負担するもので、一種の増税である」とされる。が、ミランは違う。輸出国はアメリカの関税引き上げで為替相場が下落し、その国の消費者の購買力が低下する。すなわち関税引き上げは最終的にはアメリカの消費者ではなく、輸出国の消費者が負担することになると主張する。トランプ大統領が「関税は輸出国が払う」と語って、失笑されたが、これはミランの説明の受け売りだろう。
>為替相場は貿易収支だけで決まるわけではない。要素は多く、最近は金利差が大きく影響している。ミランの議論は、為替相場理論としても未熟である。
>しかし、信念は揺らがない。ミランは上院の承認公聴会で「アメリカの経済史を見れば、高関税の期間と高成長の期間は一致する。高関税で高成長を実現するのは不可能ではない。19世紀の後半、すべての輸入品の平均関税率は30%を超えていた。それでも、この時期は異例なほど高成長の時代だった」と、高関税が高成長に結び付くと証言している。
<参考=「トランプ関税の効果と決定の内側(中)立案者の1人は「最も過激な保護貿易主義者」で、もう1人は「貿易戦争のための青写真」を執筆」(東洋経済)>
(25/04/10)
【閻魔大王】 2025/04/14 (Mon) 10:19
<副題=トランプ関税の効果と決定の内側(下)関税引き上げの最終目標は所得税廃止。「恐怖戦略」成功なら次の標的は通貨(東洋経済)>
(上)(中)(下)の3部作の、(下)。
>トランプ大統領は選挙期間中、“グローバリスト”と呼ばれる自由貿易派を批判し、アメリカ産業の衰退はグローバル化にあると支持層に訴えてきた。「製造業を取り返し、再びアメリカの黄金時代を作る」という公約を実現する手段の1つが相互関税の導入であった。では、アメリカ国民はナバロ、ミランがイデオロギー的信念で立案したトランプ関税を評価しているのだろうか。
>2024年7月29日に発表されたPew Research Centerの世論調査では、59%のアメリカ人は「貿易でアメリカは得るものより失うものが多い」と答えている。共和党支持者に限ると、その比率は実に73%になる。これは2021年の調査結果よりも8ポイント増えた。大卒などの高学歴者でも47%が同様な回答をしていて、とくに国際貿易で中国がより多くの利益を得ていると考えている。こうした世論が、トランプ大統領の過激な政策立案の下地になっているといえる。
>世論調査の関税引き上げへの賛成率は40%弱
>『Daily Mail』が行った世論調査は、相互関税導入によりトランプ支持率が上昇したことを示唆している(2025年4月5日、「Americans
deliver shock verdict on Trump’s controversial new tariff」。調査期間は3月31日~4月3日、関税政策の発表は4月2日)。支持率は1週間前の49%から53%へ上昇、18~29歳の若い層では18%から29%へと11ポイントも増えている。無党派層と民主党支持層でもそれぞれ6ポイント上昇している。関税政策に関しては賛成が36%、分からないが36%、反対が28%だった。意見が割れているのは、政策の影響が出てくるまで正確な評価はできないためであろう。
>一方、4月6日に発表されたロイター通信とIpsosの世論調査(調査期間は4~6日)では、関税引き上げについて賛成は39%に対し反対が57%、共和党支持者も25%が反対だった。ただ52%が「外国は貿易でアメリカを利用している」というトランプ大統領の主張に賛成している。
>両調査とも関税引き上げへの賛成率は40%に達しないが、ロイター通信とIpsosの調査の回答者が共和党支持者、民主党支持者で半々だったことを考えると、少なくとも共和党支持者はおおむね肯定的と言えそうだ。ただ、関税引き上げで1世帯当たり年間3500~7000ドルの負担増になるという予測もあり、実際に物価が高騰すれば評価は変わるかもしれない。
>次に政治家の反応を見てみよう。
>野党の民主党上院院内総務のチャック・シューマー議員は「トランプ大統領はおそらく歴史上初めて、最も馬鹿げた、最も回避可能なリセッションに国民を導いている」と手厳しいが、少数野党の民主党にトランプ大統領を止める方法はない。
>4月8日の『ABC News』は、共和党議員の動向について「今までのところ共和党内でトランプ支持層に亀裂が生じるとか、議会でトランプを抑え込む試みが行われる兆しはない」(「Republicans
Ted Cruz, Rand Paul speak out on risks of Trump tariff policy」)と伝えている。
>共和党議員から懸念の声も
>ただ、共和党議員も、手放しでトランプ関税を支持しているわけではない。トランプ大統領の熱狂的支持者で有力議員のテッド・クルーズ上院議員は『Fox
News』で「関税は消費者に対する税金であり、支持できない。私は、こうした関税が短期間で終わり、世界中の関税を引き下げる交渉のテコになることを望んでいる。関税が長期間にわたって課される場合、インフレが高進し、雇用を損なう可能性がる。今後30日から60日、あるいいは90日、アメリカが外国製品に高関税を課し、外国がアメリカ製品に高関税を課すというシナリオが実現したら、世界は悲惨な結果を迎えるだろう」と語っている。
>ジョン・コーニン上院議員も「誰も近い将来、リセッションが起こることを望んではいない。トランプ政権と外国の間で取引が行われるだろう。トランプ大統領はディール・メーカーである。長期的にネガティブな結果を避けるために多くの取引が行われることを願っている」と、トランプ大統領の「交渉」に期待している。
>経済問題に精通しているランド・ポール上院議員は、トランプ大統領の「国家非常事態であり関税引き上げが必要だ」という主張を批判し、「議会は関税と貿易を規定する憲法上の権限を持っている」と、議会がトランプ大統領の暴走にブレーキをかける必要性があると主張している
>しかし、こうした意見表明をする議員は少数派だ。ある上院議員は「皆が関税引き上げの影響を恐れている。だが誰も大統領を制御したいとは思っていない」と本音を漏らす。多くの共和党議員は、圧倒的な力を持つトランプ大統領の前で、ひたすら“沈黙”を守っている。
>多くの議員が望んでいるのは、相互関税の実施ではなく、関税をめぐる外国政府との交渉だ。トランプ大統領が相互関税一部の90日間の停止を決めたことで、胸をなでおろした人々も多いに違いない。125%の関税を課される中国との関係がどうなるか注目されるが、いつまでも“チキン・ゲーム”を続けることはできないだろう。
>外交交渉の兆しは見られる。たとえば、EUは4月9日、大豆、バイク、オレンジ・ジュースなどアメリカ製品に報復関税を課すことができると発表したが、具体的な対抗策は示さなかった。その一方で、「EUはアメリカの関税が不当で破壊的であり、米EUの双方だけでなく、世界経済にも害をもたらすと考える。EUはアメリカと交渉で結果を出すことを望んでいる」と、交渉の余地があることをにじませた。
>実際、ベッセント財務長官は「70カ国が貿易交渉をしたいと連絡してきた」と語っている。交渉を求めてきている国として、日本、ベトナム、韓国などの名前を挙げている。ベッセント長官は「日本は素早く対応したので、交渉の順位で優先的に扱われるだろう」とも語っている。こうした状況からすると、非現実的ともいえる高い相互関税率を課したのは、最初から目的は外交交渉にあったのかもしれない。
>関税論議の背後にあるイデオロギーの対立
>ただ、関税を交渉道具や減税原資のようなテクニカルな問題と捉えると、本質を見誤る。その背後には税制をめぐる保守派とリベラル派のイデオロギー対立がある。保守派の関税引き上げの究極の目的は所得税の廃止にある。
>そう聞いても、日本人にはピンとこないだろう。アメリカでは建国以来、関税収入が連邦政府の歳入の最大の収入源で、19世紀には歳入の80%を占めたこともある。連邦所得税が導入されたのは憲法修正第16条が批准された1913年である。同修正条項には「連邦議会はいかなる源泉から生ずるものであっても所得に対して税を徴収する権限を有する」と書かれており、同時に累進所得税が導入された。これ以降、アメリカでは所得税が歳入の大半を占めるようになる。
>しかし、所得税について保守派の経済学者は、国民が懸命に働いて得た所得から徴税するのは政府による収奪だとしている。また、ノーベル経済学賞を受賞したミルトン・フリードマン教授が「累進所得税率」を批判し、「単一所得税率(flat
tax rates)」の導入を主張したように、保守派の経済学者は累進課税を不公平とみなし、その廃止を訴えている。富裕層の減税も一連の流れにある。これに対してリベラル派は、累進所得税は所得の再配分を果たし、社会的平等を実現する手段であるとし、真っ向から対立する。
>保守派の経済学者は、最終的に所得税を廃止し、関税と消費税を基盤とする歳入構造の実現を目指す。消費税は資源を使った割合に応じて税金を納めるので、人々の勤労意欲を殺ぐものではないからだ。
>「所得税を関税に置き換える」
>『CNN』は、2024年10月27日付の記事(「Trump floats ending the federal income tax. Here’s
what that would mean」)で「選挙運動の最中、トランプ大統領は社会保障給付、残業手当に対する課税の廃止を約束した後、最大の歳入源である連邦所得税の廃止を目指しているとほのめかした」と書いている。
>『Fox News』のインタビューでトランプ候補(当時)は「1800年代、アメリカは賢明な国だった。アメリカは豊かな国だった。すべての連邦歳入は関税であった。所得税はなかった」と語っている。数日後、記者に「所得税を関税に置き換えるのか」と聞かれ、「当たり前だ」と答えた。トランプ陣営の顧問は「所得税の廃止は将来の“野心的な目標”になる」と付け加えている。
>現在、関税収入は連邦政府歳入の2%で、所得税に取って代われるか疑わしいが、少なくともトランプ大統領は連邦所得税が国民を搾取するものと考えている(アメリカの9州は州所得税を課していない)。今回の異常ともいえる関税の引き上げの背後に、こうしたトランプ大統領の認識がある以上、関税問題が交渉で落ち着いたとしても、いつまた蒸し返されるかわからない。
>ホワイト・ハウスのイデオロギー派であるナバロとミランは外交交渉を否定していて、前述のようにトランプ大統領も関税に関する基本的な考えは彼らと同じだ。違うのは、トランプ大統領にとって重要なのは、目先の成果であり、自らの名声であるということだ。「90日間」が交渉のための期間であるのは間違いない。
>関税を課される側にとって大切なのは、その交渉が公正に行われるかどうかだが、悲観的にならざるを得ない。
>通商で「恐怖戦略」成功なら、次の標的は通貨
>『The Hill』はトランプ大統領の関税戦略を「DARVO」と呼んでいる(4月9日、「Trump’s tariff gaslighting
has a name: It’s DARVO」)。DARVOとは心理学の用語で、 「Deny(否定)」、「Attack(攻撃)」、「Revers
Victim and Offender(犠牲者と攻撃者を逆転させる)」の頭文字を合わせたものだ。
>事実を否定し、相手を攻撃し、責任を転嫁し、批判者を黙らせ、加害者と被害者の立場を逆転させる、を意味する。同記事は「トランプと彼のチームが何年も事実を歪めるために使ってきた戦略である」と指摘する。
>まさにトランプ大統領は通商政策でこの戦略を使っている。アメリカとの貿易への依存度が高い国ほど、国益の犠牲を最低限にするため、正論を主張せず、トランプ大統領の嘘を受け入れることになりそうだ。このままでは、「トランプの恐怖戦略」が成功し、アメリカに一方的に有利な国際的な通商の枠組みが出来上がる可能性がある。
>思惑通りに通商交渉が成功すれば、トランプ大統領の次のターゲットは通貨だろう。ミランは「アメリカの貿易赤字の根源は恒常的なドル高にある」と述べている。将来、1985年の「プラザ合意」のような大幅な通貨調整を迫ってくる可能性も十分予想される。
>想像以上にトランプ大統領は狡猾な人物かもしれない。
<参考=「トランプ関税の効果と決定の内側(下)関税引き上げの最終目標は所得税廃止。「恐怖戦略」成功なら次の標的は通貨」(東洋経済)>
(25/04/11)
<参考=NO.519 続3<米国発トランプ関税>トランプ君、言いたい放題で、自爆<?>>
(25/04/14)