閻魔大王<NO.134>

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閻魔大王NO.135
344 続<ロシアのウクライナ侵攻>5月初旬までに終結<?> 閻魔大王 22/03/18
閻魔大王NO.133

NO.344 続<ロシアのウクライナ侵攻>5月初旬までに終結<?><起稿 閻魔大王>(22/03/18)


【閻魔大王】 2022/03/18 (Fri) 18:44

<参考=NO.342 <ロシアのウクライナ侵攻>5月初旬までに終結<?><ウクライナ大統領府>
(22/03/15)


副題=岐路に立つプーチン 一線を越えた“皇帝”を待ち受ける末路(FNN)

ナポレオンとの比較ねえ。
ナポレオンに失礼かと。

皇帝ねえ。
確かに、プーチンは勘違いしてるの感あるです。

<写真1>
ウクライナとロシアの停戦交渉



<写真2>
フランス皇帝ナポレオン・ボナパルト像



写真3
ロシア国営テレビのニュース番組で「戦争反対」を訴える女性スタッフ



>都市を無差別攻撃
>ロシア軍が無差別攻撃を強めている。ウクライナ侵攻から3週間。幼稚園や産科病棟までもが標的にされ、多くの子どもらが犠牲になった。民間人の被害が急速に拡大している。プーチン大統領はいつまで無謀な侵略戦争を行うつもりなのか。停戦交渉は断続的に行われているが双方の主張には隔たりがあり、どこまで折り合えるか不透明だ。


>停戦交渉の一方で…
>停戦に向けた交渉はオンライン形式で続けられている。

>ロシアはウクライナの非武装化やNATOに加盟しないことを確約する「中立化」を要求。これに対しウクライナは即時停戦とロシア軍の撤退を求めている。ウクライナの政府高官は「妥協の余地もある」と語り、ロシア側からは「合意に近づいている」との声も上がっている。妥協点を見出せるかどうかギリギリの交渉が続きそうだ。

>ただ、こうした中でもロシア軍は首都キエフなど市街地への攻撃を強めている。対するウクライナ軍は激しく抵抗しているが犠牲者は増える一方だ。ロシア国防省はクリミア半島に隣接する南部のへルソン州全域を制圧したと発表した。プーチン大統領はあくまでも「力」によって目的を達することを目指している。力への信奉。ロシア国民に向けたウクライナ侵攻直前の演説では「力は常に必要だ。どんな時も」と息巻いていた。


>野望は「ロシア皇帝」?
>プーチン大統領は「ロシア皇帝」になりたいのだろうか。

>今回の侵攻も含め、これまでの行動からは旧ソ連領をロシアの勢力圏とみなし、再び支配することを目指していることがわかる。そんなプーチン大統領をフランス皇帝ナポレオン・ボナパルトになぞらえる人たちがいる。元外務省欧亜局長の東郷和彦氏もその一人だ。「私のプーチンに対する最初の印象は『ボナパルト』でした。フランス革命の混沌とした時代に彗星のごとく現れ、瞬く間にフランスをまとめ上げていく―若き日のナポレオンのイメージと重なりました」(「文芸春秋」四月特別号)。1999年の第二次チェチェン戦争で首相として自ら軍の指揮を執り、独立派武装勢力を鎮圧、圧倒的な国民的人気を獲得したプーチン氏の姿を見て直感が正しかったと確信したと述べている。


>「皇帝ナポレオン」の栄光と転落
>ナポレオンは猛烈な勢いでヨーロッパを席巻し、210年前、大軍を率いてロシアへの大遠征を行った。多くの犠牲を出しながらもモスクワを占領。しかしロシア軍が街に火をつけ退却したためナポレオン軍は糧道を断たれ、ついには撤退へと追い込まれることになった。

>ロシアを代表する文豪レフ・トルストイは小説「戦争と平和」でナポレオンのモスクワ入城の場面を次のように描写した。「モスクワが空っぽであることが、しかるべき慎重さをもってナポレオンに報告されたとき、ナポレオンは腹だたしげにじろりとその報告者をにらんだだけで、くるりと背を向けると、無言のまま歩きつづけた」「大詰めの見せ場が失敗に終わったのである」(トルストイ 工藤精一郎訳「戦争と平和(三)」新潮文庫)。これ以降、ナポレオンは転落への道を突き進むことになる。


>ウクライナ侵攻の行方
>プーチン大統領の侵略戦争は果たしてどういった展開を見せるのだろうか。

>短期的には多くの都市を制圧し、首都キエフをも占領するかもしれない。だが長期的にはプーチン大統領の野望が達成されることになるとは考えられない。窮地に追い込まれていくことになるのではないか。欧米からの経済制裁はロシア経済に打撃を与え始めているようだ。情報統制を強めてはいるが、ロシア国営テレビのニュース番組の生放送中に女性職員が戦争反対を訴えた。プーチン体制はじわじわと揺らぎ始めている。ロシア軍が攻撃を強化し首都を陥落させたとしても得られるものは既になく、そこには空っぽな現実が待ち受けているだけではないのか。ナポレオンのモスクワ占領が「失敗」に終わったように。


>平和な日常を破壊するな
>「祖国戦争」で戦った敵将だけにトルストイのナポレオン評は手厳しい。「自分のためには何ものも悪と思わぬばかりか、それに不可解な超自然的な意味をあたえて、自分のあらゆる犯罪を誇りとする、あの栄光と偉大の理想」(トルストイ 工藤精一郎訳「戦争と平和(四)」新潮文庫)と喝破した。この特性がプーチン大統領に当てはまらないことを祈りたいが…。

>ロシア軍の蛮行を決して容認してはならない。ウクライナの人々に一日でも早く平和な日常が戻ることを願う。

>【執筆:フジテレビ 解説委員 安部俊孝】

<参考=「岐路に立つプーチン 一線を越えた“皇帝”を待ち受ける末路」(FNN)>
(22/03/17)


【閻魔大王】 2022/03/19 (Sat) 00:04

副題=冒頭投稿の、「<写真3>ロシア国営テレビのニュース番組で「戦争反対」を訴える女性スタッフ」の方の件

<写真>
モスクワの裁判所を離れた後、取材に応じるマリーナ・オフシャンニコワさん=15日(タス=共同)



>ロシアの独立系メディア「メドゥーザ」は17日、政府系テレビ「第1チャンネル」のニュース番組生放送中に「戦争をやめて」などと書かれた紙を掲げた番組編集者オフシャンニコワさんが同テレビ局に辞表を出したと伝えた。弁護士が明らかにした。編集方針の不一致を理由としている。

>オフシャンニコワさんは自身が公開した動画で無許可集会を呼び掛けたことに対し罰金が科された。放送中の行動については、ウクライナ侵攻後に成立した法律に基づき、軍の偽情報を拡散した疑いでの捜査が続いているとみられる。(共同)

<参考=「「反戦」の紙掲げた露TV編集者が辞表提出 編集方針に不満」(産経新聞)>
(22/03/18)


【閻魔大王】 2022/03/19 (Sat) 12:32

副題=膨れ上がるウクライナでの死者数、ロシア軍の態勢にさらなる疑問符(CNN)

要は、ロシア軍の動きが変<?>

>(CNN) 米国や北大西洋条約機構(NATO)の当局者は今週、CNNに対し、1カ月近く前にウクライナ侵攻が始まってからのロシア兵の死者数は数千人に上るとの見方を示した。士気の低下やウクライナ側の激しい抵抗に直面するなか、ロシアはこうした兵士の補充に苦慮している。

>NATOの当局者によると、首都キエフ攻略を目指すロシアの攻勢はほぼ失速。ウクライナは17日、同市郊外の完全支配に向けた反攻を開始したことを明らかにした。

>諜報(ちょうほう)に詳しい情報筋はCNNの取材に、ロシア軍の正確な死者数に関し、米国や同盟国の分析には大きな幅があると語った。ただ、最も少なく見積もっても数千人に上るという。

>情報筋の1人によると、現時点での死者数を約7000人とみる推計もある。ただ、米紙ニューヨーク・タイムズが最初に報じたこの数字は米国の推計値の中でも高い部類に入る。正確な計算方法がないことから各種推計にはばらつきあるのが実情で、死者数を約3000人とする推計もあれば、1万人以上が死亡したと示唆する見方もある。

>これまでのところ、こうした数値は非政府組織からのオープンソース情報やウクライナ政府の発表、商業衛星、傍受されたロシアの通信により算出されている。米当局では破壊されたロシア軍戦車の数から死者数を推計する場合もあるという。

>正確な数値は不明だが、欧米の情報当局者はロシアが兵士の補充に苦慮しており、それがロシア軍の士気に大きく影響しているとの見方を示す。

>NATOの情報当局者は16日夜、記者団に「プーチン氏が重大な判断ミスを犯したことが日に日に明らかになりつつある」「ロシアは引き続き戦闘での損失を埋め合わせるのに苦労しており、ロシアの民間軍事会社やシリア人戦闘員を含む不正規軍の活用を試みる場面が増えている」と語った。

>同当局者はウクライナ軍参謀本部の話として、「ロシア軍要員は退役軍人の地位や高い給与を約束されても、ウクライナ行きを拒むことが増えている」と説明。NATOの予想では「ロシア国民が損失の規模を認識し始めるにつれ、報じられている死傷者数の多さに対して国内でも何らかの反応があるだろう」と指摘した。

>米国防当局高官は17日、記者団に対し、国防総省がロシア兵の士気低下を示す事例証拠を入手していることを明らかにした。米当局者2人によると、ロシア兵が破損した車両を放棄し、戦車や装甲兵員輸送車を残したまま立ち去ったケースもあるという。

<参考=「膨れ上がるウクライナでの死者数、ロシア軍の態勢にさらなる疑問符」(CNN)>
(22/03/18)


【閻魔大王】 2022/03/19 (Sat) 13:24

副題=想定以上に膨らむロシア軍の損失、侵攻長期化は得策ではないと判断か…停戦協議にも本腰(読売新聞)

かと、申しの、プーチンは、諦めるの様子皆無<!>

<表>
ロシアのウクライナ侵攻を巡る主な出来事



>ウクライナ侵攻を続けるロシアは、無差別攻撃を続ける一方、停戦協議に本腰を入れ始めた。ウクライナ軍の抵抗で露軍の損失は想定以上に膨らんでいる。プーチン政権には17日で開始から3週間となった侵攻の長期化は得策ではない、との判断が働いているとみられる。

>タス通信によると、ロシアの大統領報道官は17日、停戦協議に関し「交渉を妥結し、合意を履行すれば、ウクライナで起きていることに終止符を打てる」と述べ、積極姿勢を強調した。

>報道官は16日には、軍を持ちながら軍事同盟に入らないオーストリアやスウェーデンをモデルにウクライナを「中立化」する案を協議していると明らかにした。

>英紙フィナンシャル・タイムズによると、停戦協議ではウクライナが北大西洋条約機構(NATO)加盟を断念し、外国軍の基地や兵器を領内に置かない代わりに、米英やトルコがウクライナの安全を守ると約束する案が柱になっている。

>ロシアは当初、ウクライナに中立化だけでなく、軍事力の放棄を迫る「非武装化」や、ゼレンスキー政権の退陣を意味する「非ナチ化」を要求していた。当初の要求内容に比べると変化してきたといえる。

>ウクライナ代表団のミハイロ・ポドリャク大統領府顧問は、米公共テレビPBSとのインタビューで「ロシアは計画通りに作戦が進まず、交渉で態度を軟化させた」と指摘し、「数日中に合意に達する可能性がある」との見通しを示した。

>露軍の損害も増えている。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は16日、米情報機関の分析として、露軍の戦死者が7000人以上、負傷者が1万4000~2万1000人に上ると報じた。侵攻には15万人超が投入されたとみられており、報道の通りだとすれば兵員の1割超が死傷した計算だ。

>露軍の無差別攻撃で、人道危機も深刻化している。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は15日、ウクライナから国外に逃れた難民は300万人を超えたと発表した。国内に残る人々は食料や水、医薬品などの不足に苦しんでいる。

<参考=「想定以上に膨らむロシア軍の損失、侵攻長期化は得策ではないと判断か…停戦協議にも本腰」(読売新聞)>


【閻魔大王】 2022/03/19 (Sat) 15:35

副題=プーチン氏、トルコ大統領と電話会談 ウクライナとの和平交渉の「具体的要求」伝える(BBC)

停戦交渉はせねばならぬです。

がしかし、法律ねえ。国際法ねえ。
それを、平気で破るの国が、2国間の約束事、守るの怪<?>
それを、守るなら、国際紛争勃発致しませんです。

閻魔大王的、申すは、ロシアのウクライナ侵攻で、見えて来た、事実なるは、恐ろしいの事。
まずは、核保有で、他国は、正面切って、戦いませんです。米国であってもです。

されどの、
さての、戦争するにしろ、他国を脅すにしろ、資金要るです。
資金調達する以前の、債務不履行問題、どするやと。
脅すかと。

いやねえ。
少なくともの、ウクライナ。
再興するにしたって、費用膨大ぞと。一年、二年で、出来るの筈も無く。その間にでも、ロシアが又、イチャモン付けて、攻められたら、どするやと。

閻魔大王的、申すは、プーチン君をば、失脚させ、表舞台から、抹殺させねば、どもならず。

>ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は17日、トルコのレジェプ・タイイップ・エルドアン大統領と電話で協議し、ウクライナとの和平交渉に向けたロシア側の要求の詳細を伝えた。ロシアによるウクライナ侵攻をめぐり、トルコはきわめて慎重に両国の仲介役を担おうとしているが、その効果が現れているとみられる。

>電話会談が終わってから30分もたたないうちに、トルコ大統領府のイブラヒム・カリン報道官は私のインタビューに応じた。カリン氏は電話会談の内容を聞いていた、数少ない関係者の1人だ。


>ロシア側の要求は、大きく2つのカテゴリーに分類される。

>カリン氏によると、最初の4つの要求はウクライナ側にとってそれほど難しい内容ではないという。

>その中でも主要な要求は、ウクライナが中立を保ち、北大西洋条約機構(NATO)への加盟は申請しないことを、ウクライナ側が受け入れるというもの。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はすでに、「NATOに加盟できないとも聞いている」などと話し、譲歩する姿勢を示唆している。

>このカテゴリーにはほかにも、主にロシア側のメンツを保つことが目的と思われる要求が多く並ぶ。

>例えば、ロシアの脅威とならないよう、ウクライナは軍縮プロセスを経る必要があるというものや、ウクライナ国内でのロシア語の保護、そしていわゆる「非ナチス化」と呼ばれる要求などが含まれる。

>自身もユダヤ系で、複数の親族がナチス・ドイツによるユダヤ人などの大虐殺(ホロコースト)で亡くなっているゼレンスキー氏にとって、これは非常に侮辱的な内容だ。しかしトルコ側は、ゼレンスキー氏にとってこうした要求を飲むのはたやすいことのはずだと考えている。ウクライナがあらゆるかたちのネオナチを非難し、その取り締まりを約束すれば、これについては十分かもしれない。


>プーチン氏、「ゼレンスキー氏との対面交渉」も
>交渉が難しそうなのは、もうひとつのカテゴリーだ。プーチン大統領は電話会談で、自分とゼレンスキー氏の対面交渉が必要になるだろうと述べた。ゼレンスキー氏はすでに、プーチン氏と直接会って1対1で交渉する用意があると表明している。

>カリン氏はあまり具体的に語らなかったが、交渉の論点となるのはロシアが後押しする分離派が実効支配するウクライナ東部ドンバス(その一部はすでに自分たちはロシアだと主張している)について、そして2014年にロシアが併合したクリミア半島の地位についてだと述べるにとどまった。

>カリン氏は詳細に触れなかったが、ロシアはウクライナに対し、東部地域を手放すよう求めるだろうと思われている。これは、簡単には収まらない問題だ。

>また、ロシアが2014年に違法に併合したクリミア半島はすでにロシアのものなのだと、これを正式に受け入れるようロシアはウクライナに要求することが想定される。もしそうなれば、ウクライナにとっては苦い譲歩になる。

>ロシアには、クリミアを獲得する法的権限などない。実際ロシアは(ソ連崩壊後だがプーチン政権誕生前に)、クリミアはウクライナの一部だと認める国際条約を結んでいるのだ。それにもかかわらず、ロシアのクリミア支配は既成事実化されている。

>プーチン大統領の要求は、一部の人々が懸念していたほど厳しいものではなく、ロシアがウクライナにもたらした暴力行為や流血の事態、破壊行為に見合うものとは思えない。

>プーチン氏がいかにロシア・メディアを厳しく統制しているかを思えば、考プーチン氏や彼の取り巻きにとっては、この侵攻をロシアの大勝利として喧伝(けんでん)することはさほど難しくないだろう。


>ウクライナ側の不安材料
>一方でウクライナにとっては、深刻な不安材料が残る。

>ロシアとの合意内容について、その細部まで細心の注意を払ってまとめなければ、プーチン氏や彼の後継者はいつでもそれを口実に使い、ウクライナを再び侵攻する可能性がある。

>仮に停戦によって流血の事態が止まったとしても、和平合意をまとめるには長い時間がかかるかもしれない。

>ウクライナはこの数週間、悲惨な被害を受けている。ロシアに破壊された市や町を再建するには、長い年月を費やすことになる。故郷を追われた何百万人もの難民が再び暮らせる環境を整えるのにも、時間がかかるだろう。

>プーチン氏自身についてはどうだろうか。プーチン氏をめぐっては、何か病気を患っているのではない、あるいは精神のバランスを失っているのではないかといった声があがっている。しかし、電話会談でプーチン氏に何か異変はなかったかと尋ねると、カリン氏は全く異変はなかったと答えた。プーチン氏の話す内容はどれも明快かつ簡潔だったと。

>しかし、ウクライナとの合意をネオナチに対する輝かしい勝利のように見せかけたとしても、ロシア国内でのプーチン氏の立場は弱体化するに違いない。

>プーチン氏の今回の行動があまりに度を越していたと、気付く人は今後増えていくだろう。戦死したロシア兵、捕虜になったロシア兵の話はすでに、急速に広まっている。

>(英語記事 Putin lays out his demands in Turkish phone call)

<参考=「プーチン氏、トルコ大統領と電話会談 ウクライナとの和平交渉の「具体的要求」伝える」(BBC)>
(22/03/18)


【閻魔大王】 2022/03/19 (Sat) 16:03

副題=ロシア、地上戦闘部隊の75%投入 余力乏しく対話模索か(日本経済新聞)


<表>
ロシア陸軍は兵員・装備でウクライナを圧倒するが…



>米国防総省高官は16日、ロシアが地上戦闘を担う主力部隊「大隊戦術グループ」の75%をウクライナへ投入したと分析した。17日には英国防省がロシアの侵攻はすべての前線で大きく停滞していると指摘。ロシア軍は余力が乏しいこともあり、停戦に向けた協議も模索し始めている可能性がある。

>国土の広いロシアが大隊戦術グループを一部の地域に集中投入するのは異例だ。バイデン政権は侵攻前にウクライナ周辺に集まったロシア軍の規模は最大19万人と推計していた。

>英シンクタンク国際戦略研究所(IISS)の「ミリタリー・バランス」によれば、ロシア陸軍は28万人の兵員を抱える。

>国防総省高官はロシア軍が兵士増強に向けた検討を始めたとも言及した。英国防省は15日、ロシア軍が同国国内の東部地区や太平洋艦隊に加え、アルメニアから兵士の派遣を始めたと説明した。シリアやイラクから雇い兵を動員し、ベラルーシにも参戦を求めているとみられる。

>ロシア軍はキエフ制圧に向けて兵員が不足しているとの見方が多い。米陸軍士官学校で市街戦研究のトップを務めたジョン・スペンサー氏は市街戦では守り手が優位と指摘。攻め手は守り手の5倍の兵力が必要だと説く。たとえばキエフ防衛を担うウクライナ軍が5万人としても、ロシア軍は25万人が必要になる計算だ。

>キエフ中心部での市街戦は失敗のリスクがあり、ロシア軍はまずキエフを包囲して補給路を断って降伏を迫る構えとみられる。一方で米シンクタンクの戦争研究所は16日のリポートで、ロシアが外国などから兵力を増強しても「短期的にキエフを包囲するために必要な戦闘能力とはならない」と分析した。

>国防総省高官は地上侵攻の停滞を受け、ロシア軍は長距離の砲撃を増やしているとみている。米欧はロシア軍が住宅地や民間インフラにも激しい砲撃をしていると批判する。一般市民も標的にしてウクライナ政府に降伏を促す戦術との見方がある。

>ロシアは停戦協議も模索し始めた。ウクライナのゼレンスキー大統領はロシアとの合意に時間がかかるとしつつも北大西洋条約機構(NATO)加盟は困難との認識も示しており、ロシアの真意を探っているとみられる。

>米欧もロシアの姿勢を見極めようとしている。サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は16日、ロシアのパトルシェフ安全保障会議書記と電話し「ロシアが真剣に外交を考えているならウクライナへの攻撃をやめるべきだ」と伝えた。

>NATOのストルテンベルグ事務総長は同日の記者会見で、ロシアが和平を結ぶ準備ができている「いかなる兆候もみられない」と述べた。

<参考=「ロシア、地上戦闘部隊の75%投入 余力乏しく対話模索か」(日本経済新聞)>


【閻魔大王】 2022/03/19 (Sat) 16:09

<既投稿>

<ロシアvsウクライナの兵力比較>

<参考=「NO.332 <ロシアvsウクライナ>侵攻の影響考。」寄稿閻魔大王 2022/03/01 (Tue) 23:55
<副題=プーチンも、想定外<?>>


【磯津千由紀(寫眞機廢人)@ProOne 600 G1 AiO(Win10Pro64)】 2022/03/21 (Mon) 13:21

副題=マリウポリの攻防続く 21日にも再び停戦交渉、鍵握る六つのテーマ(毎日新聞、3月21日)

 こんにちは。


 ウクライナは、一箇月近く、持ち堪えています。直接的な支援は出来ないけど、頑張って。


> ロシア軍のウクライナ侵攻で、南東部の要衝マリウポリを巡る激しい攻防戦が20日も続いた。同市など露軍に包囲された都市からの民間人の避難は難航している。両国の停戦交渉について仲介役のトルコ政府から前向きな見方も示されたが、双方の隔たりが短期間で解消されるかは不透明だ。政府代表団同士のオンライン協議は21日にも再び開かれるという。

> トルコのチャブシオール外相は20日、停戦交渉を巡って「重要な問題で合意に近づいている」との見方を示した。中東の複数のメディアが伝えた。チャブシオール氏は「戦争が続き、人々が殺害されている中で合意することは簡単ではないが、(合意に向けた)勢いはある」と言及した。

> 中東の衛星放送局アルジャジーラによると、トルコのカルン大統領府報道官は19日、停戦交渉には六つのテーマがあり、このうちウクライナの中立化、非武装化など四つについては双方の歩み寄りが見られると語った。

> ウクライナメディアによると、21日に政府代表団同士のオンライン協議が再び開かれるとみられる。

> こうした中、人口約40万人の港湾工業都市マリウポリでの戦闘は市街地や海上にまで広がっている。ウクライナ側によると、同市は20日、露軍艦船4隻から砲撃を受けた。一方、ロシアが実効支配し、露軍・黒海艦隊基地がある南部クリミア半島の地元当局者は同日、艦隊副司令官がマリウポリを巡る戦闘で死亡したと明かした。ウクライナ側の反撃によるとみられる。

> マリウポリでの民間人の被害が相次いで報じられているのに対し、露国防省・軍の「国家防衛管理センター」のミジンツェフ・センター長は20日、「ウクライナの民族主義者たちのテロ行為によって人道上の惨事が起きた」と強弁し、ウクライナ軍兵士らに投降を呼びかけた。

> ウクライナのベレシチューク副首相によると、激戦地の複数都市から20日に計7295人が4ルートの「人道回廊」を通じて避難した。うちマリウポリからは3985人が逃れた。ウクライナ政府は21日に避難用のバス約50台を同市へ派遣する計画という。

> 国連人権高等弁務官事務所は20日、ウクライナ国内では19日までに少なくとも民間人902人が死亡、1459人が負傷したと発表した。砲撃やミサイル攻撃、空爆によるものが大部分を占めるという。マリウポリなど激戦地での犠牲者数は不明なため、実際には、はるかに多くの被害が出ている模様だ。

> 一方、チェルノブイリ原発では20日、ロシア軍の支配下で原発の管理業務などに当たってきた職員らのうち64人が解放され、自ら志願した交代要員46人が入った。原発の広報部門が発表した。同原発の敷地一帯は露軍が侵攻開始当初の2月24日から占拠している。

> ウクライナ政府側は各国に軍事支援を求めるため、積極的なトップ外交に努めている。

> ゼレンスキー大統領は20日、イスラエル議会でオンライン形式の演説を行った。ロイター通信などが伝えた。イスラエルは親米国だが、ロシアとも緊密な関係を保つ。ゼレンスキー氏は演説で、ウクライナ支援に慎重なイスラエルに、ミサイル防衛システムの提供や対露制裁に乗り出すよう訴えた。

> ロシア、ウクライナにはそれぞれ数十万人のユダヤ系住民がおり、ゼレンスキー氏自身もユダヤ系として知られる。ゼレンスキー氏は議会でロシアによる侵略をナチス・ドイツによるホロコースト(ユダヤ人大虐殺)になぞらえて非難し、「イスラエルのミサイル防衛システムは最高のものだ。それはウクライナのユダヤ人の命を救うことができる」などと呼びかけた。【ブリュッセル岩佐淳士、カイロ真野森作】

<参考=「マリウポリの攻防続く 21日にも再び停戦交渉、鍵握る六つのテーマ」(毎日新聞、3月21日)>


【閻魔大王】 2022/03/22 (Tue) 12:04

副題1=<5回編成>ウクライナ侵攻 背後の情報戦(テレビ朝日NEWS)

副題2=ウクライナ侵攻 背後の情報戦(1) アメリカが見せたインテリジェンスの威力

<写真>
「“王 プーチン”を知らしめる」会議



>「まさか」、「ありえない」。
>世界の虚を衝いたロシアによるウクライナ侵攻。
世界中が見ている中でいともあっさりと一つの主権国家が蹂躙されていく惨劇を見ながら、得体の知れない胸騒ぎと焦燥感のようなものを感じるのは戦いの壮絶さからだけではない。


>明日は我が身だからだ。

>ウクライナ侵攻の裏側で繰り広げられていた情報戦についてシリーズでお伝えする。
>第1回は、侵攻前夜の動きについて詳報する。


>◆「“王 プーチン”を知らしめる」会議 ―歴史的暴挙への連帯責任

>「絶対にNOとは言えない会議」、とでも言えばいいのだろうか。
>2月21日のロシア国家安全保障会議の議題は、ウクライナ東部にあるロシア系武装組>織が支配する地域「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立を承認するかどうか。
世界に向けて配信された会議にはなんとも異様な空気が漂っていた。


>一人、ポツンとテーブルに座るプーチン大統領。
そのほかの出席者たちはというと、20mは離れたところに並べられた椅子に神妙な表情で座ってプーチン氏の独白のような進行を見守っている。

>「わざと側近たちを離れた場所に座らせて自分が王だということを国民に知らしめる設定」(米情報機関幹部)とも、新型コロナを警戒しての設定ともいわれる謎の配置だ。

>プーチン大統領はスピーチが終わると、次々と出席した幹部を指名して、ドネツクとルガンスクの独立を承認すべきかどうか、意見を言わせていく。
答えは承認しかない。忖度するまでもない。ウクライナ侵攻を正当化するために、“独立国となった”ドネツクとルガンスクからの依頼を受けて、ロシア軍は同地域の平和維持に駆けつけて併合する、という見え見えのシナリオが用意されている。独立の承認はそのシナリオの実現に向けて不可欠なセレモニーだ。

>この会議、映像からは出席者たちが極度の緊張感に包まれていることがわかる。それもそのはず、この21世紀の世界においてこれまでに積み上げてきた秩序と規範、ルールを踏みにじるウクライナに対する一方的な侵攻という歴史的暴挙の連帯責任を問うものだからだ。
世界が見ている前で一人一人に独立承認への賛意を宣言させることで、後から「実は私は侵攻に反対だった」などと言わせないことがこのセレモニーの目的だ。
「絶対にNOとは言えない」空気の中でハプニングを起こしたのは、スパイ機関、SVRのトップだった。

>SVRとは泣く子も黙るロシアを代表する対外情報機関で、アメリカや日本を含む世界各国にスパイを送り込んで諜報活動をおこなっている。かつてのKGBの流れを汲む後継組織でもある。そのトップがなんと「独立を支持する」と言うべきところを「併合することを支持する」と口走ってしまったのだ。
よほど緊張していたのであろう、思わず裏で検討している本当のシナリオをカメラの前で口にしてしまったかのような発言に、プーチン氏はいら立ちと侮蔑の表情で「今はそんなことを議論していない」と一喝した。このSVRトップの今後の無事を祈りたくなる会議はウクライナ侵攻の号砲となった。


>◆アメリカのインテリジェンスの威力

>侵攻開始に向けて着々と、ある意味、見え見えとも言える環境整備をロシアが進める一方で侵攻を受ける側の当のウクライナには最後まで「まさか、そんなこと」という空気が残っていた。ロシア軍17万人が目の前の国境沿いに集結しているにもかかわらず、ウクライナは「パニックを起こす情報は我々の助けにならない」(2月12日ゼレンスキー大統領)、「侵攻が迫っている兆候はない」(2月20日レズニコフ国防相)という姿勢を崩していなかった。

>そうした中、ある国だけはロシアの大規模侵攻を正確に、しかも前の年の11月から訴えていた。アメリカだ。

>ここに1枚の図がある。<注=添付されておらず>
>去年12月3日付のワシントン・ポストが報じたアメリカの情報機関作成の文書とされるものだ。ウクライナ国境沿いにロシア軍17万5千人が集結していることを伝えている。
この文書の分析が秀逸なのはロシア軍部隊の規模がほぼ実際の侵攻時の規模と一致しているのみならず、東部ドネツクだけでなく、首都キエフ方面を含むウクライナ北東および南部からの侵攻ルートも正確に指摘していることだ。当時は多くのひとが軍事侵攻を疑っていたし、軍事侵攻の可能性があると言う人も東部ドネツク地方に限定されるとの見方が主流だった。

>衛星画像の画質を落とす「サニタイズ」された公開用の文書になっているものの、2022年早々に軍事侵攻が迫っていることを正確に警告している。軍事侵攻のタイミングについては衛星画像で見える軍の準備状況から逆算したのであろう。当時の大方の予測と真っ向から反しながら、複数の方面からの攻撃を正確に予測できているのは、衛星画像で見える準備状況の分析に加えてロシア軍内の通信を傍受しているからだろう。

>恐るべきはアメリカのインテリジェンスだ。その高い能力を「情報のための情報」に留めず(情報を内部で抱えず)、世論とロシアに対して訴えることで侵攻を抑止することに活用していることは特筆すべきだ。


>◆スパイを失っていたCIA

>その一方でアメリカ政府は11月から、侵攻の4日前の2月20日までは「軍事侵攻の準備は進んでいるが、プーチン大統領はまだ最終決断していないとみられる」という立場で一貫してきた。
これだけの情報が揃っているのになぜか。それはいくら高度なインテリジェンス能力を誇るアメリカの情報機関でも、さすがにプーチン氏の心の中をリアルタイムでうかがい知ることはできないからだ。

>2月15日付のニューヨークタイムズがその背景を説明している。
アメリカ情報機関に強固な取材源を持つことで知られるデビット・サンガー記者らの記事だ。それによるとCIAはプーチン氏の側近の一人を情報源として獲得することに成功し、正確にプーチン氏の政策決定を把握してきたという。しかし、身の危険を感じた、その人物を2017年にロシアから脱出させてからはプーチン氏の日々の動きを正確に知ることはできなくなった。

>ウクライナ侵攻に向けて軍事的準備が進んでいることに危機感をおぼえたアメリカ政府は、11月上旬までにこのインテリジェンスをヨーロッパの主要国とも共有して包囲網を築いたほか、バーンズCIA長官をモスクワに派遣し、アメリカ側の重大な懸念を伝えている。
アメリカはその高度なインテリジェンス能力による成果を最大限に活用、公開しながら、なんとか迫りくるロシアによる侵攻を抑止しようとしたのであった。


>◆“ロシア軍一部撤退” 虚偽情報へのカウンター

>インテリジェンスを通じて何が起きているのか、相手が何を仕掛けようとしているのか、正確な情報をつかめなければ、外交も交渉も軍事攻撃もできない。偽情報でこちらの行動を操ろうとする悪意ある相手に惑わされるだけである。
その典型的ケースが2月15日の「ロシア軍一部撤退か」騒動だ。

>ロシア政府報道官はベラルーシでの演習終了を受けてロシア軍の一部が撤退を開始したと発表した。同時にロシア国防省は「クリミアから引き揚げている」とする戦車の映像を公開した。
緊張がずっと張り詰めた状況が続くと人間は本能的に「そうであって欲しい」という情報を信じたくなるものだ。日本でも「もしや緊張緩和か」と期待感が高まったが、アメリカ政府は即座にロシアの動きは虚偽であり、むしろ数日の間で最大7千人の増派をロシア軍はしていると反論した。

>その後の実際の侵攻をみればロシア軍の発表は明らかな偽情報であり、攻撃に向けて最終準備を悟られないようにするフェイントだ。何も情報がなければ、悪意ある国の情報戦に翻弄され、判断を迷わされることになるといういい例だといえよう。ましてや、インテリジェンスもなく国家として「のるか反るか」の重大決断をするとなれば、ただのギャンブルとしかいいようがない。アメリカは正確にロシア軍の動きを把握できていたからこそ、ロシアによる情報戦にカウンターを打つことができたのだ。


>◆インテリジェンスというパワー 流出したロシア軍の文書

>もう一ついい例がある。ロシアとウクライナによる停戦交渉が開始された時も日本の一部では期待感が高まったが、ワシントンでは誰も停戦交渉が成立するとは思っておらず筆者は日本との大きな温度差を感じた。その理由はロシア軍の現地での動きを見ていれば、当面ロシアが停戦を考えていないことは明らかであり、インテリジェンスを通じてそれを認識しているアメリカ政府からも停戦に関する期待感が伝わってくることもなく、アメリカメディアも専門家も停戦交渉には冷淡であったからだ。
インテリジェンスとはパワーだ。それがあれば有利に事を進められ、それがなければ、とんでもない悲劇に自らを突入させることになりかねない。

>アメリカのインテリジェンス能力の威力をうかがわせる動きはほかにもある。
3月2日にSNS上に出回ったロシア軍の作戦計画書の一部とみられる文書。ウクライナ軍が入手したとされる文書でウクライナ国防省も公式フェイスブックでアップしている。
そこにはウクライナ侵攻作戦がロシア軍部によって2月18日に承認されたと考えられる押印がある。

>また、部隊が使う暗号表とされる文書は、ウクライナ侵攻作戦の期間が2月20日から3月6日と想定されていたことを示すものとなっている。この文書が真正であればロシア軍は2月18日時点で20日から侵攻を開始し、15日間でウクライナ侵攻を完了させる計画だったことになる(真贋の検証は難しいが、ここではこの文書が真正であるという前提で話を進める)。
何らかの事情で遅れたのか、結果として侵攻のXデーは20日ではなく24日となった。

>ここで注目したいのはロシア軍部が侵攻を承認したとされるのが2月18日という点だ。ワシントン時間2月18日の午後5時にバイデン大統領は会見をホワイトハウスで開いている。そこで突然、「我々にはロシアが首都キエフを含む全土に対して攻撃を開始すると信じるに足るものを持っている」と警告した。
「軍事態勢としてはいつでも侵攻があってもおかしくない状況だが、プーチン大統領はまだ最終決断していない」というのが、それまでのアメリカ政府の公式見解だったが、そこから明らかに踏み込んだ表現だったので筆者も驚いたのをおぼえている。

>これは何らかの方法でロシア政権内の意思決定をリアルタイムに近い形で把握していることを伺わせる発言だといえる。2月20日付のニューヨークタイムズ電子版は「バイデン大統領の踏み込んだ警告の背景にはインテリジェンス」と報じ、ロシア軍の動きに関するインテリジェンスに基づくもので「高い確信」を持っている、とする米政府高官の言葉を伝えている。
正確なインテリジェンスがあれば、最も適切なタイミングで的確なメッセージを打ち出せる、というインテリジェンスの効用を示している。逆に何も情報がなければ、ロシア側の偽情報やフェイントに惑わされながら、ひたすら平和を祈るだけだったかもしれない。


>◆覆ったバイデンの融和路線

>他方でインテリジェンスが戦争の到来を告げていたとしても、政治指導者はその表現にあえて「のりしろ」をつけるという政治判断もあり得る。知っていることをそのまま言わず、交渉の余地を残すというやり方だ。

>2月20日、プーチン大統領がウクライナ東部のロシア人支配地域の独立を承認しようとする動きを見せていたが、バイデン政権は批判をヒートアップさせることはなかった。前述の通りバイデン大統領は20日の演説で「大規模攻撃に出ると信じるに足るものを持っている」とまで踏み込んだものの、「侵攻が始まろうとしている」と断定しようとはしなかった。逆に侵攻がなければプーチン大統領と首脳会談をおこなう用意があると明らかにする柔軟姿勢をみせていた。

>翌21日、ロシアが独立を承認したドネツクとルガンスクに対する制裁が発表されたが、かねてよりいわれていた「強力な制裁」ではなく、ドネツク地域だけに限られた制裁であった。ロシア全体に影響が出るような制裁を明らかに避けた、小出し戦術であった。
その日の夕方におこなわれた記者ブリーフィング。その場でNSC(国家安全保障会議)高官も「同地域には2014年からロシア軍が駐留しており、今回、追加派遣があったとしても侵略とは断定しがたい」と、ドネツク進駐は侵攻だとみなさないことを示唆するかのような柔軟発言をし、「融和モード」をさらに演出した。

>20日から21日までは明らかにバイデン政権なりのギリギリいっぱいの「融和のバーゲンセール」の期間だといえた。ロシア軍の戦争準備が着々と進み、アメリカ政府もその動きを正確に把握しながらも、バイデン政権は「戦車がその姿を現す最後の瞬間まで外交努力を続ける」(ブリンケン国務長官)と決め、最後の瞬間にプーチン大統領が心変わりして緊張緩和への向かうことに一縷の望みをかけたのであった。緊張緩和のわずかな可能性に賭けて、あえて事態の切迫を伝えるインテリジェンスとはそぐわない融和的な政治ポジションをとったのである。

>だが、それは翌22日の朝に一変した。CNNでの生出演で国家安全保障担当次席補佐官が「侵攻がおこなわれつつある」と、対決モードに舵を切ったのであった。午後にはバイデン大統領自身が演説をおこない、「侵攻の始まり」だと一気にトーンを上げた。この時点で24日に予定されていたロシアとの外相会談もキャンセルとなり、ワシントンの空気は一気に開戦モードになっていった。この180°転換ともいえる動きの背景に一体何があったのか。

>次回 
「ウクライナ侵攻 背後の情報戦(2)
特殊作戦関係者が解剖する軍事インテリジェンス」に続く

<参考=「ウクライナ侵攻 背後の情報戦(1) アメリカが見せたインテリジェンスの威力」(テレビ朝日NEWS)>
(22/03/05)


【閻魔大王】 2022/03/22 (Tue) 13:04

副題=ウクライナ侵攻 背後の情報戦(2) 特殊作戦関係者が解剖する軍事インテリジェンス」(テレビ朝日NEWS)


<写真>
米国(バイデン)



>ウクライナ侵攻の裏側で繰り広げられていた情報戦について、シリーズの第2回は、アメリカがいかにして正確に侵攻開始の時期を察知したか詳報する。

>2月21日までは、ロシア・プーチン大統領の翻意に期待し、外交路線を模索していたアメリカのバイデン政権が、22日朝「侵攻の始まりだ」と一気にトーンを切り替えた。
この背景に何があったのか。
一夜にして変わったバイデン政権の劇的な転換を説明するヒントはプーチン氏の「開戦演説」にあると筆者は見る。
2月24日朝(モスクワ時間)にテレビ放送され、ロシア軍の侵攻の号砲となった「ロシアはウクライナの脅威を容認できない」「ウクライナの非軍事化、武装解除を目指す」とした演説だ。


>◆プーチン演説は3日前に収録されていた?

>配信された映像のメタデータを見ると実は、演説はモスクワ時間の21日夜(ワシントンの21日正午)までに収録されていた可能性が高いことを各メディアやSNSが指摘している。メタデータとはデータのデータとも言えるもので、文書ファイルや音声ファイルの作成日やファイルのサイズ、使用された規格、作成者などが記録されている属性情報を指す。

>ここで時計の針を21日夜(ワシントン時間)に戻そう。
ワシントン時間の21日正午までに収録されていたかもしれない「開戦演説」。仮にそれが事実であれば、すでにその時点でプーチン大統領は武力行使を決断していたことになるが、一方のバイデン大統領は21日の時点で「侵攻」という言葉を使うことを避け、非戦の余地を残す配慮を見せていた。その日の夕方に行われたウクライナ情勢についてのブリーフィングでのNSC(アメリカ国家安全保障会議)高官の融和的な発言も同様である。

>この時点まではプーチン氏の決断を把握していなかったバイデン政権だったが、21日正午前後にプーチン氏が開戦演説の収録を終えると、ワシントン時間21日の夜半にかけて何らかの方法によりこれを把握し、そのインテリジェンスに基づいて夜が明けるまでに融和モードの放棄を決定し、22日朝から「侵攻」批判に転じた、と筆者は見ている。


>◆収録から12時間以内にプーチン演説の内容を把握か

>筆者の見立てが正しければ、アメリカは21日正午とされる演説収録から12時間で何らかの方法で演説の中身を察知したことになる。ワシントン時間で22日午前0時には把握し、迅速に情報機関内の分析評価を経て、ホワイトハウスに報告がされ、22日朝7時のCNN生出演までに「侵攻」批判の論点を固めたという計算だ。

>その後、プーチン大統領が侵攻を決断したことによって、アメリカのインテリジェンスの活用はそれまでの侵攻を抑止するための活用から、侵攻を予告しウクライナのダメージを最小限に抑えるための活用へと変わっていった。
2月23日付のニューズウィーク電子版は「アメリカ政府がウクライナ政府に48時間以内に大規模侵攻が始まると警告」と報じている。この記事はアメリカ軍がロシア軍の偵察機がウクライナ領空を侵犯したことを把握していることや、軍事作戦の特性を総合的に評価判断したものだと伝えている。
いつから48時間なのか、その起算日は不明ではあるものの、アメリカ政府はロシア軍の動きを外から分析して、その準備状況から48時間以内という計算を導き出している。


>◆不可解なウクライナの態度

>一方、当事者であるウクライナの危機感の薄く、2月20日の時点にいたっても甘い情勢認識を崩していなかった。ウクライナのレズニコフ国防相は「今日の段階では国境地帯にロシア軍の攻撃部隊がいる兆候はどこにもない。明日、明後日に侵攻があるというのは適切ではない」と、今から見ればトンチンカンなことを地元テレビで述べている。

>集結するロシア軍を目の前で見てきたはずのウクライナの国防の責任者すら、侵攻の4日前になっても甘い情勢認識を崩さなかったことは理解に苦しむものがある。それまでアメリカから再三、インテリジェンスで警告されていたにもかかわらずだ。ウクライナとしては自分の情報収集で同じ情報が引っ掛からなければ、アメリカの評価を信じることができなかったのかもしれない。


>◆ロシア軍を制約する「バッテリー」

>ではアメリカのインテリジェンスは具体的にロシア軍のどのような準備状況に着目して判断したのだろうか。ロシア軍のどこを見れば、そのような評価を導き出せるのだろうか。

>そうした疑問を現役の軍関係者にぶつけてみた。特殊作戦コミュニティに属する、この関係者から返ってきた答えは意外にも「バッテリー」というものだった。
つまりこういうことだ。現代の軍隊はハイテク化が進んでいて、通信機、情報端末、火砲の電子照準器、火器管制装置、夜間暗視装置、サーマルセンサーなど電気で稼働する装置の塊なのだという。
当然、私たちが使っている民生品と同様、バッテリーの充電がなくなれば稼働しなくなってしまう。もちろんそれらの装置が使えなくても限定的な戦闘行動はとれるものの、大幅に戦闘能力は低下することは避けられない。
フル充電を済ませ戦闘準備態勢に一度、部隊が就くと、バッテリーが持続する長さ、兵士が緊張状態を維持できる長さは「せいぜい2日間が限度だろう」とこの関係者は言う。
指揮官はその2日の間に戦闘を開始するか、戦闘態勢を解除して一度、撤退するかのどちらかの決断を迫られることになる。まさに「48時間」という数字を導き出したアメリカのインテリジェンスとも符合する。

>興味深いのはバッテリーの充電がいかに部隊の行動可能な日数を制約しているかだ。電池が消耗しても展開先の現場で充電できる装置もあれば、特殊な充電装置が必要なため、一度、基地や拠点に戻らないと充電できない装置もあるのだという。
そのため出先で完全な戦闘態勢に入ったら2日以内に戦闘開始をする必要があり、戦闘開始後も補給を受けずに独立的に動ける日数はせいぜい5日間程度だという。


>◆停滞のロシア軍「主力を温存」

>侵攻開始後4日あたりから散見されるロシア軍の停滞はまさにこの視点から見ると腑に落ちるものがある。国防総省はこうした停滞でロシア軍がいら立ちを深めていると見ている。SNSではロシア軍兵士たちが食料を現地で略奪している映像が伝えられている。
ただ、その一方でロシア軍はこれまでにまだ主力部隊を投入しておらず、「温存された戦力で次の動きを仕掛ける余力を残している」(国防総省カービー報道官)という。

>ロシア軍に詳しい現役の軍事関係者も同じ見方を筆者に披露してくれた。この関係者によれば、SNSで公開されているロシア軍の損害を見ると、小規模の部隊を逐次投入するような戦い方をしていて、攻撃力も防御力も高くない小部隊がウクライナ軍の待ち伏せ攻撃に遭っていると指摘する。

>そのうえで「なぜかロシア軍はBTG(大隊戦術グループ)としての機能を最大限活用する組織戦を展開せず、小部隊で散発的な戦闘をしているように見える」と訝る。

>BTGとはロシア軍の戦闘単位で、偵察、戦車、歩兵、防空、施設、通信、補給などの複数の機能を併せ持つ諸兵科連合の大隊で、ある程度遠隔地でも自己完結的に作戦を遂行できることがコンセプトだとされる。
>つまり、中規模くらいの単位で遠隔地にもすぐに派遣できる機動力を持ちながら、ある程度、オールランドに戦うこともできるというものだが、その機能を最大限発揮させるような運用をせず、ウクライナ軍の攻撃の前に犠牲を積み上げている、というのだ。

なぜロシア軍は最初から一気呵成に大規模な組織戦で決着をつけようとしなかったのだろうか。
その理由について米CNA海軍研究センターのマイケル・コフマン研究員は、まずウクライナ軍の抵抗は強くないだろうと過小評価していたこと、ウクライナ制圧後の統治を考慮してできるだけウクライナ国民の反感をかわないよう破壊を伴わない方法で決着をつけようとしたのだと指摘している。

>また、ロシア軍の上層部はウクライナ侵攻に消極的で、下級兵士たちには任務がしっかりと説明されていなかった可能性もあげている。確かにSNS上では最後までウクライナに侵攻するとは知らされていなかったと話すロシア軍兵士や訓練だと思っていたという捕虜とみられる動画がある。


>その一方で一つの疑問が浮かぶ。
>なぜウクライナ軍はロシア軍を待ち伏せ攻撃ができていたのか、だ。
来週末配信予定、「ウクライナ侵攻 背後の情報戦(3)」では、その謎に迫る。
ANN ワシントン支局長 布施哲(テレビ朝日)
▶ウクライナ侵攻 背後の情報戦(3) ロシア軍の停滞のワケを読み解く

<参考=「ウクライナ侵攻 背後の情報戦(2) 特殊作戦関係者が解剖する軍事インテリジェンス」(テレビ朝日NEWS)>
(22/03/06)


【閻魔大王】 2022/03/22 (Tue) 13:49

副題=ウクライナ侵攻 背後の情報戦(3) ロシア軍 思わぬ”停滞”の理由 なぜウクライナ軍は待ち伏せ攻撃できたのか(テレビ朝日NEWS)>


<写真>
ウクライナで、壊れたロシアの戦車



>なぜか小規模の部隊で動き、ウクライナ軍の待ち伏せで犠牲を重ねたロシア軍。
一方、なぜウクライナ軍はロシア軍を待ち伏せ攻撃できているのか。
ウクライナ侵攻の裏側で繰り広げられていた情報戦について、シリーズの第3回は、圧倒的な戦力を誇るはずのロシア軍が停滞を余儀なくされている謎に迫る。


>■ アメリカによるインテリジェンス支援の実態

>前回、記したように、いくら作戦の初期段階において地上部隊を大規模に投入しない「手加減」をしていたとしても、ロシア軍は巡航ミサイルや弾道ミサイルをウクライナ軍の防空施設や指揮所に撃ち込んでいる。ロシア軍が発射したミサイルは700発以上にのぼる。
ロシア軍に詳しい現役の軍関係者は「全体像はわからないが、初期のミサイル攻撃、航空攻撃によってウクライナ軍のC4I(指揮・通信・統制・コンピューター、情報)システム、防空システム、司令部機能の多くは破壊されたと見るべき」だと指摘する。そのうえで「ウクライナ軍の神経機能と眼と耳の多くは失われ、ウクライナ軍は組織的な戦闘というよりも、生き残った部隊ごとに独立的に戦闘をおこなっていると見るべき」だという。
それにもかかわらず、ウクライナ軍はロシア軍の車列を対戦車ミサイルやドローンで待ち伏せ攻撃をしている。動画で明らかになっている範囲でいえば、ウクライナ軍の戦い方は進撃しつつロシア軍の陣地や拠点を正面から叩くという積極攻勢ではなく、あくまで道路上を進んでくるロシアの小規模の車列を後方に回り込んで待ち伏せて叩く、という守勢的な作戦だ。

>待ち伏せには敵がやってくる位置とタイミングを正確に把握することが必須なのは言うまでもない。前述の軍関係者はアメリカのインテリジェンス支援があるのではないか、と疑う。
「たとえば市街地で待ち伏せをするにしても、ロシア軍の経路、車列の規模、先端の位置などがわかっていなければ準備のしようもないはず」と前述の軍事専門家は言う。「『マルチドメイン作戦』(陸海空、宇宙、サイバー空間を含む多角的で高度な作戦 )の支援が、間接的に行われているとしか思えない。今、それができる能力を持つのはアメリカだけ」だという。

>この疑問は3月2日のホワイトハウスのサキ報道官の会見で氷解した。記者に問われるとサキ報道官はあっさりウクライナ側に「リアルタイムで」インテリジェンスの提供をしていることを明らかにしている。
CNNによれば、アメリカ軍はロシア軍の動きや位置に関する情報を入手して30分から1時間以内にウクライナ側に伝達しているという。おそらくこれは大まかな動き、たとえばロシア軍の輸送トラックの車列がどの道をどの方角に向かいつつある、という情報なのだろう。特定の戦車をミサイルで照準して撃破するのに使えるような、より精度の高い個別の目標に関するターゲティング情報まで提供しているかどうかはアメリカ政府はコメントを避けている。
アメリカ軍はさらに開戦前まで首都キエフ西方でウクライナ軍に訓練を施してきた。米陸軍特殊部隊グリーンベレーとフロリダ州軍の兵士が教官として教育した数は延べ2万7千人にのぼるという。
「ロシア軍と事を構える気はない」として地上部隊のウクライナ派遣など直接介入を早々に否定しているバイデン政権だが、武器の提供、訓練の提供、そしてインテリジェンスの提供など間接介入の範囲で最大限できる支援をしている。


>■ 軍事大国アメリカの「冷静と情熱」

>どんなに美しい外交的レトリックで飾ったとしてもアメリカがウクライナの直接支援のために軍を派遣しないのは、そこに戦略的利益がないからである。
戦略的利益があると判断すればアメリカはもっとリスクをとって軍事的対抗策を打ち出すこともあったかもしれないが、今のところ変化の兆しは見られない。ヨーロッパに派遣している軍の増強もバルト3国やポーランド、ルーマニアといった東欧のNATO加盟国に対する安心供与のためであり、ウクライナ防衛のためではない。

>ロシア軍の爆撃やミサイル攻撃に苦しむウクライナ政府が再三、求めているウクライナ上空の飛行禁止空域の設定でもアメリカ政府は拒否の姿勢を崩さない。そんなことをすれば「NATO軍機がロシア軍を撃墜する展開となり、第三次世界大戦に発展してしまう」からだ。ロシアと事を構えることになるようなリスクは一切とらない、それがアメリカ政府の戦略的目標だ。
どんなに非人道的な破壊行為がおこなわれていて、心を痛める光景があろうとも、できないことはできないし、しないことはしない。国際政治が冷徹な国益の計算に基づいていることに気づかされる。

>だが、そのアメリカも冷徹な国益計算だけ、というわけではない。利益だけではない、情熱(感情)で動いている側面ももちろんある。
武器の提供がいい例だ。ウクライナへの武器の輸送は主にポーランド、ルーマニアから陸路でおこなわれているが、ロシア軍からの攻撃を受けるリスクと隣り合わせだ。
流れはこうだ。アメリカをはじめ各国が提供する武器は一度、ウクライナと隣接するポーランドとルーマニアにある非公表の飛行場に空輸されたのちに陸路でウクライナに搬入される。基地をホストしているポーランドが果たしている役割はロシア軍から見れば敵対行為であり、場合によっては当該飛行場に攻撃が加えられることもあり得る。
実際、ロシア軍の作戦はポーランドとの国境に近いところにも及んでいて国防総省が強い懸念を示している。またポーランドとウクライナが接している国境付近の空域はベラルーシに配備されたS-300地対空ミサイルの射程に収まっており、ロシアがその気になれば空輸に対して妨害や攻撃を加えることもできる。


>■ なぜ小国・中立国までがリスクを冒すのか

>武器の提供と一言でいっても、やっている側も相当のリスクをとってやっていることなのである。実際、NATO各国は大国から小国までリスクをとってウクライナ支援に動いている。ロシア侵攻があった翌日には早速、アメリカ、カナダ、スロバキア、リトアニア、ラトビア、エストニアなどの各国が共同で武器弾薬をポーランド経由で送っている。

>GDPや国防予算が日本よりも圧倒的に小さいような国々もリスクをとって責任と役割を果たしている姿からは冷徹な国益計算とともに、何か心意気のようなものさえ感じさせる。オランダは数少ない輸送機を使って、対戦車ミサイル400発、スティンガー携帯型対空ミサイル200発を輸送しているし、デンマークも自ら輸送機を飛ばして対戦車ミサイルを空輸している。最終便がデンマーク本国に帰還したのはロシア軍による攻撃が本格化している3月1日のことだった。持っている輸送機の数も稼働数も少ない、これらの国にとっては決して楽なオペレーションではなかったはずだ。

>小国といえばバルト3国の本気度はさらに高い。リトアニアはロシアによる侵攻がはじまった2日後の2月26日、早速、陸路でウクライナに武器を届けている。忘れてはいけないのはフィンランドやスウェーデンといったNATOに加盟しない、歴史的に中立的立場をとってきた国々もウクライナ支援の列に加わったことだ。フィンランドは1500のロケットランチャー、2500丁のライフル、15万発の弾を提供したほか、スウェーデンも7700発の対戦車ミサイルを送っている。
なぜ、ヨーロッパの小国や中立国がこれほどの支援をするのだろうかー。

>それはロシアに近い位置にある国々にとってウクライナ侵攻は「明日は我が身」だからだ。
まずは自分達に累が及ぶ前にウクライナで食い止めてもらいたい。それが偽りのない本音だろう。そこには当然、小国なりの冷静な国益計算と自己防衛本能がある。
だが、彼らを動かしているのはそれだけではない。それはウクライナが本気と勇気を世界に示しているからだ。


>■ ウクライナの「クリエイティブな戦い」

>「ウクライナ軍、そして人々は勇敢に、そしてクリエイティブに戦っている」(アメリカ国防総省)。まさにウクライナが見せている抵抗は勇気にあふれ、創造的な戦法がとられている。
アメリカの情報機関はロシア軍が数日で首都キエフを陥落させられると考えていたと分析している。その電撃的短期決戦の先兵として首都キエフに投入されていたのが、ゼレンスキー大統領の暗殺を狙った工作員だ。
ウクライナ兵に身分偽装した工作員の数は100人とも200人とも言われ、開戦6日前の2月18日からキエフ市内で活動をしていたという未確認情報もある。
SNS上にはウクライナ軍に身分を見破られて捕らえられた工作員たちとされる写真が出回っている。ウクライナ側はロシア人には発音しにくいウクライナの方言を合言葉にして、それを言えなかった工作員たちを次々に見破っていったとも言われている。

>ウクライナ軍はロシア軍の進軍を少しでも遅らせるために道路標識を書き換えたり、非武装の一般市民がグループで道をふさぐ形でロシア軍の進軍の前に立ちはだかったりしている。18歳から60歳の男性の出国を禁じているウクライナ政府だが「前線で罪を償える」(ゼレンスキー大統領)として軍務経験のある受刑者を急遽、釈放して戦力にしている。

>クリエイティブな戦い方といえば、極めつけはウクライナ軍がロシア軍パイロットに呼び掛けている懸賞金だ。航空機であれば100万ドル、ヘリコプターであれば50万ドルの懸賞金を渡すので投降を呼びかけているのだ。懸賞金目当てで機体ごとパイロットが投稿すれば、ロシア軍にこちらの犠牲なしで実質的なダメージを与えられるという、合理的でユニークな発想だ。ウクライナ国防省が作った動画には連絡先の電話番号もある。さて、ホットラインが鳴ることはあるだろうか。


>■ 立ち上がった「普通の人々」

>SNSや報道ではウクライナのごく普通の人たちが戦いに加わっていることが伝えられている。
「自分の孫のために戦う」と入隊を希望しに来た80歳のおじいさん、火炎瓶作りに精を出す車椅子の人たち、銃を手に取ったバレリーナ、戦うため子供に別れを告げる夫婦。侵攻後の混乱の中で出会い結婚したカップル、立ち上がる女性たち。
写真に映る彼ら、彼女らからは強さと弱さがない混ぜになったようなものがにじみ出る。勇気、覚悟、忍耐と同時にどこか、ごく普通の人たちが持つ柔らかい気持ち、いたわりや優しさのようなものを隠しきれていないところに、この戦いの不条理と非情さがある。

>軍人だけではなく、ごく普通の一般市民たちが銃を取り、火炎瓶を作り、自分がやれることをやり抵抗しようとしているウクライナ。そのウクライナは一時期、アジアの大国に停戦の仲介を期待したことがあった。
中国だ。しかし、その期待は最初から裏切られていたのであった。

>「ウクライナ侵攻 背後の情報戦(4)」では、「中国はどう動いたのか」検証する。

>ANN ワシントン支局長 布施哲(テレビ朝日)

<参考=「ウクライナ侵攻 背後の情報戦(3) ロシア軍 思わぬ”停滞”の理由 なぜウクライナ軍は待ち伏せ攻撃できたのか」(テレビ朝日NEWS)>
(22/03/11)


【閻魔大王】 2022/03/22 (Tue) 15:19

副題=ウクライナ侵攻 背後の情報戦(4) 中国の“裏切り”とアメリカの怒り、そして「台湾有事」(テレビ朝日NEWS)


<写真>
「飛沫も共有?」プーチン氏と習近平氏の親密



>ロシア軍に徹底抗戦するウクライナ。
実はウクライナはロシアによる侵攻後、中国に停戦の仲介を期待したことがあった。
3月3日、ウクライナのクレバ外相が中国の王毅外相に停戦交渉の仲介役を期待する発言をしたのだ。
ウクライナ侵攻の裏側で繰り広げられていた情報戦、シリーズの第4回は、中国はどう動いたのか、どう動くのか、検証する。


>■ 「飛沫も共有?」プーチン氏と習近平氏の親密

>ウクライナが中国に期待する理由はそれなりにある。軍事的台頭著しい中国だが、初期の軍事技術を支えたのは実はウクライナだったからだ。航空機エンジン、艦艇用エンジン、空対空ミサイルのほか、中国最初の空母となる「遼寧」の土台となる船体を提供したのもウクライナだ。ドイツのキール大学アジア太平洋戦略安保センターのサラ・カーチバーガー氏はニューヨークタイムズの取材に対し「ウクライナが退役空母をあの時提供していなかったら、今日、中国は空母を運用できていなかっただろう」と指摘する。2008年の北京五輪の際は北京の防空をウクライナ製の地対空ミサイルが担ったとも伝えられている。
しかしウクライナの淡い期待とは裏腹に中国の態度は初めから明らかだった。

>ウクライナ侵攻の20日前となる2月4日、北京を訪れたプーチン大統領は習近平国家主席と会談して蜜月ぶりをアピールした。共同声明では米欧などの民主主義勢力との対決姿勢を打ち出し、核心的利益、国家主権、領土に関わる問題で中ロがお互いに支持し合うことも確認している。

>要はアメリカなどの介入が予想される問題で、ロシアはウクライナ問題、中国は台湾問題で専制主義国家同士で孤立しないよう、協力し合いましょう、という約束だ。
注目すべきことに2時間半続いた会談では両首脳ともマスクなし。PCR検査結果のロシア側への提出を拒否したフランスのマクロン大統領を長大なテーブルの端に座らせたのとは打って変わって、プーチン大統領は習近平国家主席とはマスクなしの近距離で文字通り、飛沫も共有しながらの親密ぶりをアピールした。
「一番困ったときに誰が本当の友人なのか。中国は敵ではないが友人でもないことがわかった。敵と友人の間のどこかだ」(キエフにある陸軍軍縮センターのユーリ・ポイタ氏、3月10日ニューヨークタイムズ)というウクライナ。
もとより中国に淡い期待を寄せることが間違いだったのかもしれない。やっぱりと言うべきか、中国は「力の論理」でロシアとの連携を選んだのかもしれない。


>■ ある中国外交官のつぶやき

>その答えをはからずも当の中国の外交官が教えてくれていた。
「ウクライナ問題から銘記すべき一大教訓:弱い人は絶対に強い人に喧嘩を売る様な愚かをしては行けないこと!仮に何処かほかの強い人が後ろに立って応援すると約束してくれてもだ」(原文ママ)。
ウクライナ侵攻があった2月24日。在大阪の中国総領事が自身のツィッターに書き込んだ内容だ。

>中国ウォッチャーの、ある国の外交官はこの総領事が「勇ましい発言をする『戦狼」外交官で有名な人」だと教えてくれた。「本来、外交官というのは任地の国との関係発展に力を尽くすものだが、この外交官は任地の日本のことなんかよりも、北京にアピールすることに余念がないのだろう」と解説する。
ちなみにウクライナ侵攻は「弱い人が強い人に喧嘩を売った」のではなく、強い人が弱い人に一方的に喧嘩を売ったものだが、中国は開戦前から「強い人」につくことを決めていたのかもしれない。


>■ 中国の“裏切り”とアメリカの怒り

>2月25日付のニューヨーク・タイムズはバイデン政権がウクライナを侵攻しないようロシアを説得することを中国に頼んでいたと報じている。この報道によれば、アメリカ側はロシア軍が集結していることを示す機密情報まで中国側に開示して複数回にわたって説得を依頼したが、ことごとく中国側はこれに懐疑的な姿勢を見せて拒否。この記事に出てくる米政府当局者の言葉を借りれば、中国はアメリカが提供した機密情報をロシア側に流すことすらしていたという。

>ウクライナが大国ロシアに蹂躙されることがないよう、潜在的敵国である(刺激的な言い回しだが、実態を見ればそうだろう)中国に機密情報を開示してまで頭を下げる、という低姿勢はアメリカらしからぬ動きだ。それだけアメリカも必死だったのだろう。
中国はそうしたアメリカの、なりふり構わぬ必死の説得を袖にしただけでなく、受け取った機密情報を裏でロシアに流していたことになる。

>中国による「裏切り」ともいえる態度がよほど腹に据えかねたのだろう。
アメリカの情報機関からのリークによる報道は続いた。今度は中国が「北京冬季五輪の開会前にウクライナ侵攻をするのはしないでくれ」とロシア側に求めていたというもので、またもやニューヨークタイムズが米欧の情報機関の報告書にある記載として報じた。当然これはアメリカ情報機関によるリークであろうし、軍事侵攻の食い止めよりも、大過ない五輪の開催という自己都合を優先させた中国に対するアメリカの怒りだと解釈していいだろう。

>一方、中国側は「完全な偽情報」(中国外務省・汪報道官)だと、この報道を全面否定している。全面否定という中国リアクションのいつものパターンだ。インテリジェンス関係者と話をしていると「これは決してうまいやり方ではない」といつも話題にのぼる。
実際、日常生活においても全面否定はかえって嘘臭く聞こえることが多い。事実関係を認めるところは認めつつ、核心的な部分(譲れない部分)はエビデンスやディテールを添えて否定するのが説得力のある反論というものだ。ここは確かにこういうやり取りはあったが、こういう話をしていたもので、ご指摘の点などは話題にのぼっていない、といった具合だ。
「憶測だ、偽情報だ」、場合によっては「欧米の陰謀だ」といつもの通りに全面的に否定する強い防御反応はむしろ、一点の真実を含んでいるから激しく反応しているのでは、という疑問を呼ぶ。かえって間接的に報道内容を認めているようなものかもしれない、という議論は中国政府内でないのだろうか。いつも素朴な疑問をおぼえるのである。


>■ ウクライナ侵攻で浮かび上がる「台湾有事」

>専制主義国家同士、世界からどう見られようとも連携を深める。ウクライナ侵攻が浮き彫りにした、もう一つの薄暗い現実だ。

>「中国政府高官たちがこの陰謀論を振りまいていることをアメリカ政府はわかっている。」
3月9日、ホワイトハウスのサキ報道官はツィッターで公然と中国を批判した。「アメリカとウクライナが共同で化学、生物兵器をウクライナ国内で開発している」というロシアの駐英大使館によるツィッター投稿に対する反論だ。
CNNは中国の国営テレビCCTVもこのロシアの投稿を報じていることを伝え、中国の国営メディアはウクライナがアメリカの傀儡で、ロシアではなくむしろウクライナの方が脅威を与えているという印象を広めようとしていると指摘した。さらには中国メディアがウクライナ攻撃に参加しているロシア軍に同行取材していることも報じている。
これまではニューヨークタイムズなど大手メディアにリークすることでアメリカ政府の主張を非公式に発信する穏当なやり方をとってきたが、3月9日を境にアメリカ政府が公然と中国のロシアとの連携を批判し始め、主要メディアもこの流れに加わった形だ。

>ウクライナ侵攻でも存在感を示す中国。そして警戒を強めるアメリカ。
潮目の変化はこれだけではない。
アメリカの安全保障アリーナでは将来の台湾有事に備えて、ウクライナ侵攻からどんな教訓を学ぶべきか、という議論がすでに始まっている。

>「ウクライナ侵攻 背後の情報戦(5)」では、日本は何をすべきなのか、考える。

>ANN ワシントン支局長 布施哲(テレビ朝日)

<参考=「ウクライナ侵攻 背後の情報戦(4) 中国の“裏切り”とアメリカの怒り、そして「台湾有事」」(テレビ朝日NEWS)>
(22/03/13)


【閻魔大王】 2022/03/22 (Tue) 20:04

副題=ウクライナ侵攻 背後の情報戦(5) 「日本に核攻撃」のリアル(テレビ朝日NEWS)

<写真>
14日 攻撃されたキエフの住宅からの救助活動(ウクライナ非常事態省のツイッターから)
攻撃された、ウクライナの住宅。



>ウクライナ侵攻でも存在感を示す中国。
>アメリカでは既に、この事態から将来の「台湾有事」への教訓を見出そうという動きが出ている。
ウクライナ侵攻の裏側で繰り広げられていた情報戦、シリーズ第5回は、「日本は今、何をなすべきか」、考える。


>■ それでも「最大の脅威は中国」だ

>3月9日、アメリカ下院軍事委員会の公聴会。
民主党のスミス委員長は開会のあいさつで「中国の極めて危険な好戦的姿勢を見ていれば、ロシアによるウクライナ侵攻と中国による台湾侵攻は重ね合わせて見ざるを得ない」と口火を切った。
米インド太平洋軍司令部のアキリーノ司令官は、議員からウクライナ侵攻で中国が学んだ教訓は何だと思うかと問い質されると遠回しな表現を使いながら、侵攻に伴うロシア軍の犠牲者数の多さ、国際社会の一致結束した抵抗と反対、国民にかかる経済的負担の3つを挙げた。この3つが台湾侵攻を検討する際の中国の戦略計算に影響を与える変数になり得ると、間接的に指摘した形だ。
加えて中国による台湾侵攻を抑止するには強力なアメリカ軍部隊を前方展開させることが重要だとも述べている。

>ウクライナ侵攻が起きてもなお、アメリカの脅威認識は変わらない、ということなのだろう。
最大の脅威はロシアではなく中国である、と。


>■ 7年以内に「米中の対決」という想定

>この点、アメリカ海軍は特に明快だ。アメリカ海軍副作戦部長のレスチャー提督は中国による台湾侵攻に関連して3月3日の下院軍事委員会において「アメリカ海軍としては2020年代を最も懸念すべき時期だと捉えている。リスクが最も高まる時期であり、それに対応できるよう備えを進めている」と踏み込んでいる。
これは事実上、アメリカ海軍は2020年代が終わるまでの間に、つまり今後7年以内に中国との対決があると想定して準備を進めている、と言っていることに等しい。
ケンダール空軍長官もまた同じ日に開かれたアメリカ空軍協会主催のイベントで「ウクライナ侵攻が起きたが、最大の差し迫った脅威は中国だ」とはからずも歩調を合わせている。
ウクライナ侵攻は世界の耳目を集めているが、アメリカが最も警戒の眼を注ぐ相手は全く変わっていない。主敵は中国である、と。
(ちなみにある欧州の外交官は筆者に対して、この強い経済制裁の背景には将来、中ロ2国の脅威に同時に対処しなければならなくなるリスクを軽減するために、アメリカが強力な経済制裁で最大限、今のうちにロシアを弱体化させておきたい狙いがあると解説している)。ウクライナ侵攻は台湾侵攻と無関係どころか、多くのインプリケーション(含意)が読み取れる、というのがアメリカの立場だ。むしろウクライナ侵攻から中国が何を学び、アメリカが何を学ぶべきか、という台湾有事を想定したリアルな検討を始めている。


>■ 浮かび上がる「小型核」のリアル

>その中でも重い課題が中国の核兵器、とりわけ小型核だ。
プーチン大統領が核戦力の警戒態勢を上げることを示唆する発言をして以来、アメリカでは小型核が使われる脅威が公然と議論されている。たとえばCNNの生出演時に連邦議員、軍事専門家、現場の記者などが、プーチン大統領が戦術核を使う可能性について驚くほどオープンかつ活発に議論している。その多くは可能性が低いが、可能性は確実に存在する、というものだ。
そして現役軍幹部からもー。
3月8日、上院軍事委員会に出席したアメリカ海軍所属のリチャード提督。アメリカの核戦力の運用を担当する戦略軍司令部のトップだ。リチャード司令官はあらゆる核戦争のシナリオに備えてきたことを強調するとともに、今回のウクライナ侵攻のような通常戦争における限定的な核攻撃に対応する訓練もしてきたと明らかにした。

>ロシアが通常戦力での劣勢を挽回するために小型核を使う可能性を公の場であっさりと認めたことに筆者は少々驚いたが、これが今のワシントンの空気だ。確率はともかく、可能性が少しでもあれば備えをする、ということなのだろう。
続けて同司令官は中国が核兵器を「息をのむほど拡張」させていると警鐘を鳴らしている。「毎日、中国が核兵器を使用する際の思考回路、判断基準について考えを巡らせている。我々がどう動けば、彼らが核の使用を思いとどまるだろうか」と、きわめて率直に中国の核の脅威と日々、向き合っていることを語っている。


>■ 「日本に核攻撃」の現実味

>台湾有事でも中国の小型核が使われるシナリオに備えるべき、だと指摘するのが、ワシントンDCにある大手保守系シンクタンク、ハドソン研究所の村野将研究員だ。核戦略を専門とする村野氏はアメリカの核戦略コミュニティに人脈を築いている数少ない日本人である。

>アメリカ戦略軍やNATO軍司令部の幹部が参加して行われる対ロシア紛争をめぐる議論にも頻繁に参加している村野氏は「軍事合理性に基づいてプレイヤーがシミュレーションを重ねていくと、対ロシア紛争シナリオではポーランドに対するロシアによる核恫喝を受けて、西側は手詰まりに陥ってしまうことが少なくありません。この過程で選択を間違えると、ワルシャワは壊滅してしまいます」と指摘する。

>ポーランドが狙われる理由は主に2つあるという。NATO軍が対ロシア作戦を展開するうえで部隊の集積、編成、補給、出撃の拠点となるのがポーランドであり、そこを叩く軍事的意味があること。そして、2つ目は全面核戦争のリスクを招く米本土や米領土に対する核攻撃は避けながらロシアの強い意志を伝え、アメリカやNATOに停戦を強いるという戦略的な理由があるという。
「対ロシア紛争でのこうした結末は台湾有事で起きても決しておかしくありません。中国のドクトリンや専門家の議論をみると、通常戦争から核使用にエスカレートすることも排除できません」
では台湾有事で中国の核攻撃のターゲットになるとすれば、どこか。
台湾だろうか?
「日本です。アメリカ軍の基地が集まる沖縄もそうですし、場合によっては横須賀、厚木の各基地を抱える首都圏も考えられます」。
ただ、まず最も懸念するべきことは核の使用を匂わせる「核の脅し」だと指摘する。
「在日米軍基地の使用を禁止させればアメリカ軍の動きを封じ込められますから、核の使用を匂わせて日本政府に対して中立宣言や在日米軍基地の不使用を宣言させようとすることが最も考えられるシナリオです。つまり、日米は核エスカレーションが常に起こりうるという“核の影”の下で、中国との通常戦争を戦わなければならない。この現実を直視する必要があります」。
ウクライナで起きた「まさか」が、台湾で起きない保証はない、ということなのか。


>■ 日本が高めるべきは「安保リテラシー」

>アメリカはすでにウクライナから将来の台湾有事に備えた教訓を学ぼうとしている。インテリジェンスを駆使しながら懸命に状況に対応しようとしていることもすでに記した通りだ。大国ロシアの攻撃を受けるウクライナもまた命がけで知恵をしぼって生き残ろうともがいている。
日本はどうか。
安全保障は日本人が苦手としてきた分野であることは間違いない。重箱の隅をつつくような法的解釈論や結論ありきのイデオロギー、“べき論”が大手をふり、時には現実からかけ離れた好き嫌いの感情論が先行するきらいもあった。
一方、世界の現実はものすごいスピードで私たちの想定、想像を上回る展開を見せる。専制主義国家が決意すれば、いつウクライナ侵攻と同じ事態が東アジアで起きてもおかしくない、しかもそれを止める術はほとんどない。ウクライナ侵攻が教えてくれているのは、そうした厳しい現実であり、アメリカは冷静にそれを織り込みながら動き出している。
感情論でも単なる法律論でも、無批判なアメリカ追従でもない、世界のリアルに対応できる安全保障のリテラシーを高めていけるか。
日本がウクライナ危機から学ぶことはあり過ぎるほど、ある。
なぜなら、明日は我が身、だからだ。 (了)

>ANN ワシントン支局長 布施哲(テレビ朝日)
>テレビ朝日政治部記者などを経て現職。防衛大学校大学院卒業(安全保障学修士)、フルブライト奨学生として米軍事シンクタンクCSBAで客員研究員。主な著書に『先端技術と米中戦略競争』など。

▶ウクライナ侵攻 背後の情報戦(1) アメリカが見せたインテリジェンスの威力

▶ウクライナ侵攻 背後の情報戦(2) 特殊作戦関係者が解剖する軍事インテリジェンス

▶ウクライナ侵攻 背後の情報戦(3) ロシア軍の停滞のワケを読み解く

▶ウクライナ侵攻 背後の情報戦(4) 中国の“裏切り”と「台湾有事」

<参考=「ウクライナ侵攻 背後の情報戦(5) 「日本に核攻撃」のリアル」(テレビ朝日NEWS)>
(22/03/15)


【磯津千由紀(寫眞機廢人)@ProOne 600 G1 AiO(Win10Pro64)】 2022/03/23 (Wed) 19:43

副題=ウクライナ、首都近郊を奪還 プーチン氏側近、核使用可能性言及(毎日新聞、3月23日)

 こんばんは。


 ウクライナは、持ち堪えてるのみならず、一部で有効な反抗も行なってるようです。頑張れ。
 プーチンが大量破壊兵器を使う決断をしないことを願います。


> ウクライナ国防省は22日、首都キエフ西方約50キロの要衝マカリウをキエフの包囲を進めるロシア軍から奪還したと発表した。AP通信などが伝えた。米国防総省高官も同日、ウクライナ軍がここ数日で反撃に転じているとの分析を示した。東部イジュームでもウクライナ軍が奪還に向けて激しい戦闘を展開しているという。

> 米国防総省高官の話では、露軍はイジュームを拠点に南進し、南東部マリウポリの制圧を目指している。国防総省は、露軍が北東部ハリコフ、イジューム、マリウポリを結ぶラインで、親露派武装勢力が実効支配する東部ドンバス地域と西側を分離する狙いがあるとみている。だが、高官は「ウクライナ軍は効果的に防御しているだけでなく、ここ数日で露軍の支配地域を奪還する動きを明確に見せている」と分析した。

> ただし、ウクライナ軍によると露軍はミサイル攻撃や空爆を続けており、西部ジトーミル州や首都近郊のキエフ州などで被害が出ている。露軍が包囲した南東部マリウポリでの人道危機も深刻化している。

> ロイター通信によると、ウクライナのベレシチューク副首相は22日、マリウポリについて「脱出できない市民が少なくとも10万人いる」と明らかにした。安全な退避ルートが存在しないという。避難民を乗せたバスの通行を露軍が阻止し、東部ドネツク州の親露派支配地域へ向かわせようとしているとの情報もある。

> ベレシチューク氏は、空爆を受けたマリウポリの劇場での救助活動を露軍が妨害しているとも指摘。一方、インタファクス通信によると、ロシア国防省は22日、これまでにマリウポリの住民6万8000人以上を避難させ、露側で保護していると主張した。

> また、ウクライナ外務省の報道官は21日、東部ドネツク、ルガンスク両州から19日に2389人の子供が「強制的に(ロシアへ)移住させられた」とツイッターに投稿した。詳細は確認されていないが、ロシアによる民間人への人権侵害が深刻化している可能性がある。

> 戦闘が長期化するなか国連人権高等弁務官事務所の調査で、21日までに少なくとも民間人953人が死亡、1557人が負傷した。

> また、インタファクス・ウクライナ通信によると、24日にブリュッセルで開かれる北大西洋条約機構(NATO)の臨時首脳会議にウクライナのゼレンスキー大統領がオンライン参加する方針だという。

> 一方、ロシアのペスコフ大統領報道官は22日、核兵器使用の可能性について「ロシアの存立に関わる脅威があった場合にはありえる」と言及。状況次第では核の使用も辞さないとのプーチン政権の姿勢を強調し、ウクライナや支援する米欧をけん制した。米CNNテレビのインタビューで語った。【ワシントン鈴木一生、ベルリン念佛明奈、カイロ真野森作】

<参考=「ウクライナ、首都近郊を奪還 プーチン氏側近、核使用可能性言及」(毎日新聞、3月23日)>


【磯津千由紀(寫眞機廢人)@ProOne 600 G1 AiO(Win10Pro64)】 2022/03/24 (Thu) 13:52

副題=ロシアはやぶれかぶれ」侵攻1カ月、今後の展開は 専門家の懸念(毎日新聞有料記事、3月24日)

 こんにちは。


 ウクライナ、よく一箇月持ち堪えました。頑張れ。


> ロシアのウクライナ侵攻が始まってから24日で1カ月。ロシアが思い描いた短期決戦のシナリオは失敗したとみられるが、今後の展開はどうなるのか。防衛研究所地域研究部の山添博史・主任研究官に聞いた。【聞き手・五十嵐朋子】

>    ◇

> ――現状をどうみますか。

> ◆今、ロシアがやっていることは戦争とは呼べず、犯罪行為だ。南東部の都市マリウポリでウクライナ軍に撤退を呼びかけたが、これは「人質を殺されたくなければ要求をのめ」と言っているのと同じだ。民間人を狙い、避難所や病院など最も弱い人たちが集まる場所を攻撃している。

> ――なぜロシアはそのような行動に出ているのですか。

> ◆思うような戦果が得られていない焦りからだろう。ロシア軍は当初、短期決戦を見込んでいたとみられるが、そもそも無理があった。ロシア軍がウクライナ国境周辺に集結させていた部隊は約20万人で、ウクライナ軍人も20万人ほどだ。一般的に都市を包囲し制圧するには、相手の5倍の兵力が必要といわれており、全面制圧を目指すには少なすぎる。

> 季節的にも凍土が解けた地面を戦車が進めず、道路に一直線に並んで攻撃を受けている。ミスにミスを重ねている状態だ。ロシアは北大西洋条約機構(NATO)が介入してこなければ、すぐに屈服させられると軽く考えていたとしか思えない。

> ――ウクライナ軍の善戦の要因は何でしょうか。

> ◆西側から供与された地対空ミサイルや対戦車ミサイルが役立っているのは確かだ。それでも今持ちこたえているのは、防空システムなどウクライナがもともと持っていた戦力によるところが大きい。ウクライナ軍は2014年から続く東部での紛争で戦い続け、練度を高めてきた。十分戦える国になっていたということだ。

> ――今後の展開はどうなるのでしょうか。

> ◆ロシアの狙いはマリウポリを陥落させ、親露派武装勢力の支配下にあった東部ドンバス地方からクリミア半島までの一帯を制圧した上で、強気で停戦交渉に臨むことだろう。しかしウクライナも「そうはさせない」という強い意志を持っている。マリウポリからの撤退要求に対し、ウクライナのベレシチューク副首相が「降伏しない」と言った言葉には重みがある。

> 降伏しなければ市民の犠牲が続くのにもかかわらず、ロシアを勢いづかせたくないという意思表示をしたことになるからだ。マリウポリでは住民への食料の補給が足りていない恐れもあり、取り残された30万人もの住人がどうなるのか想像もつかない。

> 停戦交渉では両者の主張に隔たりがあるが、戦費負担が増大し経済制裁による債務不履行の危機を抱えているロシアも、どこで降りるかを考えざるを得ない。しかし一時的に停戦したとしても、ウクライナが本来の状態を取り戻すには長い時間がかかる。市民が砲撃にさらされる今の状態が、今後10年以上も続く恐れもある。

> ――ロシアは核兵器の使用も示唆しています。

> ◆核兵器よりも前に生物・化学兵器の使用が懸念されている。ロシアが今やっていることの異常さを考えると、やぶれかぶれで、これらの兵器を使う可能性も考えられる。

> 核兵器を使う危険性はまだ差し迫ってはいない。それでも戦時に「核を使える状態にしたこと」に意味を持たせ、威嚇していることを見過ごしてはいけない。日本政府が非難したのは大事なことだ。

<参考=「「ロシアはやぶれかぶれ」侵攻1カ月、今後の展開は 専門家の懸念」(毎日新聞有料記事、3月24日)>


【磯津千由紀(寫眞機廢人)@ProOne 600 G1 AiO(Win10Pro64)】 2022/03/24 (Thu) 21:16

 こんばんは。


 欧州各国が、対戦車ミサイル等の武器を、更にウクライナに大量供与するそうです。
 テレビ放映中の「NHKニュースウォッチ9」より。


<参考=NO.347 続2<ロシアのウクライナ侵攻>5月初旬までに終結<?>
(22/03/24)