シバケンの天国
パソコン大魔神

奥の院NO.8

奥の院NO.7
奥の院NO.4 奥の院NO.5 奥の院NO.6
奥の院NO.1 奥の院NO.2 奥の院NO.3

パソコン大魔神の雑談<NO.5>


奥の院NO.9

NO.100 地球温暖化問題のウソ(5)

NO.99 地球温暖化問題のウソ(4)

NO.98 地球温暖化問題のウソ(3)

NO.97 地球温暖化問題のウソ(2)

NO.96 地球温暖化問題のウソ(1)

NO.95 日本企業の生き血を吸う「吸血コウモリ」(終わり)

NO.94 日本企業の生き血を吸う「吸血コウモリ」(4)

NO.93 日本企業の生き血を吸う「吸血コウモリ」(3)

NO.92 日本企業の生き血を吸う「吸血コウモリ」(2)

NO.91 日本企業の生き血を吸う「吸血コウモリ」(1)

NO.90 「ローム株式会社」大リストラの真犯人判明(7)

NO.89 「ローム株式会社」大リストラの真犯人判明(6)

NO.88 「ローム株式会社」大リストラの真犯人判明(5)

NO.87 「ローム株式会社」大リストラの真犯人判明(4)

NO.86 「ローム株式会社」大リストラの真犯人判明(3)

NO.85 「ローム株式会社」大リストラの真犯人判明(2)

NO.84 「ローム株式会社」大リストラの真犯人判明(1)

NO.83 日本のコンピュータ教育の根本的な誤り(14)

NO.82 日本のコンピュータ教育の根本的な誤り(13)

NO.81 日本のコンピュータ教育の根本的な誤り(12)

奥の院NO.7


NO.81 日本のコンピュータ教育の根本的な誤り(12)


頭のリハビリ(66)-「ミロク経理」倒産後の混乱 -

 バブル経済崩壊前の「イケイケ」の好景気の更に前、「第二次石油ショック」から抜け出して「ボチボチやな~」と油断していた矢先に、突然の親会社の倒産劇に巻き込まれた。ただ、この経験は後に巻き込まれる壮絶な「バブル景気崩壊」の予行演習になった。今にして思えば、この経験が無ければ後の「バブル経済崩壊」で”一家心中”していた可能性が有った。この時の貴重な経験とは、銀行の本性は”泥棒”だという事。弁護士は”金の有る方にナビく”という事。民事裁判官と書記官は”弱虫の馬鹿”だという事。これらの貴重な経験が「阪神大震災の余波」と「バブル経済崩壊」のダブルパンチを生き抜く知恵になった。

 先ず、日本を代表する名門企業「東芝」は見事に逃げた。勿論「東芝」自体も莫大な損失を被ったが、「被害者を救済しよう」などという考えは微塵も無かった。とにかく「東芝」の名前に傷が付くことだけ避けたかったようだ。逆に「アルプス電気」は製品在庫を原価で販売することで、自社の被害を最小限にしようと考えた上に、販売特約店に製品を提供できるよう努力した。「ミロク経理」製品のメンテナンスを行って来た「日信電子サービス」(日本信号の子会社)もユーザーを保護する方向でメンテナンス・サービスを継続した。

 ユーザーと販売特約店を救済するために動いたのは「CSK」で、当時の大川会長の指示で「オフィス・マネージメント」という新会社を設立した。そして、この新会社を窓口として「アルプス電気」の在庫を販売特約店に流通させる策を講じた。また「ミロク経理」アプリケーション・パッケージの開発部全員を「CSK」の子会社「CSO」に吸収して開発部員の散逸を防いだ。「CSO」の社長は元日本IBMのSE課長で有った藤枝氏で、大きなミスをしてIBMを退職したいわゆる”前科者”だったが、この事で「ミロク経理」アプリケーションとIBMの接点が生まれた。当時「CSK」はIBMの大型コンピュータ・ユーザーにシステム・エンジニア(SE)を派遣する事で急激に成長していた。ただ、実際は単なるプログラマー派遣業であって、IBMの設定した高額なSE派遣費用のピンハネをして食っていたイカサマ企業だった。現実はSEとは名ばかりで、コンピュータ学校を出た程度の余り質が良くないプログラマーを派遣していただけだった。その「CSK」の大川会長は「ミロク経理」が完成度の高いパッケージ・ソフトウェアでマシンの販売を伸ばしていたというカラクリを見抜いていた。このチャンスを生かして優秀なミロク経理の開発部隊を手中に収めた。そして、九段のビルから新宿新都心の「住友三角ビル」に開発部隊を移転させた。「CSK」は”善意の泥棒”を見事にやってのけた。

 突然の「ミロク経理」の倒産で混乱状態になった巨大なマーケットを「CSK」グループは短期間で横取りした。ここが「CSK」と「東芝」の運命の分かれ道だったと言える。「東芝」は「Dynabook事業」だけを残してコンピュータ市場から撤退し、「CSK」は日本を代表するパッケージ・ソフトのノウハウを手に入れたことで、IBMの世界で優位に立つ事になる。

 ウ~サンの会社も「CSO」に転籍した開発部隊と共にIBMの世界に足を踏み入れることになった。天下無敵と思われていた「日本IBM」も、実際に中に入って見ると唖然とする状態だった。確かに、SEは優秀な人が揃っていたが、日本IBMの営業部隊はマサカの”詐欺師”集団だった。
(22/10/26)


NO.82 日本のコンピュータ教育の根本的な誤り(13)


頭のリハビリ(67)-「成果主義」とは詐欺師の論理 -

 「バブル経済崩壊」から30年と近く経った現在でも「年功序列から成果主義へ」などと馬鹿な事を言っている経済学者が多い。コイツ等は成果主義が如何に恐ろしいことか、実際の現場を知らない口先学者(代表は”竹中平蔵”)ばかりだ。日本には縄文時代から続く1万7千年の長い歴史が有る。殺し合いばかりやって来た下等な肉食動物の欧米人とは時間の観念が違う。それが”単年度評価”と”100年後を見据えた評価”の違いである。基本的に日本の”大和民族”は100年単位で物事を考えている。「今日の頑張りは3世代後に効いて来る」という信じ難い価値観が有る。「今日が楽しければイイ」なんて考える欧米人とは対照的だ。その象徴として交通標語で有名な「狭い日本、そんなに急いで何処に行く」だ。最近でこそ決勝に残れるまでになったが、陸上競技の100m走、9秒台が出た出ないなんて”マサイの戦士”か?幾ら頑張ってもチーターの2倍かかっている。猫にだって勝てる速さでは無い。日本は2千年もかけて鹿と仲良く暮らせるまでになった。欧米の奴等が絶対に真似出来ない社会を築いて来た。

 それなのに、なぜ下等動物の真似をして「成果主義」を叫ぶのかサッパリ判らん。確かに、グローバルした今日、世界の流れに乗らなければならないと考えるのは判る。しかし「狭い地球、そんなに急いで何処に行く」と言ってやればイイ。ジェット旅客機なんぞで半日で地球の裏側まで行くような事をするから、ウィルスも喜んでいる。ひと昔前の客船で航海するなら、船の中で潜伏期間を終える。発症したら治るまで船の上で寝ていればいい。

 まさに、IBMの営業スタイルが「成果主義」だった。億単位の金額の強大なコンピュータを売るのに「何でも出来ます!」とウソ八百並べて契約を取る。後はマシンとSEをセットで納品し、レンタル代として企業に請求する。そこで、担当営業を”定期人事異動”の名目で逃がす。何時になったら本稼働するかは「神のみぞ知る」の世界だ。IBMが得意とする金融業界は元々がアメリカで完成した仕組みなので「勘定系」と「情報系」のシステムはカタカナさえ使えれば即日稼働できる。しかし、金融業界以外はシステム開発中でレンタル期間が終わってしまう。こんなモノ、詐欺と言わずして何と言うか。世界のIBMと言えど、流通業界や製造業は話にならない状態だった。大型コンピュータ用に開発されたプログラムを見ると、全くアルゴリズムが追えない程グシャグシャで、”建て増し”に次ぐ”建て増し”で巨大な城を築いたような設計ばかりだった。

 それでもIBMだから問題にならなかった。何故なら「我が社のコンピュータ・システムはIBMである」と言えば株価が上がったからだ。稼働していなくてもIBM。「鯛は腐っても”鯛”」と同じだ。それをイイ事に日本の市場で好き勝手な事をやっていたのが、日本IBMで経営陣の多くは「慶應大学」卒業のお坊ちゃん企業だった。そこに、何と倒産した筈の「ミロク経理」が”喝”を入れる事になった。
(22/10/26)


NO.83 日本のコンピュータ教育の根本的な誤り(14)


頭のリハビリ(68)-IBMが仰天した「ミロク経理」のアプリ-

 IBMが得意とする産業分野は「金融」「証券取引」「商品取引」「為替取引」「運輸(含:海運・航空)」「ホテル(予約・清算)」など、欧米文化そのものの領域は抜群の強さと実績を持っている。しかし、全てが銀行の通帳を見ても判る通り「1取引、1明細」の単純な事務処理を大前提としている。決済も現金決済が基本で、商品を納品すると、その場で小切手を渡すという。取引相手を信用するという概念が無い。会計も貸方勘定と借方勘定が1対1で対応していて、”複合仕訳”という概念が無い。労務管理に至っては「週給何ドル」という契約だけで、手当とか控除という概念が無い。残業・休日出勤・早出残業などという概念は無い。
従って、IBMが提供する業務システムというのは前述の限られた業界でしか通用しない。

 そこでCOBOLやFORTRANという高級言語を駆使してプログラムを自主開発する事になるのだが、このシリーズの冒頭に述べたように、日本のコンピュータ教育が完璧にズレているために、実務知識と経験が全くないシステム・エンジニア(SE)とプログラマーを世に送り出してしまった。悲しいかな、”無い知恵”を幾ら絞っても”無いものは無い”。同じ事は、社会経験が無い「裁判官」や「弁護士」、臨床経験が無い「医師」、現場経験が無い「一級建築士」など、「国家資格」が必要な世界は、全てがズレている。コンピュータの世界もプログラム言語を学ぶ前に、現場の事務処理を学ばなければ”お馬鹿なSE”と”お馬鹿なプログラマー”を粗製乱造したに過ぎない。その結果、大手コンピュータ・メーカーが提供する業務システムは”クソ”のようなシステムばかりになっていた。

 そこで、事務処理に限定して考えるとFORTRAN言語はファイルの概念が無い。高度な数値計算を前提として製作されたプログラム言語なので、FORTRANを幾ら勉強しても全く意味が無い。そうすると、選択肢はCOBOL言語だけとなる。ところが、COBOL言語は計算が滅法弱い。データ・ファイルの処理は足し算と引き算だけで、掛け算と割り算は苦手。増して三角関数や対数など以ての外だ(実際、必要無いが)。「ミロク経理」のシステムは手書き伝票の手順をそのままコンピュータ・システムに置き換えただけのため、そこが決定的な違いだった。幾ら「通産省情報処理技術者」の国家資格を取得している”優秀”なシステム・エンジニアでも、実務となると”ド素人”でしか無い。ところが、ナマジ国家資格なんぞを与えた為に「コンピュータのプロだ!」と天狗になってしまった。そんな馬鹿集団が大手企業の「情報システム部」に集まったから大変な事になってしまった。そこに日本IBMからシステム・エンジニアを派遣し「CSK」から”何ちゃってSE”を派遣してもIBMの大型コンピュータは「巨大な暖房機」にしかならなかった。

ところが、「ミロク経理」のアプリケーション・システムは、「得意先」と「商品」を登録するだけで、その日から本稼働出来た。経理に至っては勘定科目を自動的に設定する「科目ジェネレータ」が提供されていたので、事業の状況に合わせて最初に実行すれば、即日本稼働となる。給与計算システムも企業の就業規則に合わせて「手当」や「控除」を設定すると、その月の給与計算から本稼働する。SEもプログラマーも要らずに本稼働できるアプリケーション・システムにIBMのSE達は腰を抜かした。このシステムが有れば日本中で「巨大な暖房機」になっていた大型コンピュータが稼働出来ると睨んだ。そこで、中型システムに分類されるメインフレーム系の「IBM システム/36」に移植する作業を開始した。

ところが、実際に移植作業初めて見ると、画面処理で決定的な問題にブチ当たってしまった。大型コンピュータの世界では端末機の画面はプリンターのような”出力機器”であって、データ入力をするのはキーボードだけだった。画面の情報を読み込むという概念が無かった。ここが、パソコンの世界と大型コンピュータの世界の決定的な違いで、予想外の苦戦を強いられる事になった。
(22/10/30)


NO.84 「ローム株式会社」大リストラの真犯人判明(1)


頭のリハビリ(69)-「ロームの死神」の話-

 連載中の「日本のコンピュータ教育の根本的な誤り」は、まだまだ続くが、この「シバケンの天国」の「リストラのハナシ」の真相が判明した。そこで、割り込む形で連載を一時中断し「ローム株式会社:大リストラの真犯人判明」のシリーズを優先することにした。この「大リストラ」事件で多くのロームの仲間達が失意の下に去って行った。「シバケン」さんもその一人である。この事件の真相は、これまで解明されないまま、ほぼ”時効”の様な状態になっていた。
 
 1983年(昭和58年)11月1日「ローム株式会社」は大阪証券取引市場第二部と、京都証券取引所に上場された。上場前の公募価格2,820円で取引がスタートしたものの、大量の買い注文が出され上場当日は比例配分も出来ずストップ高、二日目以降もストップ高が続き八日目にして、ようやく値が付くという取引所始まって以来の異常事態となった。この時に着いた初値は8,120円、一週間で三倍近くになるという、まさに「錬金術」であった。それから約40年も経って、全ての間違いがここから始まったと言っても過言では無いことが判明した。
 
 「シバケン」さんがリストラされたのが1995年(平成7年)、その年の3月にMicrosoft Windows95が発売され、パソコン・ブームに火が着いた、まさにその時だった。この時、ウ~サンは日本IBMでの仕事が一段落し、京都に戻って「モリタ製作所」と「日清製粉」のパソコン・ネットワークのアドバイザをやっていた。IBMの「Aptiva」や「ThikPad」が飛ぶように売れて、世界中でパソコン革命が起きた時、「シバケン」さんは「ローム」を去ることになった。

 その年を遡ること15年前、1981年(昭和56年)”S”氏が総務部に入社した。ウ~サンが「ローム」を退社して「ミロク経理:販売特約店」を始めたのが1982年(昭和57年)なので、1年間は重なるが、この男の存在は全く記憶に無い。後の「ローム:大リストラ事件」の主犯では無いが、実行犯のリーダー格の重要な人間だが、ほとんどが”隠密行動”だったために、多くのローム社員は存在そのものが記憶されていないはずだ。
コイツ、”S”氏はウ~サンより一歳年下で、”株式上場”の法務担当者としてKanda常務が隠密で採用した。彼は京都産業大学大学院修士課程を卒業後、イリノイ大学大学に留学、法務と言っても専門は「刑法」だった。

 コイツは、後に経営企画室長、法務室長、総務部長、管理本部総括部長を歴任し、退社して京都でコンサルタント会社を経営している。
「ロームの死神」はウ~サンの近くの烏丸錦小路で、未だヌクヌクと生きている。

-続く-
(22/11/07)


NO.85 「ローム株式会社」大リストラの真犯人判明(2)


頭のリハビリ(70)-始めは「株式上場の立役者」だった-

 ウ~サンが大好きな「STER WARS」に例えると、”S”氏はエピソード1~3のアナキン・スカイウォーカーのような英雄だった。大きく異なるのは、何れダースベーダーになる事が判っていた。採用時にKanda常務から与えられた使命(ミッション)は、2年後に「ローム」を大証2部に上場させることだった。その間、社外は勿論、社内でも”極秘”にしなければならない。従って、東洋電具時代からの古参社員は使えない。ロームの社員は庶務課のNakai係長の(悪?)影響で、部署を横断した”社員の連携”が半端では無かった。また、IC生産管理のHiraki課長が社内の広報活動に心血を注いでいた。従って、古参社員では”隠密行動”なんか絶対に出来ない。3日も有れば全社員に知れ渡ってしまうのはKanda常務は判っていた。そこで、ロームの社員には縁も所縁(ゆかり)も無い「密使」が必要だった。今にして思えば、”縁も所縁(ゆかり)も無い”人間だったからこそ、”血も涙も無い凄惨”な「ロームの大リストラ」になってしまったのだと思う。採用したKanda常務も、後に”S”氏に追われる事になるとは皮肉なものだ。

 ”S”氏の最初の仕事は「ローム上場プロジェクト」を秘密裏に立ち上げる事だった。メンバーは野村証券のKamiyashikiの指導のもと、大和銀行からの出向者Awazuをプロジェクトの責任者とし、京都銀行からの出向者Komatsu購買部長、三和銀行からの出向者Matsumoto人事部長、プロジェクト・リーダーは新卒入社のKubota経理課主任、そして法務担当の”S”というスパイ組織のような部外者中心のメンバーで構成された。後に「ローム乗っ取り」の中心的なメンバーとなる。しかし、この時点では「ローム」を株式上場させるための”秘密の義勇軍”とされていた。

 この「秘密結社:ローム上場プロジェクト」の仕事は、上場申請に不可欠な「上場申請のための有価証券報告書(Ⅱの部)」を作成する事だった。この”Ⅱの部”は、上場申請理由から始まり、沿革、企業グループの概況、事業の概況、経営管理体制、株式の状況、経理の状況、予算統制、業績の推移、今後の見通し等の多くの記載項目があり、大抵は何百ページにも及ぶ膨大な量の資料となる。上場会社としての適格性、継続性等に問題はないかが、審査される。
”Ⅰの部”は、投資家保護を目的とする「金融商品取引法」、「企業内容等の開示に関する内閣府令」に基づいて作成する書類であり、また、決算数値については、税法決算数値ではなく、財務諸表等規則による財務会計ベースで作成を行う必要があるが、Ⅱの部は、より詳細な記述を求められている。

 1983年(昭和58年)7月1日、上場申請書類は段ボール箱3箱に入れられて大阪証券取引所の上場審査官の前に積み上げられた。この上場申請は野村証券と大和銀行を中心とした銀行団主導で極秘に行われた。そのため、佐藤研一郎社長も含めてKanda常務、Fujiwara本部長、Yoshimi営業部長も”蚊帳の外”に置かれてしまったことになる。(勿論、当人達はその事に気付いていない。)
(22/11/08)


NO.86 「ローム株式会社」大リストラの真犯人判明(3)


頭のリハビリ(71)- 一夜にして億万長者誕生 -

 話は最初の大証2部に上場した時に戻る。株式上場2週間前に公募価格2,820円で買った投資家は、初値の8,120円で売却しても1株当たり5,300円儲かったことになる。当時、社長以外の役員で10~20万株所有していたので5億3,000万円から16億円儲かった。部課長クラスでも1~10万株所有していたので、5,300万円から5億3,000万円も儲かったことになる。また、従業員持株会に対しても公募株の10%以内の範囲で親引きが認められており、37万株の枠が有った。持株会では500名を超える購入希望者が有り、一人当たり100株単位で上限を1,000株とした。従業員の平均購入株数を600株とすると、一日にして318万円の金が転がり込んだことになる。仮に上限の1,000株を買っていれば、530万円が転がり込んだ。

 それまで炭素被膜固定抵抗器1個数円、ガラス・ダイオードも1個10円以下、トランジスタでも何10円、ICでさえも何百円のチビチビした世界で、地道にコツコツと「品質第一」でやって来た会社も従業員も、一夜にして「ダークサイド:暗黒面」に堕ちてしまった。そして「秘密結社:ローム上場プロジェクト」は一躍”英雄”となった。

 この時、ウ~サンは「ローム」を退社していて1年が経過し、雇用保険の給付も終わって「ミロク経理」の仕事が起動に乗り始めた頃だった。勿論「ローム」の株など1株も持っていなかったので、正直「シマッタ!」と思ったが、後の祭りだった。ただ、この事が将来を分ける事になった。
当時、アプリケーション込みで数百万円もするオフィスコンピュータが飛ぶように売れる筈も無く、幾ら頑張って営業活動をしても年に数台が限度。その間は、別の販売店が売ってトラブルになったユーザーを助けたり、パッケージ・ソフトが対応していない取引を、プログラムの追加したり修正したり、という地道な商売をやるしか無かった。「ローム」が株式上場で舞い上がっている時、それを横目で見ながらコツコツとやっていた。お陰で「ローム」時代に身に付いた”ハングリー精神”を持ち続けることが出来た。

 京都ばかりで無く、全国的にも有名企業の仲間入りをした「ローム」は、周辺の土地を買い漁り、次々と新しいビルを建て始めた。東洋電具時代から本社周辺に点在していたプレハブ小屋のような建物は統一したデザインのビルに代わって行った。それまで、隠密行動をしていた「上場プロジェクト・チーム」は晴れて表舞台に登場する事になり、次は東証1部上場という「二匹目のドジョウ」を狙い始めた。しかし、もう隠密行動は出来ない。一躍表舞台に出るや否や「ローム」を陰ながら支えて来た地方の協力会社に牙を向くことになった。

「ロームの英雄」が徐々に「死神」の顔を覗かせることになる。

-続く-
(22/11/09)


NO.87 「ローム株式会社」大リストラの真犯人判明(4)


頭のリハビリ(72)- 東証上場に失敗 -

 一躍”英雄”となった「秘密結社:ローム上場プロジェクト」は、1983年(昭和58年)の大証2部上場の成功で調子に乗り、東証1部上場を目論む事になる。すでに「ダークサイド:暗黒面」に堕ちてしまった「品質のローム」はコツコツと安価な電子部品を作る企業では無くなってしまった。そこで、1986年(昭和61年)を目標に隠密では無い「東証上場プロジェクト」がスタートする。これには、協力会社の「ワコー電器」「アポロ電子工業」「アオイ電子」からの出向者を加えて「有価証券報告書」の作成に当たった。「ローム」が東証1部に上場した後、協力会社も上場する時の勉強になると考えての事だ。しかし、この”親心”がその後裏目に出るとは予想していなかった。

 「ローム:グループ」崩壊の原因は、1986年(昭和61年)目指していた東証1部上場に失敗した事に有る。理由は業績悪化で、直接の原因は良く判らない。ただ、考えられる原因は、1985年(昭和60年)「日本電信電話公社」が民営化され、1987年(昭和62年)日本国有鉄道が「JRグループ」に分割民営化され、世の中全体が「財テク・ブーム」になり始めていた。そのため、企業活動全体が新商品開発の方向から、株取引や土地転がしで稼ぐという風潮になっていた。恐らく、その影響で電子部品の需要が落ち込んだものと考えられる。勿論、すでに「ローム」の経営も財テク主導に堕ちていたので、或る意味”自業自得”と言える。
問題は東証の審査官が「上場申請を自主的に取り下げて欲しい」と要求され、「従ってくれるなら、今回の申請は無かった事にする」という裏取引をした事だ。従って「ローム」が東証への上場に失敗した事は表沙汰になっていない。

 その「ローム」がモタついている間に岡山の「ワコー電器」が大証新2部に、福岡の「アポロ電子工業」が福証に相次いで上場を果たした。ここで順番が大きく狂ってしまった。本来、子会社である2社が上場すると、親会社の「ローム」は上場条件に適合しなくなってしまう。結果的に「ローム」の足を引っ張ることになってしまった。「ローム上場プロジェクト」最大の失敗である。「ローム」グループの協力会社は、基本的に地方の有力者との合弁事業を原則としていた。出資比率は50:50で、設備とノウハウは「ローム」が惜しみ無く提供し、利益は全て地元に還元する。原材料は100%「ローム」が供給し、製品は100%「ローム」が買い取るというのが大原則であったため、実質的には”子会社”という扱いになる。すると、東証の「有価証券報告書」には”子会社”として含めなければならない。そこで「ローム上場プロジェクト」は悪辣(らつ)な手を使う事になった。具体的には、無理矢理に出資比率が2/3以上になる様に資本を投入し、一気に”子会社”化してから「上場廃止」にするという手口だった。この様な、姑息な手を使って2社を「上場廃止」に追い込んで「ワコー電器」は「ローム・ワコー(株)」、「アポロ電子工業」は「ローム・アポロ(株)」に社名を変更することに成功した。見事なまでの”騙し討ち”である。

 これで「ローム」が東証へ上場する条件が整ったかに見えたが、それを近くで見ていた「アオイ電子」と「シンコー電器」の「ローム」グループ主力企業が、事も有ろうに「ローム」グループから離脱するという最悪の事態を招くことになる。「ローム上場プロジェクト」が”ダースベーダー”のような「死神」に変った瞬間である。


-続く-
(22/11/10)


NO.88 「ローム株式会社」大リストラの真犯人判明(5)


頭のリハビリ(73)- 主力協力会社の離脱 -

 「ロームの死神」出現した事で、四国高松の「アオイ電子」と岡山の「シンコー電器」が反乱を起こした。この2社はウ~サンも特別な思いが有る。大きく異なるのは”下請け工場”という感覚では無く、東洋電具の時代から共に支え合って来た協力工場だったからだ。
 「シンコー電器」は協力会社としては初めてウエハ・プロセスを移設した。ダイオードの全工程が移設され、ウ~サンもラッピング・マシンを担当していた。協力会社の中では抜きん出て”向上心”が強く、射出成型金型を内作出来るまでに技術を高め、ウ~サンも多くの金型製作を依頼した。
 「アオイ電子」は半導体製造プロセスの後工程の一手に引き受けてくれて、ICやトランジスタのワイヤ・ボンディングと樹脂モールドの量産を一手に引き受けてくれていた。極端な話「アオイ電子」が無ければ、ICもトランジスタも一つとして製品にならない重要な役割を果たしていた。製造設備もほとんど自社開発するほどの”向上心”と”技術力”が有った。社名は違っていても、共に「ローム」そのものだった。「アオイ電子」にもウ~サンが設計したLED製品の量産を担当して貰っていた。

 この「アオイ電子」と「シンコー電器」が「ローム」グループを離脱するなど、絶対に有ってはならない事だった。そんな苦渋の決断をさせてしまった「ローム」の側に責任が有る。そりゃ~、現場も知らない、一緒に苦心惨憺した事も無いような「ロームの死神」”S”氏と銀行から出向して来た連中に偉そうに言われれば、ブチ切れるのは当たり前だ。将来を考えに考えた末の決断だと思う。

 「アオイ電子」は「アオイ電子株式会社」( https://www.aoi-electronics.co.jp/index.html )として独立し2000年(平成12年)に東京証券取引所市場第2部へ上場してアッセンブリを請け負う”ファンドリー”として頑張っている。
ただ、企業沿革では「東洋電具製作所」や「ローム」の名前は一切無い。

 1969年 アオイ電子株式会社 資本金4,000万円にて設立
        カーボン皮膜固定抵抗器生産開始
 1972年 混成集積回路生産開始
        トランジスタ生産開始
 1973年 観音寺工場 新設
        IC生産開始
        ダイオード生産開始  <-----(シバケンの仕事)
        LED生産開始 <--------(ウ~サンの仕事)
 1975年    抵抗ネットワーク生産開始
 1976年    チップ抵抗生産開始
        チップ抵抗のめっき加工開始

 「シンコー電器」は「フェニテックセミコンダクタ株式会社」( https://www.phenitec.co.jp/company.html )として独立、半導体ウエハプロセスの”ファンドリー”として頑張っている。会社沿革には、「アオイ電子」同様「東洋電具製作所」や「ローム」の名前は一切無い。

 昭和43年10月 シンコー電器株式会社設立     (シバケンの仕事)
 昭和51年3月  ダイオード素子の製造開始 <---(ウ~サンの仕事)
 昭和58年12月 ツェナーダイオード素子製造開始
 昭和59年9月  トランジスタ素子製造開始

 この両社が「ローム」グループから離脱しても頑張っている事に涙が出る思いだ。このように企業沿革に重要事項として記載されているが、そこに「東洋電具」と「ローム」の文字が無いのは寂しい。ただ、我々の仕事が”掛け替えのない事実”として記載されている事に、気持ちは充分に伝わって来る。

 それにしても「ロームの死神」達はエライ事をしてくれたものだ。コイツ等が更に滅茶苦茶な事を始める。

-続く-
(22/11/11)


NO.89 「ローム株式会社」大リストラの真犯人判明(6)


頭のリハビリ(74)-「ローム」の本来有るべき姿 -

 ここで、一旦立ち止まって考えて見よう。この先の話は東証1部に上場したが、株が売れずに”IR活動”と称する旅芸人のようなキャンペーン隊を作って宣伝活動をした。とか、アメリカのエクサ―社をナスダックに上場したとか、赤字企業を買収して黒字化して売却したとか。正直、アホみたいな話が続く。その陰で「ロームの死神」が不採算事業を片っ端から整理し、最終的に”ケツを割って”「ローム」を退社する。「ローム」はコイツのお陰で常に背伸びをして生きなければならなくなってしまった。

 「ローム株式会社」が度重なる景気の浮き沈みを乗り越えて今が有るのは、必ずしも”先端技術”を持っているからでは無い。実際は、1995年から1997年にかけて「ローム」をリストラされた人達が築いたリソースで生きている。確かに「品質第一」というのは大きな支えになっているが、製品が完成の域に達すれば品質は勝手に上がる。要するに、不良品が発生する要素が無くなれば、放っておいても歩留まりは向上し、コストが下がり、クレームも減る。それだけの事だ。偉そうに言う程の事では無い。

 現在の「ローム株式会社」を支えているのは、炭素被膜固定抵抗器、チップ抵抗、スイッチング・ダイオード、汎用トランジスタ、汎用プリアンプIC、汎用パワーアンプIC、各種ドライバーIC、LED面表示素子、LEDランプ、汎用半導体レーザー素子、光センサ、サーマル・プリント・ヘッドなど、30年前から大きく変わっていない。ヤタラ宣伝しているパワー・ディバイスなどは収益の柱にはなっていない。ただ株価を吊り上げるネタになっているだけだ。
 株式市場の世界は”ド素人”の機関投資家の目さえ引けば、株式を購入する動機になる。ウソでもバレなければ犯罪にはならない。騙される方にも非が有るからだ。どの道、運用しているのも他人の金なので、見掛け上の収益さえ上げていれば文句は言われない。そんな馬鹿共を相手にするには、馬鹿になるしか無い。

 企業の収益の柱になるのは、市場シェアをある程度取って価格競争にならない商品をどれだけ持つかに掛かっている。例えば、炭素被膜固定抵抗器とかチップ抵抗は余りに価格が安いので、価格競争を仕掛けて来る企業なんか無い。同じ事はスイッチング・ダイオードでも汎用トランジスタでも言える。余りにも価格が安いので、市場に参入しようと言うメーカーは無い。LEDは例外で、競合他社がアホらしくなって撤退したため「ローム」だけ残ってしまっただけの事。半導体レーザーも同様だ。

 「ローム」の強みは、徹底的な自動化に有る。人間が作業をすれば、必ず一定のドジを踏む。生産工程で如何に機械化するかで品質が決まる。アホでも製品が生産出来る仕組みを作るかが勝負で、とにかく自動化・機械化には資金を惜しみなく使った。ちなみに、固定抵抗器の製造現場には機械を看視する人しか居ない。”作業者”なんて居てはならない。同じ事はダイオードでもドランジスタでもICでも言える。

 「ローム」も見掛け上は大きな会社になっているが、大半は無駄な仕事をしている。本当に稼いでいるのは、地方の協力会社で生産されている目立たない製品だ。株価を吊り上げるには”やっているフリ”をしなければならない。長い目で考えれば、無駄な芝居は徐々に減らして、上場廃止の方向で軟着陸させるべきだと考える。そうしないと、SONYや東芝のような”何をやっているのか判らない”企業になってしまう。「ローム生命」とか「ローム損保」なんて金集め部門を作らなければならなくなったら最悪だ。


-続く-
(22/11/12)


NO.90 「ローム株式会社」大リストラの真犯人判明(7)


頭のリハビリ(75)-「ローム」の本来有るべき姿(2) -

「ローム株式会社」の大リストラの犯人と実行犯は、現在の株主の構成から考えると明らかだ。

 株式の15.03%を保有する「日本マスタートラスト信託銀行」は、三菱UFJ信託銀行、日本生命保険、農林中央金庫、明治安田生命保険が集まった投資グループ。6.21%を保有する「日本カストディ銀行」は三井住友トラスト・ホールディングス、みずほフィナンシャルグループ、りそな銀行、第一生命保険、朝日生命保険、明治安田生命保険、かんぽ生命保険、富国生命保険が集まった投資グループだ。それに2.53%を保有する京都銀行を加えると、23.77%の株式を保有する「銀行団」だ。
日銀のゼロ金利政策が続いて自らの力では収益を得る事が出来なくなった日本の”馬鹿”銀行が寄って集って作った「日本版ハゲタカ・ファンド」。コイツ等に45億3010万円もの配当金を支払っている。


 「ロームミュージックファンデーション」は実質的に「故:佐藤研一郎」の持株と考えても構わないが、19億2123万円の配当を払っている。これは、取り合えず”良し”として置こう。

 問題は外国の投資ファンドだ。リストに挙げている6社だけ14億8370万円もの配当金を支払っている。つまり「日本版ハゲタカ」と「外国のハゲタカ」に60億1380万円もの莫大な配当金を支払っている。

問題はこれだけでは無い、株価の乱高下だ。7月1日には最安値9000円まで値を下げたが、9月11日には11,220円の高値を付け、9月30日には9,350円まで値下がりしたにも拘わらず11月14日には11,450円まで値を上げている。要するの”遊ばれている”という事だ。これだけの値幅で株価が乱高下するという事は株取引が活発で証券会社が手にする売買手数料が”荒稼ぎ”されていると言う事だ。

 ウ~サンやシバケンさんも含めた多くの「ローム・マン」が半世紀も掛けて築き上げた電子部品を、それらの開発には一切係わった事が無い”金融屋”共が稼ぎのネタにしている。勿論、株式を上場するという事は、こう言う事になるのが判っていた。そのため「ロームの基礎」を築いて来たエンジニアを強引に辞めさせる必要が有った。

 あの凄惨な「ロームの大リストラ」は「ハゲタカ」達に騙された「故:佐藤研一郎」が仕組んだものだった。
大きな読み間違いは、その頃日本IBMに居たウ~サンが戻って来た事だ。何しろ、あの凄惨な「ロームの大リストラ」を経験していない。しかも「世界のIBM」で暴れていたので、「ローム株式会社」など屁でも無い。いよいよ、これから反撃が始まる。

<参考資料>
-----------------------------------
ロームの資本金  869億6900万円(2022年3月31日現在)

連結 (2022年3月期)
売上高     営業益     経常益    最終益     1株配
4521億2400万円 714億7900万円 825億5100万円 668億2700万円  185円

株価 11,350円(11月10日時点)  時価総額 1兆1,691億円

PER   PBR   利回り   信用倍率
13.9倍 1.22倍  1.76%   15.99倍

名義                          比率     株数
-----------------------------------
日本マスタートラスト信託銀行(信託口)       15.03  15,481,000
公益財団法人ロームミュージックファンデーション 10.08  10,385,000
日本カストディ銀行(信託口)               6.21   6,400,000
自社(自己株口)                      4.71    4,851,900
京都銀行                           2.53   2,606,000
ステート・ストリート・バンク・ウエスト・トリーティ   1.40    1,444,000
バンク・オブ・ニューヨーク                1.27    1,306,000
BBHフィナンシャルInvTシーフェアラー・オーバーシーズGIF
                               1.19    1,225,000
JPモルガン・チェース・バンク              1.07    1,100,000
ステート・ストリート・ロンドン・SSBTCボストンUK  1.01    1,037,000
ノーザン・トラスト(AVFC)IEDU・UCITS・NL15PCT  0.93     954,000
-----------------------------------

<最後に一言>
 「ローム株式会社」と言っても所詮は”部品屋”。「SONY」や「京セラ」とは違う、増して大先輩の「OMRON」(立石電機)の足元の及ぶものでは無い。更に言わせて貰えば、世界の「IBM」とは比較にならない。そんな”部品屋”が分不相応にも株式上場して”大企業”気取りになっている。ハッキリ言ってアホとしか言い様が無い。ウ~サンやシバケンも含めて「ローム」を命を掛けて築き上げて来た、大勢のエンジニア達の意地を見せてやろう。
(22/11/14)


NO.91 日本企業の生き血を吸う「吸血コウモリ」(1)


頭のリハビリ(76)-「日本マスタートラスト信託銀行」の正体 -

 考えて見れば「ロームの大リストラ」で辞職に追い込まれたシバケンさんたち第一線のエンジニアは直接の被害者だが、我々が命懸けで築いた「ローム」の生き血を吸う「吸血コウモリ」の魔の手から「ローム」を守らなければならない。「故:佐藤研一郎」を騙し、メインバンクで共に苦労をして来た「京都銀行」をコケにして、筆頭株主に浮上した「日本マスタートラスト信託銀行」の正体を暴(あば)こう。

「日本マスタートラスト信託銀行株式会社」(The Master Trust Bank of Japan ,Ltd.) 所在地は東京都港区浜松町2丁目11番3号(MTBJビル)、浜松町に自社ビルを所有している。資本金は100億円、「三菱UFJ信託銀行株式会社」が55,800株(46.5%)、「日本生命保険相互会社」が40,200株(33.5%)、「明治安田生命保険相互会社」が12,000株(10.0%)、「農中信託銀行株式会社」が12,000株(10.0%)という出資比率だ。

 この会社、実に不思議な会社で、資本金が100億円なのに、管理資産残高が595兆円(2022年3月末)。日本国政府の2022年度の一般会計歳出が110.3兆円なので、何とその6倍近い資産を管理している。毎日コツコツと細かな仕事をしている製造業では考えられない世界だ。更に、猫の餌代が値上がりして困っているウ~サンとは、全く別世界の話だ。「ローム株式会社」の資本金でも約870億円なのに、資本金がたった100億円の会社が600兆円もの資産を管理しているというのが全く想像できない。

 そこで、この会社の「貸借対照表(B/S)」と「損益計算書(P/L)」を解析することとした。普通のエンジニアなら”解読不能”の世界だが、ウ~サンは「財務システム」を構築したシステム・エンジニアなので、財務諸表のカラクリを「公認会計士」以上に熟知している。この財務諸表は数字が並んでいるだけにしか見えないが、解読するとその会社の強さと弱さが丸見えになる仕組みになっている。税務署は「当期未処分利益」しか見ていないが「貸借対照表」の「資産の部」と「負債の部」を解読すれば企業の実態が見えて来る。

 そこで、この会社「日本マスタートラスト信託銀行」だが、実態は”アサリの産地偽装”と同じ事をやっている。以前から問題視されて来た「中国産アサリ」を熊本の海岸に撒いて、3日経って収穫すると「熊本産アサリ」に化けるというヤツだ。更に悪く言えば「株・ロンダリング」をやっている。元になっている資金は「ユダヤ資本」の資金だ。
元々は、1985年に「チェース・マンハッタン信託銀行」設立し、1996年に「ドイチェ・モルガン・グレンフェル信託銀行」に改称。1999年に「ディーエムジー信託銀行」に改称し、2000年に「日本マスタートラスト信託銀行」に改称した。この時は、三菱信託銀行、日本生命保険、東洋信託銀行、明治生命保険、ドイツ銀行の共同出資だったが、2005年に三菱UFJ信託銀行、日本生命保険、明治安田生命保険、農中信託銀の共同出資となった。

 つまり「ユダヤ資本」の資金を日本の金融機関の資金で有るかに見せ掛けるだけの”イカサマ企業”だった。しかし、何故こんな馬鹿げた企業を「金融庁」が許しているのかが判らない。金融庁の職員は「財務諸表」が読めないのか?。そんなヤツは「金融庁」に居たらイカンやろ!。日本の優秀な企業の生き血を吸う「吸血コウモリ」だ。


-続く-
(22/11/16)


NO.92 日本企業の生き血を吸う「吸血コウモリ」(2)


頭のリハビリ(77)-「日本マスタートラスト信託銀行」の実態 -

 この「吸血コウモリ」、上場企業のほとんどの株を大量に買っている。なにしろ、600兆円だ。
先ず身近な所で、京都の企業の実態を調べて見た。(2022年11月15日時点)

*「ローム」は株価が11,310円で、15.03%の株式を持つ筆頭株主だ。株数は15,481,000株、時価にすると1750億9011万円になる。

*「京セラ」は株価が6,816円で、21.64%の株式を持つ筆頭株主だ、株数は81,725,000株、時価にすると5570億3760万円もの額になる。

*「村田製作所」は株価が7,787円で、16.36%の株式を持つ筆頭株主だ、株数は110,531,000株、時価にすると8607億490万円にもなる。

*「ニチコン」は株価が1,366円で、12.49%の株式を持つ筆頭株主だ、株数は9,742,000株、時価にすると133億757万円になる。

*「堀場製作所」は株価が6,430円で、12.38%の株式を持つ筆頭株主だ、株数は5,264,000株、時価にすると338億4752万円になる。

*「オムロン」は株価が7,426円で、22.26%の株式を持つ筆頭株主だ、株数は45,918,000株、時価にすると3409億8707万円になる。

*「日本電産」は株価が9,000円で、14.01%の株式を持つ筆頭株主だ、株数は83,555,000株、時価にすると7519億9500万円になる。

*「島津製作所」は株価が4,245円で、15.71%の株式を持つ筆頭株主だ、株数は46,500,000株、時価にすると1973億9250万円になる。

*「GSユアサ」は株価が2,163円で、17.91%の株式を持つ筆頭株主だ、株数は
14,437,000株、時価にすると312億2723万円になる。

*「日新電機」は株価が1,371円で、住友電気工業が51.00%の株式を持つ筆頭株主だ、株数は54,991,000株、時価にすると753億9266万円になる。二位が「日本マスタートラスト信託銀行」は比率は7.22%で7,782,000株、時価にすると106億6912万円になる。さすがに「住友電工」が50%以上の株を持って防衛している。

 これを時価の株価順に並べると、

1.「村田製作所」8607億 490万円
2.「日本電産」 7519億9500万円
3.「京セラ」  5570億3760万円
4.「オムロン」 3409億8707万円 ----上位4社は完璧に狙われている。
5.「島津製作所」1973億9250万円
6.「ローム」  1750億9011万円   まだ「ローム」はマシな方だ。
7.「堀場製作所」 338億4752万円
8.「GSユアサ」 312億2723万円
9.「ニチコン」  133億 757万円
10「日新電機」106億6912万円   防衛に成功しているのは「日新電機」だけ。

 京都の名立たる企業を見ても、ほぼ全てが「吸血コウモリ」の餌食になっている。勿論、実際は京都だけで無い。全国の名立たる企業が「吸血コウモリ」の餌食になっている。これが株式市場の実態だ。一旦株式を市場に公開すると購入相手を選ぶ事は出来ない。「ローム」のように10%の限度一杯「ローム ミュージック ファンデーション」の財団で保有しても、その上を越えて筆頭株主になってしまう。一見”安定株主”に見せ掛けて企業の生き血を吸い続ける。
 しかし「吸血コウモリ」は、まだ居る「日本カストディ銀行」だ。

-続く-
(22/11/17)


NO.93 日本企業の生き血を吸う「吸血コウモリ」(3)


頭のリハビリ(78)-「日本カストディ銀行」の正体 -

 「日本マスタートラスト信託銀行」と似たような2匹目の「吸血コウモリ」「日本カストディ銀行」の正体を暴(あば)こう。

「株式会社日本カストディ銀行」(Custody Bank of Japan, Ltd.) 所在地は東京都中央区晴海1丁目8番12号 晴海アイランド トリトンスクエアオフィスタワーZ。資本金は510億円、「三井住友トラスト・ホールディングス株式会社」(33.3%)、「株式会社みずほフィナンシャルグループ」(27.0%)、「株式会社りそな銀行」(16.7%)、「第一生命保険株式会社」(8.0%)、「朝日生命保険相互会社」(5.0%)、「明治安田生命保険相互会社」(4.5%)、「株式会社かんぽ生命保険」(3.5%)、「富国生命保険相互会社」(2.0%)という出資比率だ。

 この会社も、実に不思議な会社で、資本金が510億円なのに、管理資産残高が422兆円(2022年3月末)。日本国政府の2022年度の一般会計歳出が110.3兆円なので、何とその4倍近い資産を管理している。

 沿革は2018年(平成30年)に「日本トラスティ・サービス信託銀行」と「資産管理サービス信託銀行」との共同株式移転によりJTCホールディングス株式会社設立。2020年(令和2年)に「日本トラスティ・サービス信託銀行」が「資産管理サービス信託銀行」と「JTCホールディングス」を吸収合併し、「日本カストディ銀行」に商号を変更して発足したとなっている。「日本トラスティ・サービス信託銀行」は、かつて存在した日本の信託銀行で、「大和銀行」と「住友信託銀行」の共同出資により設立された、日本で一番長い名称の銀行であった。「資産管理サービス信託銀行」は、2001年に「みずほ信託銀行(みずほアセット信託銀行(旧:安田信託銀行)との合併前)」・「朝日生命保険」・「第一生命保険」・「富国生命保険」・「安田生命保険(現:明治安田生命保険)」の5社が出資して営業を開始した。2016年「第一生命保険」が株式を譲渡し「かんぽ生命保険」が資本参加した。何回読んでも訳が判らない寄り合い所帯だ。

 この会社も「日本マスタートラスト信託銀行」同様、実態は”アサリの産地偽装”と同じ事をやっている。「日本マスタートラスト信託銀行」はアメリカの石油王「ロックフェラー財閥」に属し、「日本カストディ銀行」はイギリスのユダヤ系財閥「ロスチャイルド財閥」の属している。結局、「ローム株式会社」の株式は大半が外資に握られて、生き血を吸われている。


-続く-
(22/11/20)


NO.94 日本企業の生き血を吸う「吸血コウモリ」(4)


頭のリハビリ(79)-長引く低金利政策の果てに-

 「日本マスタートラスト信託銀行」とか「日本カストディ銀行」という様な”得体の知れない”「吸血コウモリ」信託銀行が日本企業の株式を買い漁っている状況は、明らかに”異常”と言える。しかし、ネットを検索しても「異常だ!」という記事は山のように有るが、問題点の指摘や解決方法に言及している記事は無い。
そもそも、証券市場がこの様な異常事態になっている原因は、「日銀」の超低金利政策に有る。公定歩合がゼロになってしまったために、資金の運用先が証券市場しか無くなってしまったのが最大の原因だ。バブル経済が崩壊して30年、この間に「日銀」「財務省」「銀行」の資質の低下は目を覆うものが有る。要するに「金融」の世界はアホばかりになってしまった。

 この問題を解決する方法は「経済学」の世界では幾ら考えても解決策は得られない。そこで登場するのが「哲学」だ。
「”金融”とは何か」から考え直さなければ解決策は出て来ない。

 「日本マスタートラスト信託銀行」の正社員数は1020名(2022年3月末日)、「日本カストディ銀行」の正社員数は1,969人 (2021年03月現在)、合わせて3,000人もの社員が信託業務を行っている。運用資産は両社合わせると1,000兆円を超えるので、一人当たり3,000億円以上の資産管理を行っている勘定になる。仮に配当が1%としても年間一人当たり30億円稼ぐことになる。ただ、証券市場なので大損する事も有るので、割がイイ仕事かどうかは微妙だ。この3,000人もの社員、毎日何をしているのだろうか。彼らの仕事は何枚もの液晶画面に表示される株式の売り買いに関する情報と、海外の市場の動きなどを判断しながら、東京証券取引所で株式の取引を行っている。売りが出れば買う。ただし、そこは人間の駆け引きになる。多くの取引は現在「プログラム売買」を行っていて、条件を登録しておけばコンピュータが自動的に売注文や買い注文を出すが、その方法でやっていると、勢い高値での買いばかりになってしまう。現在、企業の実力以上に株価が高騰しているのは、この「プログラム売買」による影響が有る。際どい線を狙うとすれば、やはり生身の人間の駆け引きが必要になる。そんな事を朝から晩までやっている(海外も含めると徹夜でやっている)馬鹿共の巣窟が、この「吸血コウモリ」信託銀行だ。

 普通なら「他に考える事は無いのか!」と思うが、この馬鹿共は毎日の鍔(つば)迫り合いに命を懸けている。3,000人が全員こんなアホな事をやっているとは思えないが、それでも2,000人位は何枚もの液晶パネルの前でマネー・ゲームに熱中しているのだろう。その結果が現状の株式市場の異常な現象だ。「それが信託銀行の仕事だ!」と言われれば、確かにその通りだが、世の中にはもう少しマシな仕事が有るだろう。そこを考える余裕すら無いのが悲しい。

 ロシアのプーチンの様な、たった一人の”気違い”のために燃料や穀物の価格が急騰して、アメリカが”漁夫の利”を得ているが、世界中の多くの人々が生活に困窮している。更に悲惨なのは、ウクライナの国民で何時ミサイルが飛んで来るか判らない不安の中で暮らしている。実際、多くの一般市民が犠牲になっている。そんな中で、朝から晩までコンピュータの画面に向き合ってマネーゲームをやっている奴等は一体何なんだと思う。

 現在の金融業界に欠けているのは、幅広い人材だ。大学の経済学部を出たような世間知らずはかりになってしまった結果がこのザマだ。旧財閥でも「住友」グループはまともな事をやっている。「住友金属」や「住友電工」などしっかり地に足をつけている。それに引き換え「三菱」「三井」「安田」は話にならない。確かに「三菱重工」は宇宙開発や航空機などをやっている。しかし、かつて「零戦」を作った意地は何処へ行ってしまった。今の「三菱自動車」「三菱ふそう」のザマは何だ!。「三井」にしても、かつては石炭を掘っていたし、「三井造船」など立派な仕事をしていた。しかし、今は「三井不動産」や「三井物産」など詐欺師のような事ばかりやっている。「安田」は元々が詐欺師なので、あれはあれで仕方が無い。

挙句の果てが「日本マスタートラスト信託銀行」と「日本カストディ銀行」だ。恥を知れ!。


-続く-
(22/11/22)


NO.95 日本企業の生き血を吸う「吸血コウモリ」(終わり)


頭のリハビリ(80)-安倍ノミックスの負の遺産-

 「日本マスタートラスト信託銀行」や「日本カストディ銀行」が運用している1,000兆円の資金の中には「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)の190兆円や日銀の資金も含まれている。問題は、30年前の”バブル景気”の頃、不動産投資やリゾート開発に当てられた資金が、さすがに「同じ轍は踏めない」ということで、株式投資に集中してしまっている事だ。市中には年金資金や生命保険の掛け金などの「預り金」勘定の資金が溜まりに溜まっている。その運用方法が、余りにも脳が無い。つまり、金融業界の人間は”脳無し”ばかりという事だ。

 例えば、幾つかの企業を調べて見ると、株価の時価総額が余りに異常な数値になっている企業が目立つ。

トヨタ自動車は、資本金3,970億5000万円で、株価の時価総額は32兆8,013億円(2,010.5円X16,314,987,460株)、時価総額/資本金の比率は82.61倍。

日立製作所は、資本金4,617億3100万円で、株価の時価総額は7兆696億円(7,299円X968,571,877株)、時価総額/資本金の比率は15.31倍。

日本製鉄は、資本金4,195億円で、株価の時価総額は2兆836億円(2,192.5円X950,321,402株)、時価総額/資本金の比率は4.97倍。

村田製作所は、資本金694億4400万円で、株価の時価総額は5兆443億円(7,464円X675,814,281株)、時価総額/資本金の比率は72.64倍。

京セラは、資本金1,157億300万円で、株価の時価総額は2兆6,362億円(6,981円X377,618,580株)、時価総額/資本金の比率は22.78倍。

ロームは、資本金869億6900万円で、株価の時価総額は1兆1,176億円(10,850円X103,000,000株)、時価総額/資本金の比率は12.85倍。


株価は額面と違っていて、土地や工場設備や貸付資産などを計算しないと正確な株価は算出できないが、一つの目安として株価の時価総額と資本金の比率で大まかな状況は判断できる。「日本製鉄」が約5倍なのに比べると「トヨタ自動車」は83倍となっている。この違いは何なのか、考えて見よう。同様に京都の部品屋「村田製作所」は73倍、「ローム」でも13倍になる。明らかに、株価を吊り上げているヤツが居る。「日本マスタートラスト信託銀行」や「日本カストディ銀行」がまさにそれだ。

 この年末から来年初頭にかけて、必ずアメリカの景気が落ちる。FRBが金利を引き上げているのは過熱した景気を下げるためだ。その数値が公表された途端に世界的な株安になる事は判っている。それが、どの程度下がるかが判っていないだけだ。そうなると、日本の株式市場にも大きな影響が及ぶ。そうで無くても「日銀」が”セッチン詰め”の状態で身動きが取れない状態なので、大幅な株価の値下がりを吸収できる可能性は低い。下手をすると年金が本当に消える。

 とにかく、現在の日本の金融業界はアホばかりになってしまったので、資金の運用先が株式一辺倒になってしまっている。日本には世界でも有数の「地熱エネルギー」が眠っている。アイスランドのように早くから「地熱発電」の開発に投資をしていれば、世界的なエネルギー価格の高騰に対応出来ていた。「原子力発電」などという”汚いエネルギー”は11年前の福島第一原発事故で見切りを付けるべきだった。金融業界のアホ共も”廃炉”にする必要が有る。


-終わり-
(22/12/01)


NO.96 地球温暖化問題のウソ(1)


頭のリハビリ(81)-すべての間違いは真鍋淑郎博士から始まった-

 「地球温暖化」の話が「脱炭素」とか「二酸化炭素の排出権取引」とか過激な自然保護団体の理解不能な抗議行動が勃発する魔訶不思議な世界になっている。確かに、数値の上では直近の100年で大気の平均気温は上昇している。その原因が「化石燃料の燃焼で発生する二酸化炭素」とか「牛のゲップから発生するメタンガス」というのは、余りにも発想が現実離れし過ぎている。地球上の主な物質は大半が酸化物と炭酸化合物で構成されている。特に二酸化炭素は地球上の至る所で発生している。それなのに、何故”化石燃料”だけを発生源としているのか、全く自然界の現象を理解しているとは思えない。

 まず、地球上の”大陸”を形成している主な物質は「安山岩」である。主成分は花崗岩と同じ「石英(酸化ケイ素)」と「長石(炭酸カルシウム)」なので、地球がまだドロドロに溶けた状態の時代から酸素と二酸化炭素は大量に存在していた事は明白だ。世の中には馬鹿な学者が多く「ストロマトライト(シアノバクテリア(藍藻類)の幾つかの種によって形成されたと考えられる構造物)が地球上に酸素をもたらした。」などと荒唐無稽な事を言っているが、地球上に水が存在する前から大量の酸素と二酸化炭素が有った事は”地質学”で考えれば疑う余地は無い。

 そもそも「温室効果ガス」などという馬鹿げた論理を言い始めたのは、2021年に「二酸化炭素濃度(CO2)の上昇が地球温暖化に影響する」という気候モデルを発表し、ノーベル物理学賞を受賞した元東京大学理学部の真鍋淑郎(まなべしゅくろう)博士(プリンストン大学上級研究員、アメリカ国籍)で、愛媛県四国中央市(旧:新宮市)生まれの大馬鹿者だ。真鍋氏は東京大学理学部という日本で最も”世間知らず”が集まる大学を卒業後、渡米して「アメリカ国立気象局」に勤務していた。そのため、日本の気候や地形や地質を全く理解せずに渡米したことから、このようなデタラメな論理を振り回す結果になった。

 もし、この真鍋氏が本州に生まれていれば、こんな馬鹿げた理論は生まれなかった筈だ。”ガリ勉”ばかりの東大生なら仕方が無いが、もし山岳部で沢登りやロッククライミングをしていたら、嫌でも”花崗岩”の有難さが体験出来ていた筈だ。四国には少ないが、本州の近畿から中部山岳地域にかけて広大な”花崗岩”地帯が存在する。この”花崗岩”は元々中国の「黄山地帯」の”花崗岩”群の一部が離れて日本列島の骨格となったもので、日本列島を形成する基礎構造物質だ。

 多くの人は”登山”と言うと居住している近郊の割合低い山をハイキングするくらいだが、マニアックな”登山”は「クライミング」と言われて、装備も危険度もまるで別世界だ。ヘルメットを被り、ザイル(ロープ)を担いで、ハーケンやカラビナをジャラジャラ鳴らしながら岩壁を登る。一般の人から見れば”正気の沙汰”では無い。しかし、山の素晴らしさを体験するには、整備された登山道を歩いて登るだけでは判らない。高度差何百メートルかの切り立った岩壁にしがみつて下界を眺めると、普段の生活では見る事が出来ない大気の流れや雲の動きを体感できる。平地では絶対に味わえない大自然の姿が目の前に広がる。もちろん、一歩間違えれば転落死するし、常に落石の危険が伴う。そのためにヘルメット・ザイル・ハーケン・カラビナという装備は必須アイテムとなる。さらに、地質学の知識と気象学の知識は生死に関わる必須要件になる。

 例えば、北アルプス「槍ヶ岳」の穂先に登る場合、東側(西岳側)の尾根筋から登攀するのは”狂気の沙汰”だ。何故なら「槍ヶ岳」の岩壁は古いカルデラの縁が一部残ったもので岩が全体的に脆い。特に東側は火山灰が固まった「凝灰岩」で出来ているので脆く崩れ易い。穂先の西側の”小槍”の方向か、南側の「肩の小屋」の方向の岩壁を登らなければ死ぬ。高い山に登るには、それなりの知識を持たなければ必ず死ぬ。そういう意味では”魔の山”と恐れられている「谷川岳:一ノ倉沢」の岩壁に登るヤツは馬鹿だと言える。あんな脆い岩壁を登るヤツは”正気”では無い。その点、南アルプス「北岳」の岩壁は”花崗岩”の大岩壁なので危険度は低い。それでも、落ちれば死ぬ。そんな”花崗岩”の大岩壁にしがみ着いて「地球温暖化」の真相を考えて見よう。


-続く-
(22/12/04)


NO.97 地球温暖化問題のウソ(2)


頭のリハビリ(82)-「日本列島」は”宝の山”-

 「日本は島国である」と言われるが、実はここから大間違いが始まっている。確かに、”地理学”で考えると大陸から離れ、周囲を海に囲まれた”島”の集まりだが、”地質学”の世界で見ると「大陸」そのものなのだ。”ユーラシア大陸”の安山岩質の大陸プレートの下に南から”フィリピン海プレート”、東から”太平洋プレート”、北東から”北米プレート”が潜り込むという世界中でも例が無い特別な地域に「日本列島」が有る。北海道から東北地方は更に複雑で、”ユーラシア・プレート”に”北米プレート”が潜り込み、更にその”北米プレート”に”太平洋プレート”が潜りこむという二重の潜り込みが起きている世界で唯一の場所だ。プレートが二重に潜り込んだ場所は中東地域とメキシコに有るが、どちらも完璧に潜ってしまったため、火山列が二重に並んでいるのは日本列島だけだ。そんな事を考えながら山登りを楽しむのが「日本流登山」で、その創始者が有名なイギリスの宣教師で登山家の「ウォルター・ウェストン(Walter Weston)」だ。

 縄文人の血を引く”呑気”な大和民族は、そんな事を何も考えずに山登りをしていた。”花崗岩”の岩場が有れば真言密教の修験者の行場になり、険しい峠道は関所を置いて防衛拠点とし、温泉を見付ければ”湯治場”として利用して来た。日本では普通の景色だが、世界的に見ると”とんでもない”場所で、これがアメリカ大陸であれば「ヨセミテ公園」と「イエローストン公園」を足したようなのが「日本列島」だ。
「温室効果ガス」論争の仕掛人、真鍋淑郎氏はそれを知らずに渡米して、デタラメな理論を世界中にバラ撒いてしまった。

 真鍋淑郎のコンピュータ・シミュレーションは、当時としては画期的なIBMの大型コンピュータを使って行われたものだが、コンピュータ・シミュレーションというのは前提条件を誤るとデタラメな結果になってしまう。例えば、理化学研究所がスーパー・コンピュータ「富嶽」を使って行った「飛沫拡散シミュレーション」が典型的な例だ。人間の咳から出る飛沫が蒸発して温度が下がることを計算に入れていない。「マスク」のシミュレーションでも、木綿の材質の抗菌効果を計算に入れていないため、布マスクより不織布マスクが「感染予防効果が有る」とされた。それなら、病院で使うガーゼや包帯は「不織布を使え!」という馬鹿な結果になる。理化学研究所は公費を使った上に「富嶽」まで使って”大ウソ”を世間に撒き散らしてしまった。しかし、真鍋淑郎氏のデタラメな「二酸化炭素濃度(CO2)の上昇が地球温暖化に影響する気候モデル」よりは遥かに罪は軽い。

 話は「日本列島」に戻る。山に登るには普通は”登山道”を使う。しかし、”登山道”はあくまで「山に登るための道」で有って「山を知る道」では無い。山を知るには非常に危険だが”沢登り”しか無い。沢に沿って作られた”登山道”が有ればベストだが、多くの登山道は眺めが良く、比較的安全な尾根沿いに作られている。”沢登り”は岩がゴロゴロしていて歩き難い上にコケが生えていて滑り易い。しかも、随所に”滝”が有る。この世界もヘルメット・ザイル・ハーケン・カラビナの装備は欠かせない。さらに、登山靴は使えないので”地下足袋”に”ワラジ”という装備が要る。これは渓流釣り用のフェルト底の地下足袋でも代用できる。この世界は完璧に”地質学”の世界で、川底の石や岩壁の地質をハンマーで叩きながらルート選定をしないと転落する。多くの谷は活断層が露出している場所が多いので、チャートか花崗岩の岩壁を探して登る。一見して傾斜が緩いように見えても脆い破砕帯を登ると滑落して悲惨な結果になる。そんな事を考えながら登ると、その山が何で出来ているかが判る。

 本州の山の大半は火山で無ければ圧倒的に花崗岩が多い。本来、”花崗岩”は地中の深い所で安山岩質のマグマが何百年・何千年という長い時間をかけて冷え固まったもので、地表に出るのは稀だ。”沢登り”をすれば判る事だが、普通の登山道では隠れてしまっている。その花崗岩が地表に出ているのは、何らかの地殻変動が有ったという事になる。日本の山は火山で無くても火山性の地質が多い。多くは”花崗岩”で、マグマが冷える過程で細かい亀裂が発生する。そこに地下の深い場所から火山ガスや温泉が染み出している。そんな場所に「金」「銀」「銅」などが析出して”鉱床”になっている。佐渡の「金」、生野の「銀」、足尾の「銅」はすべて花崗岩の亀裂に沿って出来たもので、日本列島は探せばまだまだ貴金属資源が豊富に残されている。”沢登り”の醍醐味の一つに「金鉱探し」も有るが命懸けなので、あまりお勧めは出来ない。

-続く-
(22/12/06)


NO.98 地球温暖化問題のウソ(3)


頭のリハビリ(83)-「地球温暖化」の鍵は”水蒸気”-

 「自然科学」を考える時の王道は「先入観を一切排除して観察に徹する」という事だ。これは、「物理学」でも同じなのだが、”エネルギー”や”物質”など肉眼では見えない物も多い。典型的な例としては「リンゴが木から落ちるのを見て”万有引力”を発見した」という「ニュートン力学」の祖、イングランドの自然哲学者・数学者・物理学者・天文学者・神学者の「サー・アイザック・ニュートン(Sir. Isaac Newton)」だ。

 確かに、半世紀以上(小学生の頃から3,000m級の山に登っていた)北アルプスに登っていると、温暖化しているのは実感している。事実、乗鞍岳の大雪渓は年々小さくなっている。白馬岳の有名な”大雪渓”も昔の事を思えば雪渓の末端まで歩く距離が長くなっているし、厚さも薄くなっている。剣の雪渓(実は氷河)も痩せて来ているのは実感できる。しかし「確かに言われてみれば、そうかなぁ~」と思う程度で、大袈裟に「温暖化している」という程のものでは無い。やはり、3,000m級の山は寒い。さすがに還暦を過ぎると、あんな思いはしたく無い。今では京都の堀川通りを吹き抜ける北風さえ耐えられない。昔、若かった頃は、滋賀県の比良山系の山に雪が降ると山スキーを担いで武奈ヶ岳の頂上から滑り降りた。乗鞍岳の肩の小屋から位ヶ原山荘までの大滑降などと言う馬鹿もやっていたが、今では考えられない。

 「地球温暖化の原因物質は二酸化炭素に代表される”温室効果ガス”だ」という真鍋淑郎氏のデタラメな理論が世界中で”脱炭素”の話になる前から、山の上から自然を観察していて気にしていた事が有った。それは、人間社会の生活の中で”水蒸気”の発生量が着実に増えている事だ。天気の良い晩に常念小屋を抜け出して満天の星空を眺めようと稜線に登ると松本盆地の街の灯かりが邪魔になる。しかし、明け方常念岳の頂上に登ると、雲海が広がって松本の市街は一面の雲に覆われている。やがて太陽が雲海の上に昇ると、背後の槍・穂高連峰が真っ赤に染まる。すると雲海が稜線に向かって動き出し、少し低い徳本峠や常念乗越を越え始める。雲海は峠を越えると一瞬で消えてしまう。この話の中に、全ての答えが有る。一般の登山者は、あまりにも普通の光景だが、”理科系登山者”には違って見える。

 松本盆地の標高は約500m、人口は20万人を超える。大都会では無いが、意外に多くの人が生活しているので、夜中に星空を見ようとすると街の灯かりが邪魔になる。徳本峠 (とくごうとうげ)の標高は2,135m、常念岳(標高2,857m)を挟んで常念乗越の標高が2,450m、松本盆地との標高差は徳本峠で凡そ1,600m、常念乗越で凡そ2,000mになる。松本盆地は真夏だと昼間は30℃を超える暑さになるが、明け方だと20℃以下に下がる。朝日が昇って雲海が常念乗越を超える時の気温は凡そ15℃前後でやや肌寒い。峠を越えた雲海は消え、上高地に流れ下る。上高地の標高は1,500mなので、気温はやや上昇して20℃をやや下回るくらいの過ごし易い気温だ。普通なら話はここで終わるが”理科系登山者”はここから気温の計算が始まる。

 松本盆地の朝の気温が20℃とすると、常念乗越との標高差は2,000mなので、計算上は8℃にならなければならない(理論上は100m当り0.6℃気温が下がる)。8℃という気温は真冬の寒さなので、”やや肌寒い”を通り越している。メチャクチャ寒い筈だ。常念乗越を超える雲海は理論値より7℃ほど温度が高い事になる。その風が標高差1,000mの上高地に下ると6℃気温が上がるので、理屈の上では21℃になる。しかし、上高地は深い谷な上に梓川が流れていて大正池も有るために常に気温が低い。そのため、20℃をやや下回る過ごし易い気温になっている。つまり、松本盆地の水蒸気が雲海になる時に凝固熱を放出し気温が7℃上昇し、峠を越える時に樹木に結露する。湿度が低下した風はやや暖かい風となって朝の上高地に下る。天気予報で良く耳にする小さな「フェーン現象」が起きている。この「フェーン現象」の鍵になるのが早朝の雲海だ。20万人の人達が生活する松本盆地で発生した水蒸気が、早朝の放射冷却で標高1,000m~2,000mのあたりで飽和して薄い雲の”雲海”になる。太陽が昇って穂高連峰の岩壁が温まると上昇気流が発生して松本盆地の雲海を上高地の方向に移動させる。そこに2,000m越えの山脈が有るので、雲海が霧になり、過飽和状態の水蒸気が水滴になって斜面の樹木に付着する。そして除湿され乾いた風が上高地に下る。と言う熱サイクルの理論が成立する。この「フェーン現象」が起きるためには標高差が2,000m以上有る山脈が必須要件となる。富士山のような独立峰では起きない自然現象だ。

 地球温暖化の原因は「二酸化炭素」とか「メタンガス」による”温室効果”などという馬鹿げた話では無く、人間の生活が余分な水蒸気を放出している事に有る。都会のビルの屋上に林立している冷房用のクーリング・タワーが雨の日に見ると濛々と湯気を吐き出している光景こそが、地球温暖化の犯人だ。最近、良く耳にする”ゲリラ豪雨”は都心の高層ビル群の過度な冷房で発生した余分な水蒸気の放出が主原因だ。そのゲリラ豪雨を降らせた後の乾いた空気が熊谷や八王子あたりに舞い降りて”酷暑”となる。

-続く-
(22/12/07)


NO.99 地球温暖化問題のウソ(4)


頭のリハビリ(84)-「二酸化炭素の増加」は大ウソ-

 今、世界中が「脱炭素」を叫んでいるが、世界中の地球物理学者や環境学者が”馬鹿”になっている。実際に「二酸化炭素」が増加しているという具体的な証拠は無い。有るとしても学者達が得意とする”データの捏造(ねつぞう)”だ。「二酸化炭素」は水に溶け易い性質が有る。山に登る途中で湧き水を飲むと”美味い”と感じるのは湧き水に溶け込んだ微量の金属イオン(ミネラル)と「二酸化炭素」と適度な水温(15℃前後)のお陰だ。もし、地球全体の二酸化炭素が増加していれば、湧き水の酸性度が上昇し、金属イオンが溶け出す量が変って味が変わる。極端に言うと温泉水を飲むような状態になる。”苦い”とか”塩辛い”という変化が起きる筈だ。もし、そんな状態になっていれば、石灰岩層の鍾乳洞の形成速度が速くなり、洞窟探検は非常に危険な状況になる筈だ。ところが、その様な話は全く聞かない。鍾乳洞の天井が崩落して怪我人が出たとか、「最近、鍾乳石の成長速度が速くなった」などと言う話も聞かない。「地球上の二酸化炭素が増加している」という話は、明らかに”でっち上げ”だ。

 確かに、石炭や石油を燃焼させる事で二酸化炭素が発生するが、自然界には二酸化炭素の発生源は幾らでも有る。例えば、有機物が酵母菌で発酵・分解される過程で二酸化炭素が発生する。ビールの泡もシャンパンの泡も二酸化炭素だ。それがダメだと言うなら、ビールもシャンパンも”製造禁止”という事になる。コカコーラも三ツ矢サイダーも”製造禁止”だ。そもそも、発酵食品は全て酵母菌や乳酸菌の発酵を利用しているので、日本酒・醸造酢・味噌・醤油・チーズなどは製造過程で大量の二酸化炭素を発生させている。これらが「地球温暖化」の原因だと言うのだろうか。

 3000m級の山でなくても近郊のハイキングコースや街の公園でも、落ち葉がバクテリアなどで分解されて”腐葉土”になる過程で大量の二酸化炭素が発生している。「酸素の主な供給源」とされている”熱帯雨林”も酸素以上に大量の二酸化炭素を放出している。逆に”針葉樹林帯”は落ち葉の分解が遅いので、酸素濃度が高くなる傾向が有る。そのため、落雷などが原因で”森林火災”が発生し易い。しかし、針葉樹林帯の山火事は自然現象であって”災害”では無い。山火事によって落ち葉が灰となって肥料になり、定期的な土壌の消毒と、針葉樹に寄生する植物を殺し、成長の邪魔になる低木を整理する効果が有る。針葉樹は山火事になることも勘定に入れて生きている。中には、炎によって種が弾けて子孫を増やす種も有る。針葉樹林は山火事を想定して進化して来たので、そんな場所に家を建てるヤツが悪い。増して、大量の水を撒いて消火するなど余計な事で、無駄な水蒸気を発散させるだけだ。その点、”熱帯雨林”は大量の水蒸気を発生させて夕方に気温が下がる時に”スコール”を降らせて湿潤な状態を維持している。そのため”熱帯雨林”は山林火災が殆ど発生しない。光合成で大量の酸素を生成しているが、落ち葉が発酵・分解して大量の二酸化炭素を発生させてバランスを取っている。人間が”焼き畑”などという余計な事をしなければ”熱帯雨林”は自然に維持されている。
 最近、世界中で大規模な”森林火災”が発生しているが、1℃や2℃の温度差で火災が増える訳では無い。すべて「フェーン現象」による乾燥化が原因で、空気中に余分なの水蒸気さえ無ければ「フェーン現象」は起きない。大規模な森林火災が発生する場所には必ず標高2,000m以上の山脈が有る。その山脈の反対側には必ず大都会が有る。

 「地球温暖化」問題を研究する学者達は、何故外に出て自然を観察しないのか。研究室で”無い頭を絞って”議論をしても、コンピュータを使って中途半端な計算ばかりしても、正しい答えは出て来ない。実際、真鍋淑郎氏のデタラメな理論がエスカレートして現在の無残な姿になっているのだが、研究者の世界は”偉い先生”に反論すると学会で”干される”という歪んだ世界だ。頭の中では「アホか!」と思いつつも、”偉い先生”の学説を肯定しなければ博士号が貰えない。博士号が貰えなければ永遠に”教授”にはなれない。そういう”学術界”の権威主義が誤った学説を広げる原因になっている。ノーベル物理学賞の世界は、権威主義の縮図のようなもので、デタラメな研究ばかりが受賞の対象になっている。まあ、ダイナマイトで儲けた金がノーベル財団の財源なので、勝手にすればイイ。やっている事は「統一教会」とあまり変わらない。

-続く-
(22/12/08)


NO.100 地球温暖化問題のウソ(5)


頭のリハビリ(85)-都市の水蒸気発生源-

 一般家庭用エアコンの室外機(熱交換器)は乾式なので、冷房にすると気温を上昇させるだけだが、ビルや地下街や工場などの大規模施設の空調ではクーリングタワーという水冷式の熱交換器を使う。冬は重油ボイラーで温水を供給して暖房とし、夏は水冷式のクーリングタワーを使用するので、夏も冬も大気中に大量の水蒸気を放出している。気温が40℃に近付くと埼玉の熊谷駅前ではミストを噴霧して体感温度を下げようとしたり、京都では”打ち水”をして町家の中の室温を下げるが、大規模施設の空調に比べれば僅かな水蒸気にしかならない。

 問題は大規模施設の空調で、ここ半世紀で急激に需要が拡大している。例えば、首都圏や大阪のオフィスビルとそれらに隣接する地下街などと言うものは半世紀前には存在しなかった。大きな商業施設と言ってもデパートくらいで、大型ショッピングモールや大規模スーパーマーケットなど無かった。これらの大容量の空間を全館空調するというのは、極々最近の話だ。その他には、火力発電所で燃焼させている天然ガスも大量の熱と水蒸気を大気中に放出している。工場でも、製鉄所などで溶鉱炉の燃料に大量の天然ガスや石炭を燃やし、鋼材の冷却の為に大量の水を使用して熱と水蒸気を大気中に放出している。また、都市近郊のゴミ処理施設でも大量の可燃ゴミを燃やすやめに大量の重油を使っている。火葬場で使う重油の量とは桁違いの量の燃料を消費している。大都市の存在は、大量の二酸化炭素も放出しているが、大量の熱と水蒸気も発生させている。

 「フェーン現象」は、”空気中の水蒸気”と”2,000mを超える山脈”と”季節風または偏西風”の3要件が重なれば世界中の何処でも発生する。四国で生まれで、東京大学なんぞを卒業し、アメリカ:ニュージャージー州(ニューヨーク州の南西に隣接)のプリンストン大学の研究員になった真鍋叔郎氏は「フェーン現象」など絶対に起きない”真っ平”な所で「二酸化炭素濃度(CO2)の上昇が地球温暖化に影響する」という気候モデルを発表していた。まさに「大馬鹿野郎」としか言い様が無い。こんな馬鹿げた話を鵜呑みにしている地球物理学者や環境学者も、彼と同様の「大馬鹿野郎」だ。その挙句が「脱炭素」の風潮だ。

 このように「地球温暖化」の原因を見誤ると、信じ難い話が急浮上する。その極端な例が「原発の再稼働」だ。原子力発電は核分裂の熱を利用し、巨大な”湯沸器”となって発電タービンを回し発電している。確かに、石炭火力発電や天然ガス発電に比べれば二酸化炭素の排出量はゼロに等しいが、大量の水蒸気を発生させている。その二次冷却水の冷却のために欧米の原子力発電所には巨大な冷却塔が有る。日本の場合は冷却に海水を使っているので、見た目の水蒸気発生量は少ないが、その分”海水”を利用して冷却水の冷却しているので、発電所周辺の海水温を間違いなく上昇している。そこから大量の水蒸気が発生する筈だ。新潟県の柏崎刈羽原発が仮に再稼働すれば、谷川岳や尾瀬の積雪量は増えるだろう。しかも、米どころの”魚沼市”は雪解けが遅くなる。

 「太陽光発電」や「風力発電」の場合は一切水蒸気を排出しないが「地熱発電」は問題が有る。火山ガスの噴気で直接発電タービンを回すと火山ガスに大量に含まれている硫化水素でタービン翼がボロボロになってしまう。そこで、大量の綺麗な地下水を地中に送り込んで蒸気にする。これだと発電タービンは損傷しないが、大量の水蒸気を発生させてしまう。アイスランドのように地域の暖房に利用して”水”に戻してから廃棄しないと、大気中に大量の水蒸気を無駄に放出することになる。


-続く-
(22/12/09)