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雑談<NO.283>

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表題一覧表

NO 表題 起稿 起稿日
雑談NO.284
2630 トヨタが嫌うEV一辺倒 「全方位」模索する理由 磯津千由紀 21/11/05
2629 純正品vs非純正品 プリンターインク巡る法廷闘争のいま 磯津千由紀 21/11/05
2628 <紀子様のお父様>川嶋辰彦氏<81歳>死去 シバケン 21/11/04
2627 大型SUVもCVTを採用する時代 CVTは日本だけのガラパゴス時代は終わったのか? 磯津千由紀 21/11/04
2626 ≪新型コロナ≫「もし日本株が出たら…」国産ワクチンなぜ必要か 磯津千由紀 21/11/04
2625 <アジア>大学ランキング/果たして、日本の大学は<?> シバケン 21/11/03
雑談NO.282

NO.2625 <アジア>大学ランキング/果たして、日本の大学は<?><起稿 シバケン>(21/11/03)


【シバケン】 2021/11/03 (Wed) 17:27

但し、
英国クアクアレリ・シモンズ(QS)社の独自基準<!>

<表1>
QSアジア大学ランキングの日本の上位20校



<表2>
アジア大学ランキング2022の上位大学



>英国のクアクアレリ・シモンズ(QS)社は2021年11月2日、アジアの大学を独自の指標にもとづいて順位付けした「QSアジア大学ランキング2022」を発表した。日本の大学は108校がランキング入りした。そのうち36校が順位を上げた一方で、65校が順位を落とした。QS社は、「日本の大学は国際競争力の向上が必要」とみている。

>上位に東大、京大、東工大など
日本の大学で上位に入ったのは、東京大学(11位)、京都大学(15位)、東京工業大学(21位)、大阪大学(22位)、東北大学(23位)など。私立大学では、早稲田大学(40位)、慶應義塾大学(46位)が上位に入った。ベスト100に入った日本の大学は14校だった。


>アジア1位はシンガポール国立大
>アジアの1位は、4年連続でシンガポール国立大学。2位は北京大学(中国)、3位は香港大学(香港特別行政区)と南洋工科大学(シンガポール)、5位は清華大学(中国)だった。上位20校中、中国本土の大学が5校、香港が4校、韓国が5校を占めた。

>日本の大学は人事の評判は良好、研究力は低下
ランキングは、「学術的な評判」「雇用者(企業などの人事担当)からの評判」の調査結果や、教育環境の指標となる「学生あたりの教員数の比率(ST比)」、研究力を示す「教員あたりの論文数」「論文当たりの引用数」などを組み合わせて集計されている。

>東大は昨年の15位から順位を上げ、「学術関係者からの評判」「雇用者からの評判」はアジアで1位だった。

>日本の大学は、「雇用者からの評判」の上位100位に14校入っており、他国の大学より企業の評価が高い傾向がある。「教員と学生の比率」も、上位100校に30校入っている。一方で、「論文あたりの引用数」で上位100位に入ったのは5校にとどまる。「教員あたりの論文数」は日本の大学の89%が順位を落としており、研究力の減退が浮き彫りになっている。

>QS社「日本は勢い減退、十分な研究予算確保を」
>QS社の担当者は、「日本の高等教育機関(大学)は、アジア、特に中国の高等教育機関と比べて、勢いが減退している。日本の大学の競争条件を公平にし、十分な研究予算を確保し、主要大学だけでなくすべての大学に対し、資金を最適に配分することが不可欠」とコメントしている。

<参考=「アジア大学ランキング2022 日本から108校ランクイン 順位は低下傾向「国際競争力向上」が課題」(高校生新聞)>


NO.2626 ≪新型コロナ≫「もし日本株が出たら…」国産ワクチンなぜ必要か<起稿 磯津千由紀>(21/11/04)


【磯津千由紀(寫眞機廢人)@ProOne 600 G1 AiO(Win10Pro64)】 2021/11/04 (Thu) 00:16

 こんばんは。


 国産ワクチン、治験のための被験者集めに苦労している由。
 安全保障のためにワクチンの国産化は必要なのですが。


> 新型コロナウイルスでは各国のワクチン戦略が感染抑止の成否に大きく作用し、特に日本では国産ワクチン開発の必要性がクローズアップされた。創薬ベンチャー「アンジェス」(大阪府茨木市)が大阪大と共同で開発を進める「DNAワクチン」はウイルスのたんぱく質をつくるDNAを使った新しいタイプで、2020年6月に臨床試験(治験)を開始。当初は「国産最速の実用化」を予測する声もあったが、現在も最終段階の治験に進めていない。何があったのか。アンジェス創業者の森下竜一・大阪大寄付講座教授に話を聞いた。【聞き手・松本光樹】

> ――現在の開発状況は。

> 治験を通して、DNAワクチンはメッセンジャー(m)RNAワクチンと比べて発熱や倦怠(けんたい)感が出にくく、安全性が非常に高いことがわかってきた。一方、(遺伝情報の通常の転写プロセスと同様に)やはり体内でDNAからmRNAにしなければいけないので、有効性に関しては、残念ながら今の用量では現状の(mRNAワクチンの)米ファイザー製やモデルナ製には及ばないこともわかってきた。さらに有効性を上げるため、投与量を増やしたり、(少量の火薬を使って皮膚からワクチンを吸収させる)火薬式の針なし注射器を開発して、(免疫細胞が多く、より高い効果が見込める)皮内に正確に投与できるようにしたりと、改良法を確かめている。

> ――DNAワクチンの立ち位置は。

> 単独での有効性に関してはmRNAワクチンが非常にすばらしい。ただ、長期間の副反応とか、繰り返しの投与による副反応はわかっておらず、mRNAだけを頼るのは危険だ。今後毎年打たないといけないとなれば、当然もっと安全性の高いワクチンが必要になる。また、3、4回目の「ブースター接種」のワクチンとして、政府から安全性の点で差別化した開発方針が示されれば、国産DNAワクチンの開発が前に進むのではないか。


> 国内での治験実施が非常に困難

> ――実用化が当初予定より遅れている理由は。

> 新型コロナの国内の発症者数が諸外国に比べ少ないことと、ワクチン接種が進み、治験に参加してもらえる方が非常に減ってきたのが要因だ。国内では治験を実施するのが非常に困難な環境になってきた。厚生労働省で検討されているのが、英アストラゼネカ製のワクチンとの優越差を見る方法だが、どのように比較するかまだ指針が出ていない。

> 今のところ海外で治験を行うのが一番無難かもしれない。しかし、治験を実施する国に対してワクチンを提供する義務が生じる。現状で国から出ている補助金は国内での必要量に限られるので、海外分には別途補助金が必要になる。製造能力もそこまで高めないといけないが、大規模な製造体制を作ればランニングコストがかかるので、承認されなければ赤字になってしまう。やはり国の買い取りを前提とする仕組みを作っていかないと、民間企業の努力だけでは困難だと思う。

> ――国際貢献を一つの開発目的としているが、どういうことか。

> 日本がブースターとして3、4回目を打つためのワクチンを海外から購入すれば、その分、途上国で使用できるワクチンが減る。日本国民の分で本来は1億、2億人にワクチンを打てるのに、(現実的に)先進国でしか打てないような現在の状況は、やはり正常ではない。いずれは、国産ワクチンを海外にも提供できるよう、日本政府は積極的に取り組んでほしい。

> 今まで日本の国際貢献としては、医薬品や医療機器を届けることだった。これからは、(例えば)今後、東南アジアで起こりうる未知のパンデミック(世界的大流行)に対し、一緒にワクチンを開発していく国際的な体制を確立していくということが、一番大きな国際貢献だろう。今まで海外で発生する感染症に、日本は無関心だった。今後はワクチンの開発技術を維持し、発展させるためにも、積極的に関わるべきだ。


> 実用化は来年の終わりごろか

> ――現状認識と今後の展開は。

> 本当にmRNAワクチンが成功してよかったと思う。日本にとってはラッキーだった。しかし、ラッキーに頼っていてはダメで、国産ワクチンの開発はやはり重要だ。世界保健機関(WHO)に強制力はないが、先進国での3回目の接種に警鐘を鳴らしている。理論的には、まず世界中の方にワクチン接種を進めるのが正しい。これは間違いない。仮に、輸入を禁止するという話になってしまうと、日本は干上がってしまう。

> また、一番怖いのはワクチンに耐性のある日本由来の変異株「日本株」の出現だ。日本株に対して海外の企業がワクチンを作ってくれるかというと、それは分からない。次のシナリオを考えないといけない。最悪を想定した対策が必要だと思う。

> DNAワクチンの実用化は、ベストなシナリオでいけば来年の終わりごろになるだろう。政府には国産ワクチンの意義付けや開発方針を早く打ち出し、開発が一刻も早く前に進むようにお願いしたい。


> アンジェスのワクチン開発

> アンジェスが大阪大と共同で開発を進める「DNAワクチン」は、国産ワクチンとしては最も早い2020年6月に治験が始まった。しかし、治験を実施する大阪市立大病院での審査委員会通過前に、治験日程や治験の対象者について吉村洋文・大阪府知事が公表。知事は実用化の時期についても「20年9月」と発言した。アンジェス創業者の森下竜一・大阪大教授は大阪府や大阪市の特別顧問などを務めていることもあり、一連の経緯は、「政治主導」で医薬品の厳密な安全性確認プロセスを逸脱してしまう懸念がある、として批判を浴びた。これまでに安全性を確認する初期治験や、より大きな規模の中期治験は進んでおり、22年度内の実用化を目標にするが、最終治験の方法については定まらず、見通しは立っていない。


> 5社が臨床試験、課題も多く

> 新型コロナウイルスの国産ワクチンの臨床試験(治験)が進んでいるのは、アンジェス▽第一三共▽KMバイオロジクス▽塩野義製薬▽VLPセラピューティクス・ジャパン――の5社。しかし、米ファイザー製やモデルナ製のワクチンが既に流通し、「後発組」になったことで、最終段階の治験の実施は困難な状況になっている。

> 国内では海外製ワクチンの接種が進むが、感染などを防ぐ中和抗体の量が時間と共に減少するとの報告もあり、ブースター接種(追加接種)のワクチンとして国産の開発が期待されている。少人数を対象とする初期治験は進んだが、最終治験は規模が大きく、比較のため治療効果のない「偽薬(プラセボ)」を投与することの倫理的問題も課題となっている。

> 日米欧など28カ国・地域の薬事規制当局で作る国際組織(ICMRA)は6月、治験の実施方法について新たな方針をまとめた。偽薬を使う代わりに、既に実用化されているワクチンと血液中の中和抗体の量の増え方を比べ、劣らないことを示す評価方法も認めるとした。治験者の人数も、従来の数万人から数千人の規模に縮小することも可能とした。

> これを受け、塩野義製薬、第一三共、KMバイオロジクスの3社は、年度内の最終治験開始に向け準備を進めている。塩野義製薬は海外での実施を視野に入れ、第一三共は既存ワクチンとの比較を検討、KMバイオロジクスはブースター接種での利用に限定した承認を目指す模様だ。しかし、世界的にワクチン需要は依然高く、最終治験に用いる実用化済みワクチンを押さえるのは容易ではない。治験者についても、人数のハードルが下がったとはいえ、数千人もの未接種者を確保できるのか。各社とも苦心しているのが実情だ。【松本光樹】


<参考=「国産ワクチン「先頭ランナー」いまだ最終治験進めず 開発者が語る訳」(毎日新聞有料記事、11月3日)>


【磯津千由紀(寫眞機廢人)@ProOne 600 G1 AiO(Win10Pro64)】 2021/11/06 (Sat) 22:56

<参考>

<参考=話題NO.1526 <国産コロナ・ワクチン>アンジェス/充分な結果得られず、接種法の改善に移行。>(起稿21/11/06)


NO.2627 大型SUVもCVTを採用する時代 CVTは日本だけのガラパゴス時代は終わったのか?<起稿 磯津千由紀>(21/11/04)


【磯津千由紀(寫眞機廢人)@ProOne 600 G1 AiO(Win10Pro64)】 2021/11/04 (Thu) 02:19

 こんばんは。


 主流の金属板ベルトによるCVTは、もともとはヴァンドーネが開発したものですが、富士重工(現スバル)が乗用車用としては最初に実用化したものです。


> なぜ日本車だけCVTを採用しているのだろうか? ATに比べるとつながりがギグシャクしている……、CVTはアクセルを強く踏み込んでも音が騒がしくてなかなか思うように前に進まない……、というCVTに対する不満はまだまだ多く聞かれる。

> そんな不満の声とは裏腹に、CVTは日進月歩の勢いで進化を遂げている。

> 大きいほど性能がいいとされるレシオカバレッジの数値は、レクサスUXやトヨタRAV4、ハリアーに搭載されたダイレクトシフトCVTは7.555、さらに新型レヴォーグとフォレスタースポーツ(1.8Lターボ)はついに8を超え、8.098と、8速AT並みの数値となった。

> ここで改めて、CVTはなぜ日本ばかりが採用するのか? CVTよりもATのほうがいい(特にスポーツモデル)という声が多いのに日本車は頑なにCVTを使い続けるのか? 自動車テクノロジーライターの高根英幸氏が解説する。

> 文/高根英幸
> 写真/ベストカー編集部 ベストカーweb編集部 トヨタ 日産 スバル ダイハツ


> ■日本車だけ、なぜCVTはガラパゴスなのか?

> CVTが燃費性能を高める変速機であることは、もはや疑いようがないだろう。そうでなければ日本の自動車メーカーのほとんど(マツダはOEM車だけだが)が採用している理由が見当たらない。それでも欧米でもアジアでも、CVTは嫌われ者の変速機だ。

> 今では軽自動車のトランスミッションほぼCVTであり、S660やコペンといったスポーツカーでもCVTが搭載されて、それなりに支持されている。

> スバルのWRX S4といった300ps、400Nmものトルクを誇るスポーツセダンでもチェーン式CVTが採用されているのだから、日本国内でCVTの勢力が大きいことは変わっていない。

> それには、CVTだけがもつメリットが、理由としてはやはり大きい。ATならば7速以上でなければ達成できない変速比幅(レシオカバレッジ、通称レシカバ)を備えているのは、多段ATはとても重量とコストの両面で使えない軽自動車にとって、魅力があり過ぎるのだ。

> CVTは変速機としてのコストとスペース性、軽量性の面で、まずは優れている変速機なのである。

> では逆にCVTが抱える問題点、デメリットとは何だろう。変速比を変える機構がそのまま駆動力を伝えるために、どうしても伝達ロスが大きくなるのが最大のデメリットだ。

> しかしベルトを挟み付けるために強力な油圧を必要としている構造ながら、プーリーの油圧室の構造などを改良することで必要な油圧を低減して、油圧ポンプの損失を減らす工夫も続けられていった。

> それでも、ラバーバンドフィールと言われたエンジン回転数を維持したまま、徐々に減速比を下げて車速を伸ばすという、伝達効率の悪い領域を使ってしまうことで生じる加速Gの緩慢さはどうしても避けられなかった。


> ■CVTのメリットを活かし、弱点を克服した日本メーカー

> CVTは変速による減速比の変化量が大きいことが、最大の武器だ。2つのプーリーに掛かっているベルトが、プーリー幅の変化により接触する位置を変え、実質的なプーリー径を変えることによってシームレスで幅広い変速を実現している。

> CVTには、ほかにもいろいろな構造の種類があるのだが、クルマの変速機として使われるのは、金属のプーリーで金属製のベルト(あるいはチェーン)を挟むベルトプーリー型だ。

> アイシンやジヤトコ、ホンダ(内製)などCVTを開発、生産しているメーカーは、基本的には同じ構造の金属ベルト式CVTを採用していながらも、そのプーリー幅制御などに独自のノウハウを持っている。

> オランダのヴァンドーネが開発したベルトプーリー型CVTは、金属エレメントと薄板を組み合せたスチールベルト式CVTとなって日本の変速機メーカーが熟成させたことで、今につながったのだ。

> 他国のメーカーが変速フィールの鈍さや、耐久性を問題視して熟成を諦めていった中で、日本だけが辛抱強く開発を続け、小さな改善の積み重ねで信頼性や燃費性能、加速フィールなどを改善していったのである。

> 言い換えれば、日本のドライバーがCVTを許容しなければ、今のような状態にはなっていないと思う。壊れなくて、燃費が良ければいいというズボラなオーナーがCVTを選んで、乗り続けてくれたからこそ、CVTは存続して進化することができたのだ。

> それくらい、CVTのフィーリングは人間の感性にそぐわないものであったが、近年はそれも随分改善された。それはCVT単体での改良だけでなく、エンジンなど周辺機械の改良による影響も少なくない。

> どういうことかというと、昔はエンジンの燃費性能が高くなかったためにCVTで燃費を稼ぐ比率が高かった。

> そのため加速時にも負荷を抑えるために減速比を大きくして、徐々に減速比を小さくしていく制御を取っており、全負荷の全開加速時にもそんな制御だったことから、エンジン回転に対して車速の上昇が緩慢で、運転していて違和感やストレスを感じたものだ。

> しかし最近のCVTは、どれも制御が見違えるように良くなった。加速時もいたずらに変速比を変えることなく一定以上の加速時には減速比を固定することで、エンジンの回転上昇にあった加速Gを感じさせる。

> これはエンジンの燃費性能が向上したことにより、変速機側で頑張り過ぎなくてもよくなったことも大きい。結果的に燃費への悪影響を抑えながら、加速フィールも良くなったのだ。


> ■副変速機付き、発進ギア/巡航ギア付きなど発展型CVTも

> CVTは変速機としてはシンプルな構造ながら、単純にレシオカバレッジを拡大したり損失を低減するだけでなく、新たな機構を追加することで、より燃費性能を高める工夫も盛り込まれている。

> 日産はジヤトコと共同開発して、リバースギア用に組み込まれていた遊星ギア機構にクラッチを追加することで、2段変速機構を兼ねさせ、副変速機付きCVTとしてレシオカバレッジをさらに拡大させている。

> これはスズキの軽自動車にも採用されているものだが、副変速機が作動する時には、プーリーは逆に動作するなど、制御が複雑で緻密だからこそ、実現できた機構だ。

> さらにトヨタは発進ギアを別に設けて、プーリー比が最大となる領域をカットすることで、損失を低減した発進ギア付きCVTをアイシンと開発して搭載している。

> ダイハツは逆に、巡航時に固定ギアに駆動力伝達を切り替えることで、駆動損失を低減するCVTを開発、量産車に採用している。

> チェーン式は基本的に縦置き変速機用でジヤトコは横置きCVTにチェーン式を開発しているが、コストと騒音の問題から普及には至っていない。

> ベルト式は連続的にコマがプーリーに当たっているため、静粛性が高いのだが、チェーン式はチェーンのピンが断続的にプーリーに当たるため、どうしても歯打ち音のようなノイズが発生してしまうのだ。

> さらに金属ベルト式が改良によって、チェーン式に匹敵する伝達トルク容量を実現してしまったから、なおさら出番が無くなってしまった感がある。

> 劇的に進化したといえるのがスバルのリニアトロニックCVTだろう。先代レヴォーグのレシオカバレッジは6.422だったが、新型では8割の部品を刷新し、8.098に拡大。

> レシオカバレッジを拡大したことにより、発進時のダイレクトな加速、高速巡行時の燃費が向上したほか、CVT独特の金属音も低減。

> さらに8速のマニュアルモード変速も可能となった。変速ショックのない滑らかな加速とリニアなレスポンスが光るこのCVTはATでいうと、8速AT以上の実力を持っているといっていいだろう。


> ■欧州では低人気のためリスク回避で未導入

> それほどまでに完成度の高い変速機となったCVTだが、相変わらず日本国内だけで使われている感が強い。他にATを持たないスバルのチェーン式CVT(アウディも以前は採用していた)は別として、金属ベルト式のCVTは世界では少数派だ。

> メルセデス・ベンツは先々代のAクラス/BクラスにCVTを搭載させたがわずか6年、1代限りで見切りをつけ、通常の遊星ギア式7速ATに切り替えている。

> 現在販売しているモデルについても、例えばトヨタはRAV4の国内のガソリン車は、2LのCVT搭載モデルを販売しているが、欧州や米国向けのガソリン車は2.5Lの8速ATを販売している。それは、海外ではCVTを搭載しているだけで売れなくなるというリスクを避けるためだろう。

> 米国ではアクセルペダルを踏み込んだ瞬間に反応する大トルクによるクルマの反応が求められ、欧州では伸びやかな加速フィールが重視される。そのどちらにもCVTの特性はそぐわなかったのだ。(少なくとも10年ほど前までは)。

> 現在のCVTの大半は、かなり出来の良い変速機なのだが、欧州市場にはCVTアレルギーのようなものを感じる。

> 欧州の場合、たとえ変速ショックが少し出ようとも、加速感を感じられる通常のATの方が好まれるのだ。MT車の比率もまだ高い市場だけに、古典的なクルマの走行フィールに安心感を得るユーザーが多いのだろう。

> ただし欧米市場でも唯一認められているCVTがある。それはトヨタのハイブリッド車に搭載されている電気式CVTだ。

> これも無段変速機という意味ではCVTなのだから、大々的にアピールすればCVTのイメージ改善に役立つかも知れない。そして実際に金属ベルト式CVTの最新モデルに乗ってもらえば、いかに加速フィールが良くなっているか、実感してもらえると思うのだが。

> しかし欧州市場はライバルメーカーたちがEV化に舵を切っている以上、今のタイミングでは欧州にCVTを投入することは、あまりメリットにつながらないだろう。そういった意味では、今後CVTが存続していけるかは、微妙なところだ。それは国内専用モデルをいつまで用意するか、という問題と極めて似ている。

> その国内市場ではまた様子が違ってくる。スズキはAGSとフルハイブリッドを組み合せたMTベースでシームレスな2ペダル車を作り出したが、価格面でユーザーに受け入れられず、1代限りで姿を消している。バッテリーのコスト低減次第でまた復活する可能性はあるが、国内ではCVTの優位性は当分続きそうだ。

> 日産はデイズをフルモデルチェンジした際にCVTも見直し、副変速機を廃止して実質的なレシオカバレッジを縮小している。これだけだと時代に逆行しているように思われるが、軽自動車の場合は副変速機による駆動ロスや制御の複雑さは無視できない。

> そこでエンジンを新設計してトルクアップしたことと、マイルドハイブリッドによるトルク補完も利用することで、CVTのレシカバが小さくなっても、先代以上の走りと燃費を実現したのだ。

> つまり電動化になっても、CVTは活躍することができる。むしろより燃費性能を高めるためには、マイルドハイブリッドの積極利用とCVTの組み合せに期待したいところだ。


> 本企画で何度も出てきた言葉、レシオカバレッジ。最後にこのレシオカバレッジとはなにか、これまで聞いたことがなかった、という人のために、説明しておきたい。

> レシオカバレッジとは、変速機の変速比幅(適用可能な変速比の範囲)とも呼ばれ、最も低速のギア比を最も高速のギア比で割って求める値だ。

> この値が大きいほど、エンジンが低回転のままで走ることができる車速の幅が広いことになり、燃費が良く、静粛性に優れるという評価につながる。CVTの場合は、最も低速(ロー)のプーリー比を最も高速(ハイ)のプーリー比で割った数値になる。

> 4速ATで4程度、6速ATで6程度、8速ATでは8程度、9速ATでは9.8、10速ATでは8.23となっている。CVTは一般に5.5~6程度。 巻末で各社の主な車種のレシオカバレッジを紹介しているので、いいトランスミッションの指標としてみてほしい。

> CVTの場合、変速用プーリーの大径化の制約があるため、多段ATよりも変速比の幅を広げられなかったが、日産とジャトコが2009年に実用化したCVTは副変速機をつけて、乗用車としては当時最も広いレシオカバレッジを7.3とし、後に8.7にまで広がった。

> いっぽう、トヨタは2018年12月、レクサスUXから採用したダイレクトシフトCVTは、CVTに発進用1速ギヤを組み込み、ベルトをハイ側に設定できたことで、レシオカバレッジ7.555を実現した。

> つまり副変速機と発進用1速ギヤを組み込むことで、発進、加速時にはギア比をロー側へシフトし、力強い駆動力を得ることと、高速巡航時にはギア比をハイ側へシフトし、静かで燃費の良い走りを両立させている。

> スバルの最新モデル、1.8Lターボを搭載した新型レヴォーグと、1.8Lターボを搭載するフォレスタースポーツのレシオカバレッジはついに8を超え、8.098を実現した。

> レヴォーグは先代の6.442、フォレスターは2.5Lの7.031からの進化。これは6速ATが8速ATに進化したレベル。副変速機を持たないCVTとしては世界最高クラスだ。

> このレシオカバレッジの数値が大きいほど、いいAT、CVTなので、参考にしてほしい。ちなみに過去の車種の数値を比較してみると進化の幅がわかるだろう。


<参考=「大型SUVもCVTを採用する時代 CVTは日本だけのガラパゴス時代は終わったのか?」(ベストカーWeb、4月6日)>


NO.2628 <紀子様のお父様>川嶋辰彦氏<81歳>死去<起稿 シバケン>(21/11/04)


【シバケン】 2021/11/04 (Thu) 16:02

紀子様、お父様と、そっくりと。

<写真>
父親の川嶋辰彦さん㊨、母親の和代さん、弟の舟さんに別れのあいさつをする紀子さま(1990年6月29日、東京・目白)=共同



>秋篠宮妃紀子さまの父で学習院大学名誉教授の川嶋辰彦(かわしま・たつひこ)氏が11月4日、死去した。81歳だった。

>空間経済学や計量経済学が専門。1966年に妻、和代さんとの間に長女、紀子さまをもうけ、渡米して71年にペンシルベニア大院の博士課程を修了。76年から学習院大経済学部で長く教授を務めた。

>89年に秋篠宮さまと紀子さまの婚約内定が報じられた際には、大学構内の共同住宅で暮らしていたことから、紀子さまが「3LDKのプリンセス」との愛称で親しまれるきっかけになった。

>秋篠宮家の長女で10月26日に結婚した小室眞子さん、次女の佳子さま、長男の悠仁さまは孫。同月19日に東京都内の病院に入院した際は、紀子さまが眞子さんと佳子さまを伴い、お見舞いされていた。

<参考=「川嶋辰彦氏が死去 紀子さまの父、学習院大名誉教授」(日本経済新聞)>


NO.2629 純正品vs非純正品 プリンターインク巡る法廷闘争のいま<起稿 磯津千由紀>(21/11/05)


【磯津千由紀(寫眞機廢人)@ProOne 600 G1 AiO(Win10Pro64)】 2021/11/05 (Fri) 23:03

 こんばんは。


 非純正のインクを使うとプリンタ本体の保証が無効になるので、私は高価(3か月に1交換1万円見当)な純正インクを使ってます。
 また、リコーのプリンタで、リフィル品のトナーを使ったら高価なプリンタが壊れた経験もありますし。


> プリンターの設計を変更して自社製以外のインクを使えないようにしたのは違法だとして、東京地裁が9月、メーカーの「ブラザー工業」(名古屋市)に約150万円の賠償を命じる判決を言い渡した。背景には、インクカートリッジを巡る「純正品」と「非純正品」の長い闘いの歴史がある。消費者のためになる製品とは何か。訴訟を通じて素朴な疑問を考えた。


> 設計変更は「不当な抱き合わせ」

> 東京地裁の訴訟は、非純正品のインクを販売する「エレコム」(大阪市)側が2019年12月、ブラザー工業に約1570万円の損害賠償と設計変更の差し止めを求めて起こした。

> ブラザー工業は18年12月、同年9月に発売したプリンター内部に新たな回路を設置。一定の電流量を検知した場合はインクが使えなくなるようにした。これにより、インクが使えなくなったエレコム側は「市場からの不当な排除で、独占禁止法違反に当たる」と主張し、ブラザー工業は「設計変更は異物の混入による過電流防止が目的」と反論した。

> 独禁法は、主商品とそれを補う商品をセットで購入せざるを得なくする行為を、公平な競争を害する「抱き合わせ販売」として禁じている。判決は「発売から数カ月での設計変更に具体的な必要性は認められない」と指摘。設計変更は、プリンターと純正品インクの「抱き合わせ販売」に当たるとし、非純正品の販売を困難にする目的があったと認定した。エレコム側は設計変更に対応するインクを開発しており、設計変更の差し止め請求は棄却した。

> 双方とも控訴せず、判決は確定した。ブラザー工業は「訴訟継続による事業運営への負荷を考慮し、控訴を見送ることにした」、エレコムは「差し止め請求が認められなかった点は遺憾だが、独禁法違反が明確に認定されたため控訴は見送った」とコメントした。


> 最高裁まで争われた訴訟も

> 記者が家電量販店を訪ねると、問題となった2社のインクは、ブラザー工業は4130円、エレコム側は3608円で売られていた。売り場には、純正品と非純正品のメリット、デメリットをまとめた看板があった。純正品は文字や写真を鮮やかに再現する品質に「◎」が付く一方で価格は「△」、非純正品は品質は「○」で価格は「◎」との評価が示されていた。

> プリンターインク市場に詳しい伊藤隆史・常葉大教授(独禁法)によると、メーカーは長年、プリンター本体はできるだけ価格を抑えて販売数を伸ばし、消耗品のインクを売ることで利益を出すビジネスモデルをとってきた。しかし、カラーインクの普及とともに、使用済みの純正品を回収してインクを補充し直す「リサイクル品」を扱う業者が増え、00年代前半ごろから訴訟が増えるようになった。

> キヤノンがリサイクル品の販売業者に販売差し止めを求めた訴訟では、最高裁が07年11月、業者の特許権侵害を認める判決を言い渡し、販売差し止めの判断が確定した。回収された純正品の特許権が、リサイクル品にも及ぶのかが争点となったが、最高裁は、機能や取引の実情を総合考慮し、「製品を新たに製造した」と評価できれば特許権が及ぶとの基準を示した。

> 一方、最高裁はこの判決の翌日、セイコーエプソンが同様にリサイクル品の販売差し止めを求めた訴訟では、逆に特許権侵害を認めない判断を示した。その後も非純正品を巡る法廷闘争は続いている。


> 「価格・品質面で高め合う競争を」

> 市場調査会社BCNによると、近年は純正品がインク市場の9割程度を占める。道越一郎アナリストは「過去に訴訟が繰り返されたこともあり、非純正品は合法なのか確信できない消費者もいる。『価格が高くても不具合が起きないはずだ』という純正品に対する信頼が、低価格といった非純正品のメリットを上回っているようだ」と分析する。

> このような歴史の中で下された今回の東京地裁判決。伊藤教授は「独禁法違反を認めた判断は画期的だが、インクで稼ぐビジネスモデルがある以上、今後も同じような争いが続く可能性が高い」と予測する。その上で「非純正品があれば消費者の選択の幅は広がる。それにより純正品、非純正品ともに価格・品質面で高め合うはずだ。企業が自社の利益を追求することは理解できるが、健全な競争を阻害する行為は許されない」と指摘した。【遠山和宏】


<参考=「純正品vs非純正品 プリンターインク巡る法廷闘争のいま」(毎日新聞有料記事、11月4日)>


NO.2630 トヨタが嫌うEV一辺倒 「全方位」模索する理由<起稿 磯津千由紀>(21/11/05)


【磯津千由紀(寫眞機廢人)@ProOne 600 G1 AiO(Win10Pro64)】 2021/11/05 (Fri) 23:36

 こんばんは。


 トヨタ自動車の「全方位戦略」に勝算は(?)。


> 世界的な脱炭素の流れから次世代車として注目を浴びている電気自動車(EV)。欧米の自動車メーカーを中心にEV転換の姿勢が鮮明になる中、トヨタ自動車は「EV一辺倒」の戦略に後ろ向きだ。「100年に1度」といわれる自動車産業の大変革にトヨタは取り残されないのか。英グラスゴーで開催中の温暖化対策を協議する国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)を機に自動車業界の未来像を考えてみた。


> 強みのHVに固執?

> トヨタの現在のEV導入計画は約1000万台規模の世界販売のうち、2030年時点でEVと燃料電池車(FCV)で計200万台というものだ。残りは、ハイブリッド車(HV)やガソリン車で占める「全方位戦略」を掲げる。35年までに新車販売のすべてをEVなど排ガスが出ない「ゼロエミッション車」とする米ゼネラル・モーターズや、40年に同様の目標を掲げるホンダに比べると、「脱ガソリン」に及び腰に見えてしまう。

> 豊田章男社長も「最初からガソリン車を禁止するような政策は日本の強みを失いかねない」と述べるなど、脱炭素への選択肢がEVだけに狭まる流れを頻繁に批判。「35年までに全新車販売を電動車」と打ち出した菅義偉首相が退陣を表明し、自民党の新しい総裁選びが始まると、「一部の政治家から『すべてをEVにすればいい』という声も聞くが、それは違う」と発言し、政治への注文も勢いを増す。トヨタはHVの開発競争で世界の覇権を握っただけに、自動車業界には「世界的に優位性のあるHVを守りたいだけでは」と疑問視する声も上がる。


> EVは本当に「クリーン」か

> 一体、トヨタの本音はどこにあるのか。

> トヨタの元エンジン技術者で、部長時代には温室効果ガス削減に向けた次世代車のロードマップの作成にも携わった愛知工業大の藤村俊夫客員教授は「トヨタを擁護するわけではない」と前置きした上でこう断言する。

> 「二酸化炭素(CO2)削減においてEVだけを進める戦略はまさしく『木を見て森を見ず』ですよ」

> 藤村教授が強調するのはEVは走行時にCO2を排出しなくても、燃料となる電力の発電時や搭載バッテリーの生産時などを含めれば「決してクリーンではない」という点だ。国際エネルギー機関(IEA)が20年に発表したデータによると、走行時に加えて燃料や車両の製造過程の全体を含めた1台あたりのCO2排出量は、最大のガソリン車の34トンに次いでEVとハイブリッド車(HV)が28トン、最小は外部充電が可能なプラグインハイブリッド車(PHV)の24・5トンだった。

> 発電割合の7割以上を化石燃料による火力発電に頼る日本や、石炭火力が約5割を占める中国などではHVやPHVよりもEVの方が大幅にCO2排出量は増えてしまう。藤村教授は「EV普及によって新たに必要になる電力をすべて再生可能エネルギーで賄えるのか。国内のエネルギー政策や発電量の少ない新興国を脇に置いてEVだけ増やす政策は無責任だ」と警鐘を鳴らす。


> 欧州が狙う自動車産業の覇権

> 自動車産業に詳しい早稲田大の藤本隆宏教授も「EVの将来性は疑いないが、バッテリーなど技術の進歩が不確実な中、今の段階でEVだけに選択肢を狭めるのは得策ではない」と指摘する。欧州はEVに特化した政策を掲げているが、「自らに有利な競争に他国を巻き込もうとする側面もあり、注意が必要だ」と語る。

> 日本よりも再生可能エネルギーや原発の発電割合が高い欧州はまさに世界のEV潮流の「震源地」だ。7月には欧州連合(EU)の欧州委員会が35年にHVを含むガソリン車の新車販売を事実上禁止すると決定。足並みをそろえるように自動車大国のドイツでも、ダイムラーのメルセデス・ベンツが30年にも全販売車種をEVにするほか、フォルクスワーゲン(VW)は40年にEV中心のゼロエミッション車に切り替えると宣言した。

> 背景にあるのは、欧州市民の環境意識の高さだけでない。脱炭素社会に不可欠な電動車を巡る開発競争で世界の主導権を握る狙いがあるとみられている。もともと欧州メーカーはディーゼルエンジン車の開発をエコカー戦略の中心に据えていた。ディーゼルエンジンは1892年にドイツ人技術者のルドルフ・ディーゼルが発明した内燃機関。加速力や燃費性能が高く、技術の進化で環境性能も高まったことで人気を博した。だが、15年に発覚したVWの排ガス不正問題によるイメージ悪化で販売が低迷。環境戦略の方針転換を余儀なくされる中、トヨタなど日本勢が得意とするHVではなく、購入補助金や規制を使った産業政策としてEVを普及させている側面がある。あるトヨタ幹部は「欧州はゴールポストごと動かす戦略だ」とこぼす。


> イーフューエルの可能性

> そんな欧州でも実は思うようにEVが普及していない。欧州自動車工業会によると、21年4~6月でのEU域内での新車販売に占めるEVの割合は前年同期比2倍超となったが、まだ7・5%に過ぎない。東欧や南欧の10カ国ではEV用の充電ステーションが道路100キロ換算で1カ所にも満たない状況で、本格普及には不透明感が漂う。藤本教授は「補助金でEV需要を引っ張る政策は国家財政的に限界がある。市場の需要よりも生産目標を優先させる発想も経済の常識として疑問だ」と指摘する。

> では、脱炭素に向けてEV以外の有力な解決策は見いだせるのか。愛知工業大の藤村教授が注目するのは大気中や工場から排出されるCO2と水素でつくる合成液体燃料「イーフューエル」だ。ガソリンやディーゼル燃料に混ぜて使えるため、既存のガソリン車やHVでも使えるという特徴を持つ。日本は温室効果ガスを30年度に「13年度比46%減」にするという高い目標を掲げているが、達成するには国内排出量の約15%を占める自動車の排出削減が待ったなしの課題。自動車1台の保有期間が10年前後とされる中、新車だけの環境対策では短期的な効果は見込めない。イーフューエルは販売済みの車両の排出低減にも即座に貢献できる可能性を秘める。

> 豊田社長も4月の日本自動車工業会の記者会見で「イーフューエルを使うと(走行中のCO2排出量が)ガソリン車はHV並みになり、HVはPHV、PHVはEV並みになる」と期待を込めている。現状ではガソリンの数倍とされる価格が課題だが、再エネ発電が遅れている国にとっては期待が持てる選択肢だ。ガソリンの代わりに水素を燃焼する「水素エンジン」や、藻類やトウモロコシなどから作るバイオ燃料も既存のエンジンを活用したまま脱炭素を目指すことができるという。


> EVにも注力する「全方位戦略」

> とはいえ、現状でEVが温暖化対策の「切り札」とまでは言えないものの、将来の重要な選択肢であることに変わりはない。COP26では気温上昇を抑えるための方策が産業部門ごとに議論されているが、欧州が先導する世界的なEVシフトの流れは止まりそうにない。

> トヨタも30年までに約1兆円を投じてEV用電池の生産ラインを現在の2本から計70本に増強する方針。10月には初の量産EVとなるスポーツタイプ多目的車(SUV)「bZ4X」の詳細を発表し、22年半ばから世界販売を始め、25年までに計15車種のEVを投入する計画を明らかにした。あるトヨタ幹部は「EVについてコメントを控えていたら『トヨタはEV嫌い』と言われるようになった」と漏らし、これまでの情報発信のあり方を反省する。EVについては「エネルギーがクリーンになればEVがいいに決まっている。HVもやる全方位戦略でもEVの品質は欧州メーカーと同等かそれ以上と言えればいい」と話す。

> 藤村教授は30年までのEVの主な使い道として、1回の充電で走る航続距離が100キロ程度の1~2人乗りの超小型車や、1000万~2000万円近い高級車での普及を予測する。世界的に人気なSUVなどのサイズでHVと同じレベルの性能をEVで実現しようとした場合、政府の補助金などがなければ採算が合わないという。早稲田大の藤本教授も「価格に加え、航続距離や充電でストレスを感じない『魅力的なEV』には次世代バッテリーの開発が必要で、30年代にかかる長期勝負となる」と語る。

> 現状のEV市場は米テスラが席巻している上、エンジン車に比べて構造がシンプルで他業界からも参入しやすいことから、今後は米IT大手アップルやソニーも参入を見据える。豊富な開発資金とHVを含めた「全方位戦略」で構えるトヨタ。世界を舞台にした「100年に1度」の厳しい戦いが続く。【杉山雄飛】


<参考=「勝算はあるか トヨタが「EV一辺倒」を嫌う理由」(毎日新聞有料記事、11月4日)>