みんながパソコン大王
雑談<NO.176>

みんながパソコン大王
総 合 目 録 趣意書

表題一覧表

NO 表題 起稿 起稿日
雑談NO.177
1851 電力変換機の小型軽量化が新幹線の進化の歴史(日経 xTECH、2017年8月21日) 磯津千由紀 19/04/10
1850 ピロリ菌の除菌がかえって病気を招く?(毎日新聞「医療プレミア」、3月4日) 磯津千由紀 19/04/10
1849 ベストセラー作家は普通の主婦 ヒットのコツは「観光客目線」 (毎日新聞、3月3日) 磯津千由紀 19/04/10
1848 車内販売、JR各社が続々廃止 旅の楽しみ、生かす方法は(毎日新聞、2月27日) 磯津千由紀 19/04/10
1847 ねんきん定期便のデザイン一新 わかりやすく、選びやすく~若手議員が新たな社会保障改革に挑む(毎日新聞「政治プレミア」、2月25日) 磯津千由紀 19/04/10
1846 肉食動物の獲物探しに似た「水飲み場型」サイバー攻撃(毎日新聞「経済プレミア」、2月23日) 磯津千由紀 19/04/10
雑談NO.175

NO.1846 肉食動物の獲物探しに似た「水飲み場型」サイバー攻撃(毎日新聞「経済プレミア」、2月23日)<起稿 磯津千由紀>(19/04/10)


【磯津(寫眞機廢人)@ThinkPad R61一号機(Win 7)】 2019/04/10 (Wed) 02:56

 こんばんは。


 改変Webサイトでマルウェアに感染させる手法が増えてるといいます。


> 「水飲み場型」というサイバー攻撃の手法をご存じだろうか? 肉食動物は、水飲み場にやって来る草食動物を待ち伏せし、来たところを捕まえる。サイバー攻撃者を肉食動物に、企業や政府で働く“標的”を草食動物に例えてみよう。水飲み場に当たるのが、ウェブサイトである。

> 攻撃者は標的がよく訪れるウェブサイトを特定し、改ざんする。といっても文字や写真を付け加え、一見して分かるような改ざんをするわけではない。サイトを閲覧しにきた人が気づかないようにコンピューターウイルスに感染させる。肉食動物の待ち伏せの仕方とよく似ているのだ。

> 2013年8月から9月にかけて、日本の行政関連の出来事が数多く掲載されているニュースサイトが水飲み場型攻撃に遭った。サイトが改ざんされ、閲覧するとウイルスに感染する可能性があった。

> しかも巧妙なことに、感染する被害者のIPアドレスを絞っており、特定の組織に所属する者だけを感染させていた。所属組織によってIPアドレスは異なる。狙われていたのは、中央省庁など20ほどの組織に勤める人だった。

> 日本でこの種類のサイバー攻撃が確認されたのは初めてだった。誰がサイバー攻撃を行ったのかは分かっていない。


> 「水飲み場型」プラス「添付ファイル」

> 攻撃者が、水飲み場型攻撃と、悪意のある添付ファイル付きのメール送付を組み合わせることもある。17年5月から6月にかけて米国であった攻撃のことだ。

> 発電所やエネルギー施設を運営する複数の企業のコンピューターネットワークにハッカーが侵入した。標的の一つが、米中西部カンザス州にあるウルフクリーク原発だった。

> このサイバー攻撃が明らかになったきっかけは、米大手新聞社ニューヨーク・タイムズ紙の翌7月の記事だった。同紙は、米国土安全保障省と米連邦捜査局(FBI)が6月にまとめた緊急合同報告書を入手し、報道した。

> 報告書によると、サイバー攻撃者は、技術者たちが頻繁に閲覧しているウェブサイトを改ざんし、水飲み場型攻撃を仕掛けていた。攻撃者はそれだけでなく、技術職に応募した人を装い、偽の履歴書をメールに添付して送付していた。


> 将来のサイバー攻撃の準備

> 偽の履歴書にウイルスが仕掛けられており、うっかり開くと、IDやパスワードが盗まれてしまう。重要な制御システムにアクセス権限を持つ幹部技術者たちに、こうしたメールが送られていた。標的のコンピューターネットワークの構成を詳しく調べ、将来のサイバー攻撃を準備するのが目的ではないかという。

> 報告書は誰がその攻撃をしたか特定していない。ただし、少なくとも12年ごろから活動しているロシアのハッカー集団の手法と似ているという。ロシアの集団は、石油会社などエネルギー業界を狙ったサイバー攻撃を続けている。この時期、米大統領選挙へのロシアによる介入の疑惑が高まっていた。

> 国土安全保障省とFBIは、国民の安全への脅威はないとしている。また、ウルフクリーク原発の関係者も、原発を運用するためのネットワークはインターネットから切り離されているため、原発の運用システムに影響はない、と説明している。


> 松原実穂子
≫ NTTチーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジスト
≫ 早稲田大学卒業後、防衛省で9年間勤務。フルブライト奨学金により米ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院で修士号取得。その後、米シンクタンク、パシフィックフォーラムCSIS(現パシフィックフォーラム)研究員などを経て現職。国内外で政府、シンクタンクとの意見交換やブログ、カンファレンスを通じた情報発信と提言に取り組む。


<参考=「肉食動物の獲物探しに似た「水飲み場型」サイバー攻撃 サイバー攻撃の脅威 松原実穂子」(毎日新聞「経済プレミア」、2月23日)>


NO.1847 ねんきん定期便のデザイン一新 わかりやすく、選びやすく~若手議員が新たな社会保障改革に挑む(毎日新聞「政治プレミア」、2月25日)<起稿 磯津千由紀>(19/04/10)


【磯津(寫眞機廢人)@ThinkPad R61一号機(Win 7)】 2019/04/10 (Wed) 18:01

 こんばんは。


 「ねんきん定期便」の表記は、本当に分かりづらいですからね。此の改革には大賛成です。
 年金受給開始を一律に75歳にするのではなく、年金受給開始を遅らせることで年金額が増えることを国民に周知させ、個人個人の選択に任せるという提言は、一見は良いように思いますが、貧困が広まる現在、少しでも早く年金を貰いたいという国民が多いと思います。


> 前回は、行動経済学の「ナッジ」という考え方を活用し、個人の前向きな行動を応援することが、今後の社会保障改革にとって重要であることを紹介しました。


> 私は、昨年秋から自民党における社会保障制度調査会の年金PTの事務局長に就任し、年金改革に取り組んでいます。この機会を捉え、小泉進次郎厚生労働部会長など関係者と協力し、12月に「ねんきん定期便」の見直しを行うことにしました。これは、まさに「ナッジ」の考え方を活用して、個人の行動を応援する改革です。

> 改革の詳細については、こちらをご覧ください。

https://shinjiro.info/181211_nenkinteikibin1.pdf


> 生き方選ぶ情報を明示

> 「ねんきん定期便」とは、日本年金機構が年金加入者に毎年1回、誕生月に送っているはがきや封筒です。内容には、その時点までに納めた保険料の金額や、将来受け取れる年金の見込み金額などを記載しています。

> 現在の定期便には大きな課題がありました。ひと言で言うと、非常に読みにくく、分かりづらかったのです。


> まず、文字ばかりで、しかも専門用語が多い。情報の伝え方にも工夫がありません。このため、私のような専門家ですら、内容を理解するのに相当の時間がかかりました。国民目線で見て、非常に分かりにくいものだったと思います。

> こうした問題を解決するため、定期便のデザインを大きく変えることにしました。

> そして、見直しにあたっては、そもそも定期便を通じて国民の皆様に伝えたいことは何なのか、改めて整理しました。

> これまで説明してきたとおり、今後は「人生100年を生きる」時代が到来します。その中で、国民の皆様には、できるだけ若い時から、人生100年の過ごし方、長い老後への備えを考えていただく必要があります。

> その際、大事なことは、人生100年時代には、生き方や働き方が多様化するということです。現在の公的年金制度が整備された高度成長期には、「20年学び、40年働く」モデルが一般的でしたので、年金制度もそれを前提に整備されていました。

> しかし、これからは、こうした「昭和の標準人生モデル」を歩む方は少なくなります。雇用慣行は大きく変化しています。平均寿命も大きく延びています。さらに、今の高齢者は、肉体的にも精神的にも、昔に比べてかなり若返っています。65歳で引退する方は減っており、年齢と関係なく、元気に活躍される方が増えています。

> 今後は、人生100年を前提に、学ぶことも、仕事も、休むことも、一人一人が自分で選択するようになっていくと思います。一度働いてから大学に通ったり、育児休業の後に職場復帰したり、多様な生き方が当たり前になります。年齢によって役割を決めるのではなく、エイジフリーで個人が自由に生き方を選択できる。そんな社会になっていきます。

> こうした大きな変化の中で、政治の側も、「標準人生モデル」という特定のレールに国民の生き方を誘導しようとするのではなく、個人の多様な生き方・働き方に合わせて、制度のほうを変えていく必要があります。

> そして、人生100年時代に、より長く社会に参加し続ける方を応援することは、「支え手」を増やすことを通じて、経済社会の持続可能性の向上にもつながります。

> 現在は、18~64歳を「支え手」、65歳以上を「支えられる側」としています。この考え方を前提とすると、1人の高齢者(65歳以上)を、現在は2.1人、2040年に1.5人、2065年には1.3人の現役世代で支えることになります。現役世代の急激な減少により、社会のバランスが大きく崩れることが分かります。

> しかし、74歳までが「支え手」になったと仮定すると、景色が一変します。1人の高齢者(75歳以上)を、現在でも5.1人、2040年に3.3人、2065年になっても2.4人の現役世代で支えることになります。無理なく支えられる社会を維持できるのです。

> もちろん、高齢者になると個人差が大きくなります。大事なことは、65歳以上を一律に高齢者として扱うのではなく、個人が自分の生き方を自由に選択できること。政府も、そうした個人の選択を尊重し、個人の前向きな選択を応援していく必要があります。


> 三つのポイントに絞る

> こうした考え方に立つと、ねんきん定期便は、国民一人一人が生き方を選択する際に、公的年金制度のポイントが端的に分かるような情報を提供する必要があります。こうした観点から、以下の三つの情報が国民に伝わることが重要だと考えました。

≫ (1)自分がもらえる年金の金額は、長く保険料を納めるほど増えること

≫ (2)受給開始年齢を選択できること

≫ (3)受給を遅らせると年金額が増えること

> (1)は、公的年金制度の基本です。2000年代に年金不安を政治的に利用しようとする残念な動きがあったこともあり、今でも「年金は本当にもらえるのか」という不安を抱いている方もおられるかもしれません。しかし、年金の財政基盤は安定しており、特にアベノミクスが始まってから「支え手」が増えたことで、年金財政は大きく改善しています。

> 国民の皆様に伝えるべきは、長く保険料を納めるほど年金額が増える、という当たり前の原則です。すなわち、公的年金は、長く働くほど得をする仕組みであるということです。今後は、毎年、目に見えて年金額が増えていくことを丁寧にお伝えしていきたいと思います。

> (2)は、現在の年金制度でも、受給を開始する年齢は60歳から70歳までの間で、自分で自由に選ぶことができるのですが、定期便にそれが記載されていませんでした。人生100年時代には、年金受給のタイミングを自分で選択することが重要になりますので、定期便でもこうした情報をしっかり伝えることにしました。

> そして、(3)は、現在の年金制度でも、年金受給を遅らせるほど、年金額が増えることになっていることを正確に伝えるものです。現在、年金の受給を65歳開始から70歳開始へと繰り下げている人は1%程度しかいない状況です。そこで、定期便でこうした制度を丁寧に説明することにしました。

> これら(1)~(3)の情報を的確に伝えるため、行動経済学のナッジ理論を活用しつつ、冗長な文言などを編集し、文字の量を1029文字から495文字に約半減しました。また、イメージ図を初めて導入しました。これにより、定期便はかなり分かりやすくなったのではないかと思います。

> 今回の改善により、長く働くほど年金が増えるという年金制度を正確に理解していただいた上で、国民一人一人が自分に合った生き方を選択しやすくなるようになることを期待しています。

> もちろん、定期便の修正自体は小さな修正かもしれません。しかし、こうした改善の積み重ねが、人生100年時代の「選択できる社会保障」への第一歩になると確信しています。

> 今後も、人生100年時代の多様な生き方に合わせて、年金制度の改革を進める予定です。国民一人一人が、もらえる将来の年金額を正確に理解しつつ、生き方や働き方に応じて、受給開始のタイミングを自由に選べるようにします。これにより、できるだけ多くの方に長く社会で活躍していただくことを応援したいと思います。

> そして、日本をエイジフリーで活躍できる「健康長寿・生涯現役の社会」に変えていくことができれば、社会保障についての悲観的な見方を大きく変えられると考えています。


<参考=「ねんきん定期便のデザイン一新 わかりやすく、選びやすく~若手議員が新たな社会保障改革に挑む ミレニアル世代の挑戦 村井英樹」(毎日新聞「政治プレミア」、2月25日)>


NO.1848 車内販売、JR各社が続々廃止 旅の楽しみ、生かす方法は(毎日新聞、2月27日)<起稿 磯津千由紀>(19/04/10)


【磯津(寫眞機廢人)@ThinkPad R61一号機(Win 7)】 2019/04/10 (Wed) 19:54

 こんばんは。


 不便になります。
 例えば掛川駅、駅弁がない訳ではないですが、僅か(ホームにはない、改札内にはあるものの売り切れが多い)。東海道新幹線は下記一覧にありませんが、既に「こだま」では車内販売がない列車が多いです。


> 「ホットコーヒーに、お弁当でこざいます」。ワゴンを呼び止めて購入した弁当を広げ、車窓から見える風景とともに味わう。そんな旅の楽しみが消えていこうとしている。採算性を理由にJR各社が続々と車内販売の廃止を発表しているからだ。でも打つ手はないのだろうか。【庄司哲也】


> JR北海道は今月28日で特急「スーパー北斗」(札幌-函館間)の一部で行っていた車内販売を終了する。さらに来月15日には北海道新幹線(新青森-新函館北斗間)▽東北新幹線の「やまびこ」(東京-盛岡間)▽秋田新幹線(盛岡-秋田間)▽九州新幹線(博多-鹿児島中央間)--に加え、JR東日本の一部特急、JR四国の全特急でも車内販売が廃止される。

> 「売り上げの低迷」。それが廃止の最大の要因だ。JR各社は背景として、列車の高速化に伴う乗車時間の短縮や、「駅ナカ」と呼ばれる駅構内のコンビニや商業施設の充実で乗客が弁当や飲み物を事前に購入することを挙げている。人手不足で販売員の確保が難しくなっている事情もある。

> 「本当に廃止するだけでいいのでしょうか」。そう疑問を投げかけるのは鉄道ライターの杉山淳一さんだ。「わずか1時間余りの旅客機でも機内販売があります。旅先で財布を開こうとしている人たちが3~4時間もじっと座っているのは、ビジネスチャンスのはず。なぜ、もっと真剣にならないのでしょう」

> 杉山さんによると、車内販売は旧国鉄時代、本業の輸送サービスに比べて低い位置づけの「付帯サービス」に過ぎず、利益を問おうという感覚も乏しかった。民業圧迫を避けるため、飲み物などは、市中で買うよりも割高の料金設定がされていた。その考えは民営化後も引き継がれたままという。現在も車内販売の飲料水は、自動販売機で購入するよりも割高で販売されている。

> そんな現状を踏まえて、杉山さんはこう提案する。「車内でしか買えない限定品があれば、購入したいと思う乗客も出てくる。自販機で買う缶コーヒーより価格は高くても、温かく香り高いコーヒーだって提供できるはず。もっと魅力がある商品を提供すべきなのです。鉄道会社や関連会社にノウハウがないならば、そうした商売にたけたコンビニエンスストアなどに門戸を開けばいい」。サービスの低下で列車の旅の魅力が失われ、乗客そのものが減少することを杉山さんは懸念している。

> 「元カリスマ車内販売員」として知られる茂木久美子さんも廃止には懐疑的だ。「今も新幹線を利用する時は、ついつい車内販売に目が行ってしまいます。それで気づいたのは、消費への姿勢がシビアと言われる若い乗客もちゃんと買っていることです。車内販売はまだ可能性があるはずでは」

> 山形新幹線の販売員だった茂木さんは東京-新庄間の片道で54万円売り上げた記録を持つ。この記録は、コンビニの店舗1日の平均売り上げに相当する。山形新幹線は7両編成、座席は400ほど。座席数が倍以上の東海道新幹線などに比べると不利な条件下で、茂木さんは、乗客とのコミュニケーションを心掛けていたという。「単なる移動時間ではなく、販売員との出会いといった物語が加われば、旅がもっと楽しくなるのではないでしょうか」。どんな方法があるのだろうか。

> 茂木さんが編み出したテクニックの一つが「バック販売」。客の背後から車両に入る場合、重いワゴンを押すのではなく、引きながら販売する方法だ。客と対面しながら歩くことになり、客が手を上げたり、欲しいという表情をしたりするのを見逃すことがなくなった。ある時、コーヒーを買った客に「砂糖とミルクどうすっぺ」と、うっかり山形弁が出た。「しまった」と思ったが、その瞬間に山形出身の客が心を開いてくれ、車内も一気になごんだという。客との距離感が自然と縮まる方言を取り入れる工夫もした。

> 2012年に車内販売を退いたが、その経験から学んだ、客とのつながり方を伝えるセミナーや講演活動で全国各地を飛び回る。「世の中がどんどんスピードアップする中で、自動販売機にはできない心配りや楽しさを提供することが大切です」

> 鉄道の魅力を紹介する「鉄旅タレント」として活躍する木村裕子さんも、JR東海の名古屋駅を発着する紀伊勝浦行きの特急ワイドビュー南紀や富山行きの特急ワイドビューひだなどの列車で車内販売員をしていた経験がある。

> 木村さんが販売員として持っていた得技とは? 「途中駅のお薦めスポットを記した独自の地図や冊子を作っていました。お客さんに『どこか良い所はない?』と尋ねられることが多かったので、『こんなところがありますよ』と教えてあげられるようにしていたんです。薦めるスポットには、実際に足を運んでみて、どんな場所なのかを確かめていましたよ」。心からのもてなしだ。


> すご腕に出会うのも魅力

> 千葉県在住の塾講師、清水ひろしさんは、10年間で7500回以上も車内販売を利用してきた鉄道ファンだ。利用客の目線で車内販売の体験をつづったブログ「車内販売でございます。」を開設している。

> 鉄道ファンの中でも列車の撮影をする愛好家が「撮り鉄」、列車に乗ることを目的とするファンは「乗り鉄」と呼ばれ、清水さんは元々は「撮り鉄」「乗り鉄」だった。だが、ガラ空きの車内でも一生懸命に笑顔で売りに来る販売員の姿に感動し、車内販売が目的の「車内販売鉄」へと変わった。

> 九州など遠方に出かけた際には自ら「車外断食」と名付け、車内販売で購入したもの以外は一切、飲み食いしないという徹底ぶり。通勤では普通列車グリーン車の定期券を購入し、ほぼ毎日のように車内販売を利用する。

> 利用する側の視点で見た車内販売の魅力を清水さんは、こう説明する。「コンビニがあちこちに増え、買い物はお金をレジカウンターに置くだけ。無言でできてしまいます。でも、車内販売は、乗客が呼び止めて『何がありますか』『これください』と声を掛けなければなりません。売り手と買う側のコミュニケーションを介した買い物なのです」。前出の茂木さんのように、それぞれの路線にすご腕の販売員がいるのも魅力だ。

> 清水さんはある時、マジシャンのような販売員に出会ったことがある。150円のお茶を購入し、200円を出したところ、販売員がつり銭が入っているはずのエプロンのポケットに手を入れずに、50円を手渡してくれた。「つり銭を予測し、50円玉を指に挟んでいた。まるで手品のように取り出したんです」。そんな個性的な販売員たちが、旅をさらに楽しませてくれるのだという。

> ペットボトルが普及していなかった時代、車内販売ではお茶はポリ容器にティーバッグが入った形で売られていた。無性に懐かしくなる。さらには、冷凍みかんやカチカチに固いアイスクリームもあった。そんな列車ならではの商品たちが、旅の魅力を高めていたのではなかっただろうか。


> 車内販売が廃止される列車◇

> ◆新幹線

≫ 北海道新幹線

≫ 東北新幹線 やまびこ

≫ 秋田新幹線

≫ 九州新幹線

> ◆特急

≫ JR北海道 スーパー北斗

≫ JR東日本 踊り子、日光、きぬがわ、スペーシアきぬがわ、草津、いなほの酒田-秋田間

≫ JR四国 しおかぜ、南風

<参考=「車内販売、JR各社が続々廃止 旅の楽しみ、生かす方法は」(毎日新聞、2月27日)>
<消滅・24/03/01>


NO.1849 ベストセラー作家は普通の主婦 ヒットのコツは「観光客目線」 (毎日新聞、3月3日)<起稿 磯津千由紀>(19/04/10)


【磯津(寫眞機廢人)@ThinkPad R61一号機(Win 7)】 2019/04/10 (Wed) 20:14

 こんばんは。


 「京都寺町三条のホームズ」を、「普通の主婦」が書いていたとは。


> 夕方近くになると京都府城陽市内のスーパーで毎日のように家族4人の夕食などの買い物をしている「普通の主婦」が、昨年は9冊の著書を出版したベストセラー作家だったとは……。


> 望月麻衣さん(43)の代表作で2016年に京都本大賞を受賞し、昨年アニメ化された「京都寺町三条のホームズ」シリーズは、これまで11巻で累計100万部以上。「わが家は祇園(まち)の拝み屋さん」「京洛の森のアリス」などの作品でも知られる。市内に住んでまだ2年だが、奥田敏晴市長が「わがまちの最近のヒットというかホームランのような存在。さらなる大活躍も祈念する」と絶賛し、2月26日に市在住のプロボクシング世界王者、拳四朗選手(27)に次ぐ2人目の城陽応援大使に任命された。

> 札幌市出身。城陽市出身で北海道で学生生活を送った夫は転勤族で、現在20歳と14歳の娘の育児に追われたこともあり、「作家になりたい」という子供のころからの夢にはなかなか踏み出せなかった。だが10年ほど前、少しずつ増えてきた空き時間を使い、一大ブームとなったネット小説に投稿するようになって頭角を現し、13年に「E★エブリスタ電子書籍大賞」を受賞して「花嵐ガール」(主婦の友社)で作家デビューした。

> この年に夫が転職し、京都市内の勤務となり、左京区の下鴨神社近くに住んで「自転車で周囲の名所を回った」。そこで見たものが「ホームズ」シリーズを生み出す下地となった。ヒットのコツは「地元の人は住む場所の良さになかなか気づかないから、いつまでも観光客目線でいること」、さらには「タイトルで中身が想像できないとなかなか読んでもらえない。『ホームズ』も『拝み屋さん』もまずタイトルを決めて取りかかった」という。

> 夫の実家近くに転居した17年以降は、取材範囲が広がり地元の青谷梅林や石清水八幡宮(八幡市)も小説の場面に登場するようになった。午前6時起床で朝食、弁当を準備して夫を職場、娘2人を学校に送り出した後、9時半にコーヒー1杯を飲んでスイッチオンとなり、午後1時半までが作家になる時間。「夫は見たことがないので『いつ書いているの』と驚いてます」【矢倉健次】

<参考=「ベストセラー作家は普通の主婦 ヒットのコツは「観光客目線」」 (毎日新聞、3月3日)>


【シバケン】 2019/04/10 (Wed) 23:20

「京都寺町三条のホームズ」「わが家は祇園(まち)の拝み屋さん」は、本屋で、見た事、あるです。

イヤ、読んでは無いです。

確かに、銘々が、ン<?>と、なるです。

あくまでも、主観ですが。
「京都寺町三条のホームズ」の、「寺町三条」は、微妙な、地点でして。
謂わば、京都の繁華街の一部ですが、「四条河原町」で無いが宜しいです。

イヤ、「寺町」も、「三条」も、「四条」「河原町」も、通り名<道路の名称>です。

まず、「寺町」が宜しいです。京都らしく。
そのままの、寺が多い通りでした。これが、一時には、大阪の、日本橋、東京の秋葉原の様な、電気屋街になったです。

但し、四条まで、でして。
そこから、上<北>の方、三条までは、何ちゅうかの、商店街でして。
且つは、賑やかな、ではありませんでして。一寸、落ち着いた、商店街。

人通りの多い道を避けるなら、寺町通りでして。

で、
「わが家は祇園(まち)の拝み屋さん」。
コレも、中身、読んでませんですが。
「祇園」の拝み屋さんねえ。

この場合の、祇園は、どこを指してるのか<?>

「八坂神社」の祇園なら、そこに、果たして、拝み屋さんは、居てるの哉の、実は、昔<?>っから、その先、「円山公園」の、「占い師」なら、有名です。

昔っから、現在でも、テント張って、やっておられるですが、当然の、同じの人では、無い筈でして。

この拝み屋さんねえ。
正確には、占い師では、ありませんでして。
霊媒師<祈祷師>。
占い師が、霊媒師を兼ねてる事も、あるですが。

表現的、「霊媒師」とせず、「拝み屋さん」が、宜しいですねえ。
確かに、当方の、祖母世代なら、「霊媒師」等とは、云わず、「占い師さん」とは、云わず、云い難くの、感覚的、「拝み屋はん」が、云い易いです。

申してるは、「さん」でも、「はん」でも、どちでも、一緒ですが。
「はん」は、平たくには、京都弁的表現哉と。


【磯津(寫眞機廢人)@ThinkPad R61一号機(Win 7)】 2019/04/11 (Thu) 00:02

 シバケン様、こんばんは。


 「観光客目線」の「小説」ですから。
 事実をありのままに書かず、脚色して面白くするのもアリです。地元の方から見れば不正確なのかもしれませんが。


【磯津(寫眞機廢人)@ThinkPad R61一号機(Win 7)】 2019/04/11 (Thu) 00:09

 追伸です。


 「拝み屋はん」では、他地区の方には理解が難しいです。だから全国区の読者に向けた表現ではないかと。


【シバケン】 2019/04/11 (Thu) 00:33

磯津千由紀さん、こんばんわ。

不正確等々の意図での話をしたでありませんです。

三条寺町界隈の印象。
そして、拝み屋さんは、「さん」でも、「はん」でもどちでも一緒ですが、占い師、霊媒師、祈祷師と、しなかった、辺りが、面白いな的、話をしたつもりです。
実際の表現は、「宜しいですねえ。」としてるです。

付け加えるなら、「お拝み屋」が全国区に通じるかは、知りません。
単に、祖母世代なら、「お拝み屋はん」と、云うてたな。
と、話をしてるです。


【磯津(寫眞機廢人)@ThinkPad R61一号機(Win 7)】 2019/04/11 (Thu) 01:20

 シバケン様、こんばんは。


 成程。
 尚、「お拝み屋」は、全国で通じると思います。

 ところで、“寺町三条”のアニメの最終回で、主人公(女子高生)がホームズに告白しようとしたら「月が綺麗ですね」といわれて、告白を先延ばしにしています。
 女子高生なら意味が分からなくても道理と視たときは思いましたが、今思うに、視聴者の中で理解できなかった人が今時なら多いかも。


【磯津(寫眞機廢人)@ThinkPad R61一号機(Win 7)】 2019/04/11 (Thu) 01:54

 追伸です。


 小説を読むような人ならすぐに意味が分かったでしょうが、アニメの視聴者では難しい、の意です。
 今時、「月が綺麗ですね」に「私、死んでもいいから」と返せる女性は、絶滅危惧種かも。


【磯津(寫眞機廢人)@ThinkPad R61一号機(Win 7)】 2019/04/14 (Sun) 00:41

 こんばんは。


 「京都寺町三条のホームズ」の小説(文庫)とコミックスを、発掘しました。


NO.1850 ピロリ菌の除菌がかえって病気を招く?(毎日新聞「医療プレミア」、3月4日)<起稿 磯津千由紀>(19/04/10)


【磯津(寫眞機廢人)@ThinkPad R61一号機(Win 7)】 2019/04/10 (Wed) 20:28

 こんばんは。


 ピロリ菌の除菌が逆流性食道炎を招くといいます。


> ピロリ菌といえば、胃がんの危険因子としてよく知られています。疫学研究によると、ほとんどの胃がん患者の胃粘膜でピロリ菌が確認されています。除菌済みの人も含めると、胃がん患者の99%がピロリ菌に感染しているという報告もあります。また、消化性潰瘍では胃潰瘍の7割、十二指腸潰瘍の9割がピロリ菌によるものといわれています。

≫ <ピロリ菌「全例除菌」を勧めない理由>⇒
≫ <繰り返す「胸やけ」は病気のサイン>⇒
≫ <食道の粘膜が胃の粘膜に変化する病気「バレット食道」>⇒
≫ <長引く逆流性食道炎を改善した“すごい”漢方薬>⇒
≫ <ハウツー胃カメラ>⇒

> 現在では、人間ドックや胃の不調で受診した際にピロリ菌感染が確認されると、積極的に除菌治療を行うのが当たり前になってきました。消化性潰瘍、慢性胃炎(前がん症状の萎縮性胃炎など)をはじめ、胃のリンパ節にできる胃MALTリンパ腫、胃粘膜びらんの修復過程にできる胃過形成性ポリープ、特発性血小板減少性紫斑病などに対する除菌が保険適用になっていることも、除菌の普及を後押ししています。


> 日本は感染者が高齢者に多い

> 日本のピロリ菌感染者は高齢者に多く、70歳代以上の感染率は50~60%と高率です。しかし近年は、衛生環境の向上により、一度もピロリ菌に感染したことのない人が増えていて、感染率は40歳代では20%、20歳代では10%、10歳代では2%という調査結果が出ています。

> ピロリ菌感染の有無を調べるには「胃内視鏡検査」「血液検査でのピロリ抗体」「尿素呼気テスト」などがありますが、まずは内視鏡検査を行います。感染があるとわかった場合は3種類の薬(胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害剤(PPI)、抗菌薬であるクラリスロマイシンとアモキシシリンを1週間服用してピロリ菌の除菌を行います。

> ピロリ菌の感染率が低下していること、ピロリ菌除菌が普及していることから胃がんのリスクは低くなるばかりと思いきや、除菌の普及で逆に増えてきたといわれる病気があります。それが逆流性食道炎です。

> 逆流性食道炎は、胃酸や胃の内容物が逆流して食道に炎症が起き、胸やけ、げっぷ、胸部の不快感や痛み、のどの違和感を伴う病気で、慢性化すると、食道腺がんのリスクになるともいわれています。これまで、肥満傾向の欧米人に多くみられる病気でしたが、近年は日本の働き盛りの世代に珍しくない病気となっています。


> ピロリ菌除染と逆流性食道炎

> ではなぜ、ピロリ除菌をすると逆流性食道炎につながるのでしょうか。それは、ピロリ菌に感染していると、萎縮性胃炎を起こし胃酸の分泌が抑制されて"低酸状態"になり、逆流性食道炎が起こりにくくなるからです。それが、除菌によって胃酸の分泌が亢進し、逆流や胃酸過多に伴う症状が増えて逆流性食道炎の診断が増加するというわけです。

> 除菌で胃の調子がよくなることで、今までより食べる量が増え、中性脂肪やコレステロールの数値が上がったり、太ったりするなど、生活習慣病のリスクが高まるという指摘もあります。なお、除菌のために服用する抗菌薬の副作用で起こる軟便や下痢については一時的に過ぎず、特に心配しなくてもよいでしょう。

> 逆流性食道炎のリスクを考えると、除菌をためらう人がいるかもしれませんが、薬で症状を抑えながら、食生活や過労などに注意をすることで悪化を防ぐことができます。消化性潰瘍や胃がんを予防できる可能性を考えれば、ピロリ菌の除菌には大きなメリットがあるといえます。


> 監修:宮川めぐみ(医療法人誠医会 宮川病院内科)

> 「ケータイ家庭の医学」2018年12月掲載より(C)保健同人社

<参考=「ピロリ菌の除菌がかえって病気を招く?」(毎日新聞「医療プレミア」、3月4日)>


NO.1851 電力変換機の小型軽量化が新幹線の進化の歴史(日経 xTECH、2017年8月21日)<起稿 磯津千由紀>(19/04/10)


【磯津(寫眞機廢人)@ThinkPad R61一号機(Win 7)】 2019/04/10 (Wed) 23:48

 こんばんは。


 昭和39年に東海道新幹線が時速209キロメートル(ATS制限速度)で開業した当時にはVVVFさえ無かったどころか直流モータで走ってましたからね。それに、良く揺れました。
 尚、開業から1年間はバラスト軌道が安定するまでということでバラスト軌道区間は時速160キロメートルで東京・新大阪間は4時間でしたが、其の後3時間10分の時代が長かったです。


> 日経エレクトロニクス


> 次世代パワー半導体であるSiCを搭載した鉄道車両が増えている。これまでは地下鉄や在来線での採用が中心だったが、いよいよ新幹線にも搭載される。2020年ごろの量産を目指した「N700S」である。その開発を主導したJR東海の上野雅之氏に、SiC採用の経緯を2回に分けて解説してもらう。なお本稿は、2016年11月開催の「パワーエレクトロニクス・サミット2016」における上野氏の講演「東海道新幹線における技術開発―SiC採用の駆動システムを搭載したN700Sの開発について」の内容を基にしている。(本誌)


> 2016年6月、東海旅客鉄道(JR東海)は新幹線車両を13年ぶりにフルモデルチェンジすると発表した。現行新幹線車両「N700」系に代わる新しい車両の名称は「N700S」。“S”は、「最高」「至高」という意味の「Supreme(スプリーム)」を表す。2017年6月には先頭部などのデザインが明らかになり、さまざまな面で進化がみられる(図1)。現在はまだ試験車両の製作段階だが、2018年3月には完成する予定だ。この試験車両で数年かけて新技術を試験し、2020年ごろに量産車としてデビューさせることを目指している。

> このN700Sで、いよいよSiCパワーデバイスを車両に搭載する。これまでも、パワーデバイスの発展と共に車両技術は進化してきた。本稿では、車両技術全体の進化の中でパワーデバイスがどのような役目をしてきたかについて、車両の技術開発や開発設計に携わってきた立場から2回にわたり解説する。加えて、SiCパワーデバイスを使った車両技術をどのようにN700Sに結実させたかについて説明する。


> 「安全」「安定」「高効率」を重視

> まず、JR東海や東海道新幹線について、簡単に紹介したい。JR東海は1987年、今から30年前に国鉄を分割民営化して誕生した会社だ。人口の集中地帯であり、国民総生産でも日本の中心地である東京-名古屋-大阪間を結ぶ東海道新幹線550kmと、名古屋や静岡を中心とした在来線1400kmを運行し、2015年の実績ではその他関連事業などと合わせて1兆7000億円の売上高がある。

> 東海道新幹線は全て16両編成。現在、700系、N700系、N700Aの3種類の車両が走っている。N700系は改造してN700Aとほぼ同じ仕様にしたため、700系とN700Aの2つに大別できる。2016年度末時点で21編成ある700系は2020年までに全てN700Aへの置き換えが完了し、N700Aタイプの車両に統一される予定だ。

> 開業以来52年間(2016年まで)で列車事故による死亡事故はゼロ。2015年度の1列車当たりの遅れ時分は0.2分で、完全な安全を確保し安定度も高い。2015年度には1日当たり平均358本の列車を運行した。2016年度には1日の本数として過去最大の432本を運行した日があった。1日で約45万人が利用し、1964年の開業以来の利用者は約60億人に達する。

> 新幹線は長距離輸送なので航空機とシェア争いをしている(図2)。東京-名古屋間は新幹線が100%のシェアを持つが、東京-大阪間では85%となる。距離が延びると航空機のシェアが高くなり、東京-福岡間では航空機が90%になる。搭乗時間が3~4時間前後のところでシェア争いをしている状況だ。

> 鉄道はエネルギー効率が極めて高い輸送機関だ。新幹線でもとりわけエネルギー効率について積極的に取り組んできた。開発中のN700Sは、初代の新幹線の0系と同じ速度で同区間を走れば半分以下のエネルギーで走行でき、速度を285km/hにしても65%のエネルギーで走行できる(図3)。CO2排出量をライバルの航空機と比較しても非常に少ない(図4)。米The Boeing Companyの民間旅客機「Boeing 777」と比べて、1座席当たりのCO2排出量は1/12である。


> 300系のぞみで大きく生まれ変わる

> 東海道新幹線の歴史は国鉄時代に遡る。1964年、国鉄時代に0系が走り始めた(図5)。この0系の時代が長く、その後もずっと作り続けられた。この間に、見た目や外形はほとんど変わらず、大きな仕様変更を2回実施。無接点化やパワーデバイスを使った制御などを変更した。その後、2階建ての100系を導入したこともある。

> ここまでが第1世代で、車体は鋼製、台車も古いタイプだ。駆動系が直流電動機で、ブラシが付いていた。このブラシがメンテナンスの効率化と最高速度の向上を抑えていた技術的な課題だった。

> 国鉄の分割民営化後、1992年に東海道新幹線では300系の「のぞみ」がデビューした。アルミ製車体と新しい台車になり、交流電動機で駆動することになった。ここで使っていたのがGTO素子で、回生ブレーキを実現した。

> この300系から新幹線が大きく変わった。300系以降から現在のN700Aに至るまでの新幹線を、我々は第2世代と呼んでいる。第2世代に移行してから、新幹線は進化を続けてきた。特に速度が大幅に高まった。

> 第1世代で220km/hだった最高速度を、第2世代の最初のモデルである300系で270km/hにまで高めた(図6)。300系の営業運転が始まった7年後(1999年)に700系が登場し、山陽区間では285km/hで走行できるようになった。

> その後、愛知県小牧市に研究所を開設。そこでの研究成果を生かして、ATCという信号システムを2006年にデジタル化し、全面変更した。これにより、スムーズな減速が可能になり、乗り心地が向上した。


> N700で乗り心地が向上

> 2007年に、現在の東海道新幹線で主力となっているN700系がデビュー。最高速度は270km/hのまま(山陽区間は300km/h)だったが、カーブ走行時に車体を傾斜させ、超過遠心力を打ち消して乗り心地を確保した上で、それまで速度を落としていたカーブも270km/hで走ることができるようになった。

> その後2013年にN700Aが営業運転を開始し、N700系も一部、N700Aの機能を付加する改造を行った。2015年には全編成の改造工事が完了し、700系以外のすべての車両の最高速度を285km/hに上げた。

> この他、N700Aタイプの車両には、列車の遅れを回復する時に使用する定速走行装置を導入した。運転台にあるスイッチを押すとATC信号に沿った自動での定速走行が可能になった。


> 新大阪までの所要時間を約4割減

> 新幹線開業当初は、最高速度が210km/hで東京-大阪間の最短での所要時間が4時間、1日60本で6万人を運んでいた。そこから1965年に3時間10分運転を実現、1986年に最高速度220km/hになり、初めて3時間を切った。300系の登場で最高速度が270km/hになり、2時間半となった。現在では285km/hで最短2時間22分に短縮している。運行本数は1時間当たり最大15本、1日に約45万人を運ぶ。開業当初と比べて約7倍の輸送力になった。

> JR東海が発足してから東海道新幹線は大きく変わったと自負している(表1)。分割民営化前には1列車当たり7分も遅れていたという時期がある。しかし、分割民営化後は非常に安定した。特に2003年以降、品川駅が開業して全列車が270km/hになってから、ほぼ0.5分を切るようになった。さらに2015年度には0.2分になっている。


> CIの小型軽量化で車両が進化

> ここから、新幹線の駆動システムについて解説する。新幹線の架線は、少し特殊で2万5000Vの単相交流だ。新幹線1編成(16両)では、2万5000V・1000Aを上限とし、パンタグラフで集電し、トランスで電圧を下げる。これをコンバーターで直流に変え、インバーターで三相交流を作ってモーターを駆動する(図7)。この構造で基本的に4個のモーターを駆動する。回生ブレーキでは、ブレーキを掛けるとインバーターからコンバーターに電気が流れ、三相交流から直流ステージを経て単相交流として架線に返っていくシステムとなる。

> このコンバーター(C)とインバーター(I)は、当初は別々の装置として作られていた。しかし、大きさや重さの面で一体化したほうがいいということになり、300系で初めて「CI」という名前で一体化した。

> 実は、一体化したCIの小型軽量化こそが、30年間の開発の歴史であり、新幹線の進化に大きく貢献した。


> CIの数を増やして出力増

> 新幹線は300系、700系、N700系と進化してきたが、線路で許容される重さは変わらないため、軸重(車軸に加わる力)はほぼ変わらず、約11.2tである。この制限の中で、いかにCIを小型化して搭載個数を増やし、出力を高めて速度を向上させられるかということに力を入れてきた。

> 300系では、一編成で車両の床下に積めるCIの総数が10個だった。これが限界で、これ以上積むと重量オーバーで速く走れなかった。CIをどんどん小型軽量化することで、700系では12個、N700系では14個に増えた。そしてCIの数を増やすことで、300系で1万2000kWだった出力が、N700系では1万7080kWとなり、1.4倍になった。

> 出力を上げるため大きなCIにすることも1つの方法だが、大きくなるとCIを載せた車両だけが重くなり、編成したときの重量バランスが狂う。そのため、CIをできるだけ小さく軽くして16両編成で分散して配置するという方法を採った。こうすることで、CIの数を増やせた。CIの数が増えたことで出力が上がり、より高速で走れるようになったのだ。


> 300系で回生ブレーキを実現

> CIの軽量化だけでなく、300系から導入した回生ブレーキも軽量化につながった(図8)。それまでは、走行時にパンタグラフから電源をもらい、ブレーキ時には抵抗器で熱を発散していた。これを回生ブレーキで置き換えたことから、抵抗器自体が不要になって軽くなり、出力向上につながった。実は新幹線を最初に開発した時から、ブレーキ時のエネルギーを架線に戻すことを考えていた。これを初めて実現できたのが300系だった。

> CIの軽量化や回生ブレーキの導入などで、重量当たりの出力は100系の0.12kW/kgから300系で0.17kW/kgになった。

> その後、700系からGTOの代わりにIGBTを採用した上、N700系から一部のCIで冷却方式をブロアー付きから「ブロアーレス」に変えた。これによりCIを軽量化し、出力向上につなげた。

> N700系のCIは300系比で50%、最新のN700Aは35%にまで軽くできた。その結果、N700Aの出力は0.33kW/kgと、100系と比べて3倍になった。SiCを利用することで、さらにCIを軽くし、出力を高められる。

> つまり、パワー半導体の進化が、CIの小型軽量化に果たしてきた役割は非常に大きい。そこで本稿の後編では、パワー半導体がCIの小型軽量化にどのように貢献してきたのかを中心に、解説する。


> 出典:2017年9月号 pp.107-112 日経エレクトロニクス
> 記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

<参考=「電力変換機の小型軽量化が新幹線の進化の歴史」(日経 xTECH、2017年8月21日)>


<連載目次>
https://xtech.nikkei.com/dm/atcl/mag/15/318381/201709/